2019 芝浦工大附属中学| 学校説明会レポート②



芝浦工大附属中学校説明会レポート(2019年10月25日)


本日は芝浦工大附属中学校へ、受験ドクター国語・算数・理科・社会講師の久米 光太郎が行ってきました。
・校舎の1階は実験室・理科室だけが集合してるエリアになっていて、他の教室はない。
・教室の黒板は全て電子黒板・屋上には小さなグラウンドコートや弓道場がある。
・新築のきれいな校舎

理工系教育に特化している。間口の狭い学校だけど大学との連携授業などでロボットを製作して動かしたりするなど、エンジニアリングについて日本ではここでしかできない教育をやっている。ほっこりした雰囲気の学校で男子にとって過ごしやすい雰囲気である。1分1秒でも遅刻したら教室に入れないなど、生活指導は厳しめ。

電車を利用する場合
東京メトロ有楽町線「豊洲駅」6b出口より徒歩7分
新交通ゆりかもめ「新豊洲駅」南口より徒歩1分

豊洲駅・新豊洲駅を通る
主なバス路線(都営バス)
東16系統 東京駅八重洲口―月島駅―豊洲駅
海01系統 門前仲町駅―越中島駅―豊洲駅
業10系統 とうきょうスカイツリー駅―菊川駅―木場駅―豊洲駅
錦13系統 錦糸町駅―住吉駅―豊洲駅
都05系統 東京駅丸の内南口―有楽町駅―勝どき駅―新豊洲駅

2019年10月25日に行われた芝浦工大附属中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は芝浦工大附属中学校ではなく、受験ドクターまでお願いします。
©芝浦工大附属中学校

プログラム

校長ご挨拶

芝浦工大附属中学校の英語教員の大坪 隆明先生よりお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

学校長挨拶

本日は6年生と4・5年生を別々に分けて説明会を行っている。
こちらは6年生向けの説明会。 2021年から女子を受け入れることにした。
この学年が最後の男子のみの学年。高校から女子が入ってくるけど基本的には別カリキュラム。
Science/Technology/Engineering/Arts/Mathematicsの頭文字を組み合わせたSTEAMという最近浸透してきた言葉がある。
長年積み重ねてきた本校の教育内容がこの言葉で括るとこができるので使い始めた。
中学校の段階でエンジニアリングを大学の力を借りて実現することができている。
教える人や設備などの問題でできない学校が多いけど、本学では技術科で平面の図面を引いて加工するまでやっている。
デザイン教育にも力を入れてやっている。
今は薄いけれど、7・8年前にロボットやプログラミングやりますと言ったら(保護者の方に)抵抗感があった
。私たちの学校はものづくりや情報教育をずっとやってきた。
今の時代にその方向性がマッチしている。

教育内容、生活と進路

芝浦工大附属中学校教頭の佐藤元哉先生よりお話がありました。
その中から一部を紹介いたします。

本校の目指す教育

本校は振り切っている間口の狭い学校。教育方針に賛同してくれる方だけに来て欲しい。
賛同してくれる方にとっては理想的な学校。
日本の産業界の下支えになってくれる真摯なエンジニアを育てたい。
STEM→STEAM Science/Technology/Engineering/Arts/Mathematicsの頭文字を組み合わせた言葉。
最近新しくARTSの概念が加わった。本校では20数年前からやってきた教育。
学校全体を理工系に特化している 一階は実験室・理科室以外はない 理系ではなく理工系ものづくりの楽しさを知ってる人が集まってきているが広げて人に伝えてもらいたいと考えている。

教育プログラム

教育プログラムには⑴理工系教育⑵大学連携教育⑶言語教育⑷学習支援がある。

⑴の理工系教育について、サイエンステクノロジーアワーは本校ならではのもので、教科の枠を突破したコラボレーション授業。
大がかりな実験や観察に取り組むもの。
ショートテクノロジーアワーは一番本校らしい取り組みで、先生が自分の教科と科学技術を組み込んで授業をする。
例えば音楽の先生が電子楽器の説明をする、体育の先生がソール(靴の足裏)の形状と走りについての講義をする、国語の先生が印刷機の話をするなど。
学校全体で理工系人材を育成していこうという取り組みでほかの学校ではできない。
SEが2人常駐している体制は本校ならでは。

⑵大学連携教育では芝浦工大で特別授業を行い、多彩なモノづくり体験のワークショップを行う。

⑶言語教育 中学1・2年でランゲージアワーという特別教育がある。
一対一の問答ゲームをする。
例えばフランス国旗など、どういう伝え方をすれば人に効果的に伝わるかの授業。
話したいことあるんだけどどう伝えればいいのか分からないという発達段階にある男の子たちには効果的。
将来自分の言葉でちゃんと説明するエンジニアになって欲しい。
日本語+英語+コンピュータの3つの言葉に強くなる。一人一人子供たちはタブレットを持ち、コンピュータを使いこなせるように技術を磨いてもらう。
英語について、中学校の前半では多読多聴(たどくたちょう)に取り組む。
専任のネイティブの先生、非常勤で英語の専門職についている先生もいる。
日本語の力がない人はまずしっかりと日本語力をつけてもらうことが必要。
多読多聴インプットがキーワード。

⑷学習支援について。
面倒を見過ぎないようにしている
補習を充実させると生徒たちは授業を聞かなくなる。
卒業生が大学生チューターとして来てくれる学習サポートがある。
約10年くらい続いている。
特別講習・講座として校外に出て行くワークショップ がある。

学習と進路

中高一貫生と高入生は別々のカリキュラムで交わらない。
高校2年から文系理系に分かれている。
芝浦工大さんに預けてもらうと進路は狭くならないか?と聞かれるが、本校で行われる理系の学びは無駄にならない。
スタートは100%理系だが、現在の高3の220人中の22名が文系。
文系は人数が少なく小回りが利くので様々な講座がたくさん用意されている。
肩身の狭い思いはしない。
文系はなかなかの進学実績を出している。
芝浦工大以外のところに行きたい人は自己申告で芝浦工大の推薦権を放棄して退路を絶ってやってもらう。
220人中30〜40名くらいが他大学を目指す。
理系進学者が7〜8割を占める。
芝浦工大推薦は10段階でオール6などをキープすれば難しいことはない。
理系の6割が芝浦工大に進んでいる。
行きたい子たちの中で9割くらいは芝浦工大に行ける。

学校生活

穏やかでのんびりした子が多い。
とても和やかな雰囲気。
自分が共学の進学校から芝浦工大に来た時、なんとも言えないぬくぬく感があった。
生活指導は厳しい。一分一秒でも遅れたら教室に入れない。
理由ない遅刻が1年で10回あると推薦資格を失う。
学期に一回くらい頭髪検査がある。学校がある豊洲の50年前は工場しかなかった。
激変した場所であり今は科学技術系企業の集積地になっている。
中3はアメリカにホームステイに行く。
四つのコースがあり、シアトルではボーイングの飛行機組み立て工場に行くなど本校ならではのテイストが入っている。
人工芝と天然芝を組み合わせたグラウンドつきの校庭あり、加えて小さなグラウンドコートが屋上にある。
専用の弓道場もある。鉄道研究部・理科部・電子技術研究部など本校独自のクラブもある。
弓道部50人くらい。電子技術研究部は170人くらい。
(ロボット入門講座の動画。クワガタのようなビートル型ロボットを動かして課題をクリアして棒を倒すもの)。

校風→同好の仲間が集う居心地の良さ、ホッコリ感がある。
生活指導は厳しい。

いじめについて、小さなぶつかり合いは日常茶飯事だけど絶えず観察している。
同じようなタイプの子が集まっているので喧嘩は起こりやすい。
数学は理科系にとっては言語、得意でなくてもいいけど絶対に避けて通れない。
本校は素敵な学校だけど間口は狭い
ウチの子向いてないなあと思ったら私の話を分かってくれた証拠かも。
ウチの子にピッタリだと思った子に来てくれればありがたい。

在校生インタビュー

在学中の生徒より海外教育旅行に関するお話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

海外教育旅行について

★海外修学旅行に行ってきた中三生2名の話 シアトルに行ってボーイング社の飛行機組み立て工場やマイクロソフトのゲーム体験をしてきた。現地では二人一組でのホームステイをした。ホームステイで大変だったことは洗濯を自分ですること、食事の時間や移動の時間を全て英語でやらなきゃいけないということ。最初は質疑応答がギリギリだったが最終的には日本でのことを相談できるまで英語で会話できるようになった。マイクロソフト訪問をしたときには最新のスマートフォンやVRを体験できた。航空博物館見学ではフライトシミュレータを体験した。操縦桿離すとすぐ墜落してしまうので、帰りの飛行機が日本についたときにはパイロットの方がすごいなあと思った。

入試について<理科>

理科教員の竹内先生より入試に関するお話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

中学入試問題 理科の傾向と対策

配点は100点で時間は50分。出題形式は融合1問、物理2問、化学2問、生物1問、地学1問、記述1問の8問。物理化学が中心だが生物地学もでる。実験や観察においてなぜそうなるのか原理を説明できるかが大事。イベントなどで自然に触れ合いあるといい。ノーベル賞や最近の自然環境問題も過去に出題されている。図表やグラフなどの与えられた条件を整理して比例関係を見つけるなどをやってほしい。融合問題は第1回第2回で出題。大問に同じテーマで物理化学生物地学の分野が出題される。3回目はごく簡単な小問集合で記号選択になっている 。物理は3割が力学。次に出題されているのが電気、光や音も多く出題される。計算問題で差が大きい。化学で出題される知識は金属+酸=水素、BTB溶液などの平易なものを考えている。難しい知識は基本的には出題されない。化学計算はいかに比例を見つけるか。どこかで頭打ち(水平)になるグラフを抑えてほしい。生物では文章題中にヒントがある。計算問題が出ることがある。作図問題も出る。知識だけでなく読む力や形を捉える力が出る。地学では星座や太陽の動きの問題で差が大きい。頭の中で論理展開するのが大事。理科の入試では過去問から傾向対策考えて欲しい。同じ問題は絶対出ないけど、形式を知ることが大事。似た問題が出ることはある。理科でも記述が出る。何も書かない生徒が毎年いるが記述の配点は高い。論理的思考ができない生徒は大問も解けない傾向にある。記述は捨て問題とせずに取り組んでもらいたい。記述集合ではキーワードは必ず使うこと。字数の制限の過不足は大目に見る。汚い字でも先生は頑張って読む。文章中の漢字ミスは大目に見る 。暗記に頼らず、なぜそうなるのか原理を理解した学習に取り組んでほしい。計算問題で差がつくことが多いので計算問題を中心にやってほしい。基本問題は素早く確実に答えられることが大事。大問一つ当たり6分程度が目安。実験対策→本校入学後、実験や観察を多く取り入れる授業を受けられる。興味を持って取り組み、原理や現象を説明できる生徒を育てたい。

第一志望者入試

大坪隆明先生より入試に関するお話がありました。
そのなかから一部を抜粋して紹介します。

入試について

5〜6年前から受験者が増えてきて合否の差が1点になっている。入学試験の成績と学業成績はあまり連動しないと考えている。試験だけでなく違う側面を見たいということでこの試験を始めた。 複数回入試を受けて、平均して高得点を取っていたもの、事前課題の内容が意欲あふれたものである生徒に受験資格がある試験。第一志望者入試課題シートに記入して提出してもらう。テーマの選定は親子の共同作業でやってもらいたいと思っている。何をテーマにすべきかお子さんにアドバイスしていただいて結構だが、紙に表現する際にお子さんが手伝うのはやめてほしい。あらかじめ何枚かコピーを取っておいてやってほしい。この厚紙でなくてコピーを提出しても構わない。課題アの内容、鉄と思ったものがアルミだとか間違っていても関係ない。中を仕切って課題アと課題イを別々に書いてこの枠の中で納めて欲しい。受験資格がある人には個別に学校から連絡がいく。受験した方には合格を差し上げたいと思っているが、昨年は1名だけ不合格だった。不合格の生徒は作文の記述が半分しかなかったし、課題に関しての質問に答えられなかった人。

学校訪問を終えて

工業大学との連携による実験やロボット製作など、ユニークな教育内容をアピール。大学受験に向けて受験勉強を頑張るという学校ではなく、将来より良きエンジニアになるための理系教育を学校挙げて行っている印象。以前より偏差値が急伸しているのも頷ける。