2021 広尾学園|学校説明会レポート②



広尾学園中学校説明会レポート(2021年9月14日)


本日はオンラインで行われた広尾学園中学校の学校説明会を、受験ドクター横浜校校長の久米 光太郎がご紹介いたします。

校内360度ビューで学校の各施設の内観を見ることができる。天井が高く瀟洒なエントランス。電子顕微鏡が並んだサイエンスラボは物理・化学・生物の3種類あり、最新鋭の設備がそろっている。3Dプリンターやレーザーカッターを備えるICTルームは生徒が利用可能。

3コースの全ての生徒が一人1台の情報端末を持ち、最先端のICT教育を行っている。医進・サイエンスの生徒は世界のだれも答えを知らないような専門的な研究を行っている。インターナショナルコースの生徒は高い英語力を養って海外の大学へ羽ばたいている。

東京メトロ日比谷線 広尾駅下車 4番出口すぐ

都営バス 【品97】 品川駅前-新宿駅西口
     【黒77】 目黒駅前-千駄ヶ谷駅前
日赤医療センター下・広尾学園前下車すぐ

2021年9月14日に行われた広尾学園中学校の説明会での内容をまとめました。
この内容についてのご質問は広尾学園中学校ではなく、受験ドクターまでお願い致します。
©広尾学園中学校

プログラム

校長ご挨拶

南風原校長より学園の教育についてお話がありました。

学園の特徴

広尾学園の特徴は、「インターナショナル」「本科」「医進サイエンス」の3つのコースを持っていること。
インターナショナルコースには、外国人教諭が25名いて、日常的に多様な文化に接することができる。高大接続の観点から、アメリカの大学の教養課程のレベルの授業を実施し、進学先の大学で単位として認定されるアドバンスド・プレイスメント(AP)という制度を導入している。9つの科目が開講されている。指導には資格が必要だが、その資格を持っている質の高い教員がそろっている。
医進サイエンスは、将来医学やその他のサイエンスに進みたいお子さんがそろったコース。実際に医療現場を体験したりして、自分が本当にこの道に進みたいのか考えることができる。
本科コースは、文系・理系に偏らず幅広く学ぶことができる。東京大学にも通じる、レイトスペシャライゼーション(遅い専門化)の考え方。
自分は東京大学から広尾学園に移って3年。学校の教育目標である自律・共生とあわせて、知性と品格を追求する学園であってほしい。

学園紹介とコース紹介

池田理事長から学園紹介とコース紹介がありました。

学園紹介

  • 学園の歴史 1918年(大正7年)に順心女学校として創立。会長は板垣絹子、校長は下田歌子、顧問は板垣退助。1973年に文部省の海外帰国子女教育研究指定校になる。2007年に広尾学園に改称・共学化してインターナショナルコースを設置した。2011年に高等学校に、2015年に中学校に医進・サイエンスコースを設置。2021年に広尾学園として15年目を迎えた。
  • 広尾学園の教育理念は自律・共生。この学園の教育理念を身につけるために中学1年生は毎年合宿を行っている。
  • 今年度の入学者は女子が多い。男子41%、女子59%
    本科コース136名(男子49名、女子87名)
    医進・サイエンスコース33名(男子18名、女子15名)
    インターナショナルコース76名(男子34名、女子42名)
  • 3つのコースともに「問題解決能力とコミュニケーション能力の養成」「グローバルな視野と高度な英語力の習得」「デジタルネイティブ世代としての最先端のスキルの習得」を行っている。
  • 広尾学園中学の本科・医サイに共通する特徴 ①大学進学⇒難関国公立・早慶・医学部を目指す。②カリキュラム⇒中学2年終了時で中学課程を修了する。先取り型の授業を行っている。補習のプログラムも組んでいるので安心してほしい。③ICT⇒生徒一人1台のiPadやChromebookを活用 ④サイエンスラボ⇒毎週1回のサイエンスラボ(実験)の授業 ⑤英検2級取得⇒アメリカやオーストラリアへの留学プログラムや学内夏期講習、年5回のスピーキングテストを行っている。

コース紹介

  • 医進・サイエンスコースだけで行っているプログラムの紹介 京都大学の山中伸弥教授の研究室に訪問した。15名の教員から与えられて教材に取り組むだけではなく、「p53遺伝子ノックダウンにおけるゾウiPS細胞の育成」など、世界のだれも答えを知らない専門的な研究を行っている。将来、医者・研究者として活躍するためのマインドを育成している。
  • インターナショナルコースの紹介 ①大学進学⇒海外・国内両方の難関大学進学を目指す ②カリキュラム⇒英語以外は本科クラスとほぼ同様、25名の外国人教員がいる 外国人教諭の場合はディスカッションを多用した欧米スタイルの授業を行う ③生徒一人1台のMacBookを活用 ④英語⇒英検・TOEFLなどそれぞれ目標スコアを定めて学習している。広尾学園は、アメリカの大学に進学するために必要な全国共通のテストであるSATの会場にもなっている。⑤AGコースとSGコース⇒2クラスそれぞれ50%ずつ。英語で学ぶAGは入学時点で英検1級や準1級を持っているインターナショナルスクールに通っている生徒や帰国子女など。 英語を学ぶSGは入学時の英語の学力は問わない。クラスには日本人の担任と外国人の担任の2人体制。ホームルームや美術・技術家庭などは英語で実施している。SGクラスの生徒、入学時は83%が英検未取得だが、1年たつと全員が3級以上取得、中3終了時には89%が英検2級以上を取得している。外国人教員25名は理系9名、文系16名で、担任や部活の顧問もしている。
  • インターのSGとAGは学年ごとにコースの変更が可能。高校に上がるときにインターSGの生徒は他のコースに変わる、高2進級時には理系・文系を選択する。
  • 海外の大学進学者が増えた。海外大学ツアーを行っている。海外の大学フェアの会場として広尾学園が使われている。
  • 新しい時代に活躍できる人を育てたい。生徒が第一志望と定めた大学に合格させるのが教員の使命。

広尾学園の学園生活と入試情報

金子副校長より、広尾学園の学園生活と入試情報お話がありました。

①広尾学園の学習プログラムについて

学習プログラムというのは授業に尽きる。教職員170名が日常的に研修を行っている。入試問題を解く入試研修、教科ごとに分かれての授業研修、コースごとに分かれてのコース会議などを行っている。基礎力の定着のため、朝の学習の時間を設けている。長期休暇中に補習・講習を行っている。高3のために100以上のコースがある大学受験講座や、英検対策講座も行っている。生徒は一人1台情報端末を持っていて、校舎内のどこからでもインターネットに接続できるようになっている。7名の生徒たちが社会貢献として海外の大学の講義を日本語に翻訳して公開する活動をはじめ、今は多数の生徒たちが活動しており、高い評価を得ている。医進・サイエンスでは、病理診断講座を行い、最も優れたグループは順天堂大学の病室内で手術に立ち会った。地域医療を実地で体験する講座も行っている。本科やインターナショナルコースの生徒でも希望する生徒は参加できる。グーグルのシュミット会長が来訪した時は生徒たちとのトークセッションを行った。落合陽一氏やNASAの元宇宙飛行士、3Dデータのモデル作成など年間を通じて様々な分野の専門家の皆さんを招いている。スーパーアカデミアは3月に専門家の皆さんが各教室に分かれてそれぞれの専門の話をする行事。

②広尾学園の部活・行事・施設について

運動部・文化部・同好会の紹介。運動部は12、文化部は13、同好会は7つ。同好会のうち4つは外国人教諭が顧問。林間学校は長野県の廃村に行った。電化製品がいっさい使えない環境で、食べるものやお風呂も自分たちで用意する。携帯電話もインターネットも通じない環境。人間的な実地体験も重要だと考え行事の組み立てを行っている。スポーツフェスティバルや合唱祭などの行事も行っている。文化祭では全員が中1からお客様の前でプレゼンテーションを行うことが決まり。アメリカ西海岸やオーストラリアなど、海外への短期留学を設定している。校舎は自然の光が入る大きめの窓の建築。サイエンスラボには物理・化学・生物の最新鋭の設備がそろう。ICTルームでは、レーザーカッターや3Dプリンターを生徒が使うことができる。

③入試について

入試の出願は、インターネットによる出願のみ。国際生について、全コース共通で海外経験が1年以上で帰国後3年以内。インターナショナルAGは英検2級以上または同等の資格が必要。インターナショナルAGは12月16日、そのほかのコースは12月17日。
国際生入試について、インターナショナルAGの試験科目はEnglish(英語による出題)50分/100点、Mathemathics(英語による出題)50分/50点、Japanese(日本語による出題)50分/50点、Interview(英語/日本語)10分(受験生のみ)
国際生入試について、本科、医進・サイエンス、インターナショナルSGの試験科目は国語(日本語による出題)50分/100点・算数(日本語による出題)50分/100点・面接(日本語)10分(受験生のみ)。英語取り出し希望者のみ英語を実施。
一般入試について、日程は変更なし。第1回・第2回は2/1の午前(募集50名・合格見込数80名)・2/1午後(募集70名・合格見込数270名)、医進・サイエンス回は2/2午後(募集35名・合格見込数110名)、インターAG回は2/2午後(募集10名・合格見込数10名)、第3回は2/5の午前(募集35名・合格見込数110名)。午後入試の開始時間は以前よりも30分遅らせて15:30にした結果、間に合わない生徒はほぼいなくなった。
一般入試について①本科、インターナショナルSGともに4科目のみ。国語・算数 各50分/100点 理科・社会 各30分/50点 ②2月2日の医進・サイエンス回入試のみ 理科・算数 各50分/100点 国語・社会 各30分/50点 ③2月2日のインターAG回は国際生入試に準ずる。
学納金について、【本科】、【医進・サイエンス、インターSG】【インターAG】のいずれも入学金・授業料などは同額。教育充実費が異なる。【本科】なし、【医進・サイエンス、インターSG】144000円、【インターAG】264000円。

よくある質問と回答

各コース担当者の先生より、よくある質問と回答についてお話がありました。

本科コース

Q:複数回受験のメリット A:試験での加点はないが、試験会場の雰囲気に慣れる、出題傾向に慣れることができる。複数回受けると、自分の得意な領域が出題される。
Q:補欠合格について A:補欠合格は出していない。年度によっては繰り上げ合格を出すことがある。
Q:足切り点について A:設定していない。
Q:広尾学園小石川との併願のメリット A:広尾学園の過去問を使って広尾学園小石川の受験対策ができる。
Q:国際生入試(日本語入試)のスライド合格について A:第一希望のコースを選択したうえで、合否においては医サイ希望者、SG希望者の本科へのスライド合格の制度がある。
Q:午後入試の遅刻者への対応 A:試験開始時間より30分までは受験できる。
Q:塾に通っている生徒はいますか? A:中学生の時期では少ない。勉強についていけないので塾で補習という生徒はほとんどいない。生徒の苦手領域を把握し学校での補習という形で対応している。高校生では大学入試に向けて単科での通塾が見られる程度。
Q:補習について A:中1から高3まで講習や補習講座を実施している。
Q:入学後の海外赴任について A:最低1学期間在籍していると再入学試験を受けることができる。遅くとも高校2年生が終わるまでに戻ってきてほしい。
Q:コース間の交流について A:部活動や委員会活動は一緒に行っているのでコース間であっても交流はある。
Q:レストランは入学後から使えるか A:中学1年生でも利用できる。
Q:部活動の加入率について A:現中学2年生では約8割の生徒が部に加入している。
Q:部活動の活動日について A:基本的に週に3日以内で中学生は5時30分下校。
Q:コース変更の傾向、例年の人数について A:年によって大きく異なる。学年進行によるコース変更については、本科⇔医サイで制度はあるが、希望者はほとんどいない。中学から高校ではどのコース間でも変更可能。※高校からインターナショナルSGコースはなくなる。 現状では本人の希望と成績、模試などの結果を総合的に判断している。

医進・サイエンスコース

Q:医サイ希望だが医学部を志望しなくても大丈夫か A:医学部志望はコースのおよそ3割の生徒。例年、理系学部を中心に幅広い分野に進学しているので大丈夫。
Q:研究活動と学習との両立は大変ではないか A:大丈夫です。先輩たちはみんな両立してきた。研究活動に加え部活動の部長をやって志望校に合格した先輩もいる。役割分担やタイムマネジメントスキルを身につけることができる。自分に合った方法を一緒に考え、やりたいことが全部できるようにしていきましょう。

インターナショナルコース

Q:海外大学受験指導について A:海外大学に必要な指導は外国人教諭25人、日本人教諭15人の本学の教員が全て行っている。出願に必要な試験の情報提供、エッセイ(志望理由書等)の指導も行っている。年間200~250校の海外大学が来校し、生徒向け説明会を開き、最新情報を届けてくれる。海外大学見学ツアーや卒業生による進学説明会等で大学・学部・学科への理解を深めることができる。
Q:SGの生徒も海外大学に進学できるのか A:2018年から2021年までの4年間でアメリカ・カナダ・香港などの大学、累計89校に合格している。

医進・サイエンスコースの補足説明

医進・サイエンス統括長の木村先生より、医進・サイエンスコースの補足説明のお話がありました。

医進・サイエンスコースの補足説明

学問を楽しむ!(人生も楽しむ)というのが医進・サイエンスの基本姿勢。キーワードは共有、様々な人たちと思いを共有していく。
医サイが進める3本の柱「本質を捉える」「本物に触れる」「本気で取り組む」。
「授業」「研究活動」「中高大・産学連携」の土台にICTと英語がある。
研究活動として、週に1〜2回理数研究というものを行っている。生徒それぞれの興味寒心に従って 大学のゼミのようなものに所属する。幹細胞・植物、数論、環境化学、理論物理、現象数理など、数学・理科を中心に30名の教員が1クラスをサポートする。
医サイの中学生たちは、ナノコンポジットイオンゲルを電解質として用いた擬固体型色素など、世界の誰も知らないことを研究テーマにする。教員も自分の専門外のことについては分からないので中学生の方が詳しい。自らの研究のためには先行研究を調べる必要あるが、インターネットには怪しい情報が溢れている。正確な情報は論文にあると教員が教えるので、生徒は英語で論文を読みたくなる。研究していく中で、正しい情報だけが適切な順番で載っている教科書のすごさに生徒たちが気づき、「先生、教科書ってすごいんです」と言ってくる。教員としてそんなことは知っていると言いたくなるが、生徒が自分で気づくことが大切。

得意を深く掘り下げてから横に広げる、学問の楽しさが最優先。生徒にはついつい苦手科目をやるように話してしまい、苦手ばっかり晩協しているということもありがち。学び方を学ぶ。論文読むためには英語を読むことが必要なので、授業を受ける姿勢が変わってくる。細胞培養のためにモル計算を頑張ろうとして化学の授業を受ける姿勢が変わってくる

本物から入ることが大切。美味しいハンバーガーを作るためにはまずハンバーガーを食べよう。レタスの育て方など各論だけやっていても本質には迫れない。本物から入って中等教育の単元レベルに分解し、教員が適切なタイミングで適切な教材を渡す。

授業は学び方を学ぶもの。内発的な動機を軸に学問の本質を学ぶ。細胞の培養などは大学の研究室でないと環境が整わないので、自分のやりたい研究をやるために志望の大学に合格することは大事。

中高大産学連携として、東京理科大、慶應大、順大医学部などの研究室を訪問して学んだ。兵庫県で一番人口が少ない地域の病院に訪問し高齢者の方々と触れ合った。医進・サイエンスコースでは全学年合同の合宿(中1〜高3)を行っている。中1にも高3にもお互い刺激がある。スタンフォード大学での研究発表をしたとき、日本と違って、海外の人たちは疑問をガンガンぶつけてきた。Google元会長とディスカッション したり、人工衛星や脳科学などの様々な国の専門家が英語で講演することをやっている。世界の未来を作るのはあなたたちと私たちは本気で信じている。

学校訪問を終えて

学校の見せ方が非常に巧みで宣伝上手。最新鋭の研究設備、専門的な論文を中学生に書かせる学習システム、先生たちの語り口のうまさなど、学校の魅力をしっかりとアピールできる説明会になっている。講演の途中で学習システムや施設、行事の説明を行うと、そのたびごとに映像が織り込まれ生徒たちの生き生きとした様子が見られる。子供を通わせたくなる親御さんが多いのにも納得。