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投稿日:2025年08月14日

テーマ: 国語

【中学受験】識別に迷う接続語―「だから」と「すると」―

こんにちは、受験Dr.の太田 陽光です。
今回は、識別に悩む接続語について書きます。

接続語に関しては、今までにも書いてきました。その内容は、
接続語の問題では
① 空欄の直前・直後の文末に注目すること
②  空欄の直前の一文だけではなく、段落まで読まないといけない場合もあること
というものでした。
つまり、接続語が関わっている部分がどこまでなのか、を考えないといけないということです。
空欄の直前・直後の一部分しか見ないで答えを判断したため間違える人に対してのアドバイスでした。

今回は、上記のことは理解した人に対して、接続語の働きの微妙な違いを知ってもらうことで、
接続語の問題により強くなってほしいと思います。

 

★順接「だから」と「すると」の違い

私は、接続語の働きで絶対に覚えてほしい、暗記してほしい、と思っているものがあります。
それは、順接です。
接続語は、前と後ろの内容をつなげる言葉なので、
同じ(似た)内容か、逆の内容かの判断は、ほとんどの人ができます。
しかし、前後が理由と結果というものは、知っていないと識別材料を持っていないことになるので、
「だから は 前 原因 後 結果」
と暗唱させ、覚えさせています。

順接の接続語として、多くのテキストには、「だから」・「それで」・「すると」・「したがって」などが挙がっています。
これをそのまま覚えるのが普通の勉強法だと思います。

ところがです。あるテキストに次のような問題がありました。

   にあてはまる接続語を、次の中から選び、それぞれ記号で答えなさい。
ア だから  イ すると ウ しかし エ ところで

選択肢に順接の接続語が二つもあります。
この問題では、「だから」と「すると」が順接だ、と覚えた生徒では対応できませんね。
「だから」と「すると」が順接だ、前原因後結果だ、と覚えた生徒では対応できません。
では、どのように考えたらよいのでしょうか。

例文を挙げてみます。
A雨が降ってきた。だから、人々は傘を差した。
B雨が降ってきた。すると、人々は傘を差した。
どちらも意味が通じる文ですが、つながり方に違いがあります。

A雨が降ってきた だから、人々は傘を差した。
雨が降ってきたので、当然の結果として、人々は傘を差した。
つまり、前に書かれたことが原因となり、その結果として、必ず起こると考えられることが結果として後に書かれるとき、「だから」を使います。

雨が降ってきた。すると、人々は傘を差した。
雨が降ってきた。そうすると、人々は傘を差した。
つまり、前に書かれた出来事のあとに、必ず起こるとは想定できないことも含めて次の出来事が結果として書かれるとき、「すると」を使います。
【前の出来事→後の出来事】という時間の流れが決まっているとも言えます。
雨が降ってきた→(時間の流れ)→人々は傘を差した。
また、「すると」とは「そうすると」という指示語を含んだ言葉の「そう」がないものと考えると、わかりやすくなります。
雨が降ってきた。そうすると=雨が降ってくると
ということです。

「だから」と「すると」の両方が使えない例文を次に挙げます。
C朝起きた。だから、雨が降っていた。
D朝起きた。すると、雨が降っていた。
朝起きたという前の出来事に対し、雨が降っていたという後の出来事は当然の結果ではなく、想定できないことなので、「だから」は使えず、「すると」が使えます。また、出来事が時間の流れになっていることで、そして、「そうすると」で考えると、「朝起きると、雨が降っていた。」ということで、「すると」が使えるとわかります。

同じ前の内容が理由、後の内容が結果という順接の働きであっても、時間的経過を中心に見た場合や、必ず起こるとは想定できない結果が来る場合は、「だから」は使えないことがあります。
判別が難しい接続語は、働きを理解することが大切ではありますが、
中学受験生であるなら、例文を読んで、そのときに違和感を覚えるようになってくれれば大丈夫です。
さらに、今回挙げた例文を参考に、自分で「だから」と「すると」を使った文を考えると、より違和感を覚えられます。
ぜひ文を考えてみてください。

国語ドクター