皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。
理科の気象に関する学習は、様々な専門用語が使われ規模が大きな事柄についてイメージして理解する必要があり、どこまで深く学習するかにもよりますが、なかなかハードルが高い内容になっています。入試問題では、基礎的な知識を直接問う問題や、知識をベースに天気図を見て考える問題など幅広く出題されます。
今回は気象用語の中でも、最近になって出題が増えているものや出題が予想されるものについてお話します。
なぜ出題される気象用語は増えるのか?
中学受験の理科の出題は、範囲があってないようなものです。
多くは中学校や高校に入ってから本格的に学習する内容から前倒しで出題され、一部は最新の科学に関して資料を与えながら出題することもあります。ただし、これまでに様々な学校が出題している問題から逆算して受験勉強用のテキストや問題集は作られているので、出題内容と学習内容が大きく異なることはありません。ベースの知識をしっかりと学んだ上で、自身が受験する学校がどのくらいの理解の深さを求めているかを過去問から確認し対策していきましょう。
そのような中で、気象に関する用語、特に入試で出題される用語は気がついたら増えているということが起きます。これは、理科の学習内容の中でも生活に大きく関わっており、日々変化しているものだからと言えるでしょう。
例えば、何か科学的な発見があった場合、一時期ニュースになるので、ノーベル賞受賞者やその研究内容に関して簡単な時事問題が出題されることはありますが、その研究の本質的な内容に触れるような問題が出題されることは稀です。これは、まだ一般化はされていないので、踏み込んだ内容は出題できないからです。リード文で最新の科学の内容に少し触れてから出題自体は従来通りの内容で出題するといったパターンはあります。
しかし、気象に関しては、その用語に関連することが起これば天気予報やニュースのテーマとして取り上げられて用語を耳にする機会があり、実際にその現象を体感することもあります。そのため、気がついたら一般的に使われる言葉となっており、そのような言葉に興味関心を持っているか、ということで出題されるのです。
天気予報で使われているかがポイント
何を持って「一般的に使われている言葉」と判断するかは難しいところですが、天気予報で使用しているのであれば、広く聞くことになり、正式な気象用語でなくても、出題されることがあります。
例えば『ゲリラ豪雨』という言葉がありますが、気象庁は使用していない言葉です。
公的には『局地的大雨』と言いますが、ゲリラライブやゲリラマーケティングのように「突発的に起こる」という意味で使われるようになり定着していったようです。ゲリラの元々の意味は戦争に関連するということもあり、公的な言葉には認定しにくいと思われますが、日常では一般的に使われ、入試でも選択問題で選択肢の1つになっていることもあります。
用語は昔からあるが最近よく起きている現象
最高気温が35度以上になった日を指す『猛暑日』も最近ではよく出題される用語になっています。
一昔前までは30度以上になった日を指す言葉である『真夏日』の方の出題が多かった印象ですが、実際に35度を超える日が増えてきたため自然と移り変わっていったのでしょう。昔は、「夏日・真夏日・熱帯夜はよく出るので覚えましょう。余裕のある人は、稀に出題されるから真夏日の上の猛暑日も覚えておこう!」と教えていたものです。まだ気象庁には公的な用語として認定されていませんが、『酷暑日』や『超熱帯夜』も出題される日が来るかもしれません。
『線状降水帯』も一般的になってきました。調べてみると用語自体は20年以上前からあったようです。研究者の中では使われていましたが、実際に起こることが少なかったので一般的には聞く機会がなかったということです。最近では頻繁に起こり、災害としての被害も軽視できないので、2022年から気象庁で正式に予測が行われています。
『JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)』も最近使われはじめている言葉です。簡単な説明にとどめますが、冬の季節風が北西から吹いてくるときに山脈にぶつかり二手に分かれ、それが再び一つにまとまろうとする様子を指す言葉です。こちらも1980年代に生まれた言葉ですが、豪雪の原因であると天気予報で説明する際に最近になって使われるようになりました。線状降水帯と同様に大雪が降る範囲が帯状になるため線状降雪帯と呼ぶこともあるようです。
環境問題や災害への関心
中学受験の理科で問われる知識事項は際限が無いと言えますが、生活に関連する内容、またその生活に大きく影響する環境問題や災害に対して興味関心があるかを問うために出題されるという一つの傾向があります。自然とそのようなものに興味を持つことが理想的ですが、受験対策としては話題になりやすいことを確認し意識的に関心を持つようにすると良いでしょう。
それでは、またお会いしましょう!

