「日日是学日!」(⇒ 日々、これ学び!)」
受験Dr.の松西です。
今回は「入試国語・漢字」の話です。
首都圏・関西共に入試時期ですから、単刀直入に「少しでも」得点を上乗せする内容です。
受験生向けに手短にまとめました。さっそくスタートしましょう。
まず漢字の出題形式ですが、「独立型」と「文中型」があります。
「独立型」は大手塾の模試によくある「大問として独立している形式」ですね。
学校でいえば、武蔵、雙葉、浅野、慶應中等部、関西では東大寺など。
「文中型」は文字通り、「出典文章中の単語を問題にする形式」です。
同様に、開成、麻布、桜蔭、早稲田、関西では灘など。
女子学院のように年度によって変わる場合もあります。
独立型は、「出題側の意向通りに作りやすい」ことが特徴。
つまり「字画をミスしやすい字」を問いたいのであれば「糸へんの字」や「『衛』の字」など、
生徒がぐちゃぐちゃっと雑に書きがちな字を用意すればいいし、ちゃんと字の違いを整理して
学習できているかを問いたければ「しめす偏ところも偏を含む字」や「『績』の字」など
「他の字(積など)と似ているため混同されやすい字」を出せばいいです。
小学校の学習範囲内でもっとも難しい部類の漢字を用いた熟語を出すことも容易です。
このグループの中学には漢字問題にこだわりのある学校、という印象があります。
視点を変えて言えばその学校の「出題のクセ」が出やすいので、過去問を解いた後も漢字に
ついては間違った字をリングメモなどに転記してしっかり覚えてください。最低でも10年分はストックしましょう。
一方で文中型ですが、出典文中に傍線を引いて出題するパターンです。こちらは作る側から
するとけっこう厳しい制約になります。
出典は作題のために選ぶわけであり、漢字の問題への配慮は二の次です。軸になる問題を作った後に出題漢字を選ぶわけですが、毎年決まった数の漢字問題が出される形式だと、文中から全部用意するのはたいへんです。一度やってみると分かりますが「あと1つあと1つ…」と文章とにらめっこしながら探す感じです。とくに易しめの物語文だと、なかなか「出題したい漢字」が出てきません。そうこうして選ばれる漢字のひとつが「快」です。
たとえば物語文で「快い風が頬(ほお)をかすめていった」などの表現があれば、問題に即採用ですね。物語文中に出やすい、ほどほどに難しい字、という訳です。
というわけでここからが本題です。
入試によく出やすい漢字の組み合わせを一部紹介しますので、入試に役立ててください!
個人的に調べた2000題ほどの漢字問題からのデータです。莫大な数の入試漢字からすれば
ほんの少しですが「標本調査」としては入試国語の傾向をとらえられていると思います。
(ただし標本の母集団が偏差値55以上の学校群、という偏りはあります)
話の流れ的に「文中型の傾向かな?」と思われてしまうかもしれませんが、文中型はこれといった傾向がありません。ただ、後述するように「論説文or物語文に出てきやすい漢字」を想定し、出題ランキング上位のものからピックアップしていきます。
もちろん、独立型漢字の出題校を受ける受験生も参考にしてください。
では、まず先ほど扱った「快」より始めます。
「快挙」「快気(祝い)」「痛快」「快適」「快活」「不快」など。もちろん「ココロヨイ」全部に
傍線が引かれた場合でも、送りがなをミスしないようきっちり覚えましょう。
次は「垂」です。訓読みで「垂らす」ですね。「アマダレ(雨垂れ)」と問われるととっさには
出にくい。「垂直」「垂線」などの出題があります。この字は「覚え間違い」をしていないか、
という点で問われます。「郵」の字が問われやすいのと同じで、横線に余計な一画を入れてしまう生徒が多いのです。
次は「備」です。「備える」「備わる」などのほかに「準備」など出題されます。
これは独立型でも出す学校が多く、その狙いは「字形のややこしさ」(「構」のつくりと混同
しやすい)点と、「供える」との同訓異字関係にある点でしょうね。
「機」「奮」は字形の難しさでよく問われます。「機」は「機械」「機会」の同音異義のほか、
「心機一転」「機先を制す」などの言い回しで頻出。「奮」は「奮(ふる)う」の形で出題されるほか、「興奮」「奮起」など。ただ「発奮(はっぷん)」などになると出題されにくいです。
意外なところでは「生」でしょうか。これは一見すると簡単ですが「生える」と「映える」が
同訓関係にあります。「芽生え」の形で問われるほか「芝生」の読み、「生地」の書き取り、
「往生際」「生半可」「生易しい」「生誕」「衛生」など、他の字との組み合わせが多いですね。
「平生(へいぜい)」「今生(こんじょう、「根性」との同訓異字)」の出題もあります。
次は「典型」「博覧」「枚挙」「根幹」ですね。どれも論説文で出やすい熟語です。
典型的はステレオタイプという「外来語」とのからみでも出題。「博」は「専(これも頻出)」との字形混同のチェック、「覧」のつくりを「貝にしてしまう」など、ミスの多い字です。
「枚挙」は「枚挙に暇(いとま)がない」の言い回しで、意味を問われることも多いですね。
「根幹」は「幹」がポイント。「基幹産業」などの「キカン」は同音異義が多い言葉ですので、
意味をふまえた上でしっかりと使い分けたいですね。
一方で物語文に出やすい字を挙げると「幼」「朗」あたりに挙げられます。
「オサナイ」「ホガラカ」のどこまでが漢字か、きちんと覚えておきましょう。
ほかに「幼少期」「明朗」「朗報」などでも出題されます。
その他、「《ツトめる三種》務・努・勤」「《ホショウ三種》保証・保障・(補償…学習範囲外)」
などをはじめとした同音異義・同訓異字は頻出ですので「文脈から使い分けできるよう」に
確認しておきましょう。
今回は短めに、ここまでです。
漢字の配点はわずかです。人によっては漢字よりもほかの(理・社など他教科を含めた)ものを優先した方が、得点効率がいいのかもしれません。
入試で合否を分けるのは、実は「基礎・基本の問題を確実に正解する」ことではないか、と
考えます。難問・奇問は、どんなレベルの高い学校でも配点割合は少なめです。基本をないがしろにせず、効率よくチェックすることが大切だ、と今回のブログを通じてお伝えしたい。
自分の受験に真剣に向き合ってきた生徒ほど、不思議と「自分の必要とする情報」が
舞い込んでくるものです。自己の強みと弱みを知っていることに加え、アンテナの張り方が
うまいのでしょう。
あべこべに、慌てふためいて「どうしよう!」とパニックになっていると、あまり優先順位が
高くないものに飛びついてしまうこともしばしば。他の誰かの成績が伸びた方法が、自分も
同様に伸びる方法だ、とは限りません。
大切なことは「自分と向き合う」ことです。あとわずかでも入試まで時間が残っているので
あれば、長く積み上げてきた自分の努力をもう一度客観的にみつめなおし、もっとも確実なものに絞って補強しましょう。今回の漢字の話が、この時期の受験生の助けになれば幸いです。
がんばろう、受験生!

