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投稿日:2026年02月13日

テーマ: 理科

【中学受験理科】マイクロプラスチック問題と生物濃縮

受験Dr.算数・理科科の川上です。

今回はタイトルの通り、マイクロプラスチック問題と生物濃縮について触れていきます。

海や川に流れ出したプラスチックごみが、長い年月をかけて細かく砕けたもの──これが「マイクロプラスチック」です。
2026年の今、世界中で規制や対策が進む中学受験の定番テーマですが、特に注意しておきたいのが 「生物濃縮」と組み合わせた出題 です。
表面の理解だけでは解けず、仕組みをしっかり説明できるかが問われます。

まず、生物濃縮とは何か。
これは「食物連鎖が上にいくほど、有害物質の濃度が高くなってしまう現象」です。たとえば、水中に化学物質が100あるとします。それをプランクトンが少しずつ取り込み、次に小魚が大量のプランクトンを食べ、大きな魚がその小魚を食べ…という流れで、段階ごとに取り込む量が増えてしまう仕組みです。もともと微量で害がなかった物質でも、最終的には高い濃度になってしまうことがあります。
この考え方がマイクロプラスチックと相性よく出題される理由は、「マイクロプラスチックそのものに汚染物質が付着しやすい」という性質にあります。海を漂ううちに、油や化学物質、農薬の残りなどが表面に吸着しやすく、ただの小さなゴミではなく「有害物質を運ぶスポンジ」のような存在になってしまうのです。つまり、マイクロプラスチックは単に「見た目が小さいゴミ」ではなく、化学物質を運び、生物の体内に入り込みやすい“運び屋”でもあります。

ここで登場するのが、生物濃縮です。まず、プランクトンがマイクロプラスチックをエサと勘違いして取り込むことがあります。次に、そのプランクトンを食べる小魚がマイクロプラスチックと付着した物質をまとめて取り込みます。段階を追うごとに濃度は高まり、最終的には大型の魚類や海鳥、そして人間の口に入ってくる──これが受験でよく問われる流れです。

ここ数年の入試では、「なぜマイクロプラスチックは生物濃縮を起こしやすいのか」を文章で説明させる問題が増えています。単に“プラスチックが小さいから食べてしまう”では不十分で、
①分解されにくい(体外へ排出されにくい)
②表面に汚染物質が付着しやすい
③食物連鎖の上位ほど、取り込む総量が増える
この3点をつなげて説明できるかが得点の分かれ目です。

2026年は、国連が進める「プラスチック汚染防止条約」の交渉が大詰めに入り、各国がマイクロプラスチックの排出削減を法制度としてどう落とし込むかが焦点になっています。特に海洋国である日本では、沿岸のマイクロプラスチック密度が東アジアの中でも高い時期があり、研究も盛んです。最近では、洗濯排水の細かい繊維プラを取り除く家電メーカーの新技術や、河川での回収装置の実験も進み、家庭生活と技術、環境が直接つながる話題が増えています。

家庭でこのテーマを学ぶポイントは、「数字よりも因果関係」です。マイクロプラスチックがどれほどあるかというデータよりも
・なぜ分解されにくいのか(プラスチックの化学的な安定性)
・なぜ生物濃縮と結びつくのか(“食べられる→排出されない→たまる” の流れ)
・なぜ生活排水やタイヤの摩耗が発生源になるのか
といった「なぜ」を押さえると、応用問題に強くなります。

さらに、「じゃあ、どうすれば減らせる?」という次の問いに親子で取り組むと理解が深まります。使い捨てプラスチックを減らすだけでなく、合成繊維の服の扱い方を変えたり、洗濯ネットを活用したり、日常の小さな選択が排出量に直結することが実感できます。中学受験で問われるのは単なる暗記ではなく、自分の生活と環境がどうつながっているかを説明できる力です。

マイクロプラスチックと生物濃縮は、2026年の時代背景ともリンクし、子どもたちにとって「環境問題を自分ごととして考える入り口」になります。時事と理科の基本を結びつけながら、家庭でもぜひ話題にしてみてください。

それでは、今回はこれで失礼します。

受験Dr.川上亮

理科ドクター