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投稿日:2026年01月02日

テーマ: 理科

中学入試の理科で狙われる最近の気象用語「南岸低気圧」

こんにちは。
受験Dr.の科学大好き講師、澤田重治です。

冬になると、「関東で雪の予報」「大雪のおそれ」などのニュースを目にすることがあります。
そして、関東で降雪の可能性があるときに、
近年よく登場するのが、「南岸低気圧」という言葉です。

今回は、雪と関わりの深いこの低気圧について、
中学受験で問われやすいポイントもふまえて解説していきます。

 

南岸低気圧とは?

南岸低気圧とは、本州の南側(太平洋沿岸)を通る低気圧のことです。
ふつう、冬は日本海側に雪が多く、太平洋側は晴れる日が続くのですが、
この南岸低気圧がやってくると、太平洋側でも天気が崩れ、雨や雪が降ることがあります。

とくに関東地方では、この南岸低気圧が大雪の原因になることが多いのです。
東京都心で積雪が記録される日は、多くがこの南岸低気圧によるものです。

たとえば、2014年2月に東京で記録的な大雪となったときも、南岸低気圧が原因でした。
2018年1月にも、急発達した南岸低気圧と強い寒気の影響により、
東京都心などでは4年ぶりの大雪となりました。

低気圧の進むコースが少し変わるだけで、雪の量が大きく変わることがあり、
交通や生活に大きな影響を与えます。
雪になれていない都心部では、少し雪が積もるだけで大混乱になることもあるのです。

 

南側を低気圧が通るとどうして雪になる?

先ほどもかきましたが、冬の太平洋側というのは、ふだんは雪が少ない地域です。
それなのに、なぜ南岸低気圧のときは雪が降るのでしょうか。
ポイントは、「上空の寒気」と「湿った空気」の組み合わせです。

低気圧は中心に向かって周囲から空気を吸いこむ性質があります。
南岸低気圧も低気圧の一種ですから、
北からは冷たい空気のかたまり(寒気)を、
南からは温かく湿った空気(暖気)を吸いこんできます。

さらに、その寒気と暖気の境目にできる前線では、
その北側に雨域(雨や雪が降る場所)ができますから、
関東地方の南側に「南岸低気圧」を中心とする前線があることで、
その北側にあたる関東地方に雪を降らせることになるのです。

もちろん、南岸低気圧があるからといって、必ずしも雪になるわけではありません。
気温などの影響もあるからです。

 

雪になる場所・ならない場所

実際に、同じ日の同じ関東であっても、場所によって雪になったり雨になったりします。
内陸部(前橋・熊谷・八王子など)は気温が低く、雪が積もりやすい傾向があります。
一方、海に近い千葉や神奈川では、気温が高めのため、雨になることも少なくありません。

こうした違いは、気温・地形・風の向きなど、いくつもの要素が関係しているため、
天気予報でも予測が難しい現象のひとつといわれています。

なお、南岸低気圧によって関東地方に大雪が降るのは、
1~2月に発生しやすい気象現象であるため、これからの時期は特に注意が必要です。

タイミングが悪ければ入試にも影響を与えかねません。

 

入試での出題にも注意を

中学入試では、天気図や気温・湿度などの情報をもとに、
天気を予想する問題が出ることがあります。

たとえば、
・関東地方の南側に低気圧が近づいている
・地上の気温が0℃以下
・上空には寒気がある
という条件がそろっていたら、「雪」と判断できます。

 

「南岸低気圧」は、ここ数年の間によく聞かれるようになってきた用語なので、
まだあまり、塾のテキストや問題集には出ていないかもしれません。

しかし、「線状降水帯」などと同様、出題が増えてきている重要なキーワードになります。
入試当日の天気への注意とともに、ぜひこの機会に覚えておいてください。

 

次回もまた、楽しくて中学受験の役に立つ、身近な科学の話をお届けします。
どうぞお楽しみに!

理科ドクター