皆さま、こんにちは!
中学受験の基礎知識について、「実はよくわかっていないかも…」という内容を説明します。
前回は、キリスト教を学校のルーツに持つミッション・スクールについてご説明しました。
今回は、仏教や禅、神道などの「東洋思想」が設立母体や教育理念に関係している学校がテーマです。
知っている方にとっては常識かもしれませんが、あまり詳しくないという方のために基本的なことをお伝えします。
ミッション・スクール以上に多種多様
前回のミッション・スクールと比べると、今回のテーマの学校群はさらに幅が広い印象です。
説明の都合上、大きく「東洋思想」とまとめてみましたが、実際には多種多様です。
仏教だけに絞っても、真言宗、天台宗、浄土宗、浄土真宗、日蓮宗、華厳宗などなど宗派が多く存在します。
禅においても、臨済宗や曹洞宗などいくつかの宗派があります。
さらに、宗派を明示するタイプの宗派直結の学校と、教育理念を仏教に求めるタイプの学校に分かれます。
また、仏教以外でも日本古来の神道や、儒教や漢学などをルーツに持つ学校もあります。
ミッション・スクールと同様、信仰を強制されることは通常はありません。
ただ、一部の学校で宗教的な行事が行われることはあります。
ミッション・スクールでは、「隣人愛」や「奉仕の精神」といったキリスト教の精神に触れることができます。
一方で、「東洋思想」の学校では、「心身の修養」「徳」「修行」といった考え方に触れることが多くなります。
歴史が長い学校も多く、前身の学寮・学林までさかのぼれば、1000年以上の歴史がある学校もあります。
宗教的な理由というよりも、伝統や進学実績、教育理念で選ばれるご家庭がほとんどかと思います。
日本古来の考え方や伝統といったものを重要視されるご家庭にとっては魅力的な選択肢になるでしょう。
「寺子屋」という言葉が示す通り、近代以前の日本では、全国各地にあるお寺が私塾の役割を担ってきました。
江戸時代の識字率が世界的に見ても非常に高かったことは有名ですが、「寺子屋」がその理由のひとつです。
「寺子屋」が日本の教育水準を高く保ってきたのは間違いなく、和算や天文学の発達もこれと関係しています。
庶民がお寺に行って、読み書き、そろばんを教わるということはひとつの文化だったわけです。
そういった背景もあり、明治以降に仏教を中心に「東洋思想」ルーツの学校ができるのも自然だったと言えます。
ミッション・スクールと同様に、私立中学入試で一定の存在感を持つ学校群です。
以下が、全国にある「東洋思想」がルーツの学校の一覧です。
前回のミッション・スクールと同様に、この表はあくまで一部の学校であって、すべてではないとお考えください。
前述のように、かなり幅が広いのですべてを網羅するのは難しいです。
また、学校によって、宗教教育をどのくらい授業として行うのかも差があります。
詳しいことについては、必ず学校の資料やホームページでご確認ください。

このように見てみると、当然というべきか、特に仏教系の学校は関西に多いことがわかります。
全国クラスの難関中学も多く、奈良の東大寺学園、京都の洛南中学、大阪の四天王寺中学がその代表です。
東京大学、京都大学、国公立医学部などに非常に高い進学実績を持っています。
歴史が古い学校も多く、前述したように、前身の学寮・学林までさかのぼれば1000年以上の学校もあります。
たとえば、東大寺は奈良の大仏開眼の752年ですし、四天王寺は聖徳太子のいた593年(!)です。
比叡山や高野山も最澄、空海の開山までさかのぼれば、1200年近い歴史があります。
ちなみに、四天王寺中学は公式には2022年に創立100周年を迎えました。
慈母観音への合掌・礼拝、仏教聖歌や般若心経を唱えるなど、宗教行事に熱心な女子校としても有名です。
また、和歌山の智辯和歌山中学は、甲子園常連の野球の強い学校のイメージがあるかもしれません。
もちろんそのイメージはあっていますが、一方で全国でもトップクラスの進学校でもあります。
「宗教」が必修授業であったり、読経をしたり、という宗教的な特色を持ちつつ、学業においても優秀な学校です。
その他の地域では、愛知にある東海中学も、医学部への高い合格実績を持つことで知られています。
首都圏では、芝中学や世田谷学園中学が男子校として毎年多くの受験者を集めます。
女子校では、埼玉の淑徳与野中学が都内入試前の腕試しとして人気が高いです。
國學院大學久我山中学も神道をルーツに持つ学校ですが、男女別学という変わった形式をとっています。
東京西部にお住いのご家庭と進路相談をすると、高い確率で受験校として名前が挙がる学校です。
関西の入試日程
関東にお住まいのご家庭で、関西の学校の受験も考えてみたいということがあると思います。
特に、首都圏の成績上位層は「遠征」として灘中学を受験するケースが実際にあります。
そのときに気を付けていただきたいのが、関西の中学入試の入試日程です。
首都圏では、入試日が日付によって決まっています。
都内・神奈川では、原則2月1日からですし、埼玉は1月10日、千葉は1月20日が中学入試の解禁日です。
ところが関西圏の入試は、「1月の第2あるいは第3土曜日」を入試解禁日とするのが通例です。
日付としては、1/13以降の最初の土曜日となるはずですが、日付で固定されていないことに注意しましょう。
必ず各学校が発表する公式の入試日を確認するようにしましょう。
首都圏から関西の中学入試に「遠征」する場合は、現地近くのホテルに宿泊することがほとんどになります。
土日に当たっていることもあり、ホテルの予約を早めにとらないと宿泊先が確保できないこともありえます。
出願はしたのに実際の入試には参加できなかった、ということにならないように気を付けましょう。
今回は以上になります。
では、また次回お会いしましょう。

