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投稿日:2025年05月15日

テーマ: 国語

中学受験国語 かくれ指示語問題の攻略① 選択肢編

みなさんこんにちは。受験Dr.の久米です。
今回は、「指示語問題」と「かくれ指示語問題」についてお話しします。

「指示語問題」とは、指示語の内容そのものを問う問題です。
以下のようなものが代表例です。
『「こういう考え」とはどういう考えですか。次のア~エの中から答えなさい。』
『「そのやり方」とはどういうやり方ですか。40字以内で答えなさい。』
上記のような問題は、指示語の内容そのものが問われています。
このような問題でお子さんが最初にやることは、指示語の内容を本文から探すことでしょう。
指示語の内容を明確にしないまま解き始めるお子さんはいません。
ところが、「かくれ指示語問題」においては、指示語の内容を明らかにしないまま
解き始めてしまうお子さんが後を絶ちません。
それでは、「かくれ指示語問題」とは、どのような問題なのでしょうか。

「設問や傍線部の前後にある指示語の内容を明らかにすることで解きやすくなる問題」のことを
「かくれ指示語問題」といいます。
「かくれ指示語問題」の例を2つ挙げます。
例1 「その『きずな』を可視化する」のはなぜですか」
例2 「『この理解の仕方』とはどういうことですか」
上記の問題では、指示語の内容を理解したうえで、
理由を答えたり、言いかえを行ったりしなければなりません。

「かくれ指示語問題」を解く手順としては、
まずは指示語の内容を明らかにし、その上で設問の文脈に沿って答える、ということになります。
「その」や「この」の内容を明らかにしないまま解くと、とても難しい問題です。
しかし、指示語の内容が分かれば、簡単に解けることが多いのです。

例題①
 自分が相手にどういう行為を投げかけるのか。相手が、どんな行為を投げ返してくるのか。こうして、ふたりの関係がある「かたち」をもっていく。
 「親友」や「恋人」、「家族」といったカテゴリーは、その一時的な「かたち」にあとから説明を加えるためにもち出されているにすぎない。だから、「関係」はもろいし、移ろいやすい。でもだからこそ、「関係」は互いの行為によって変えることができる。
 ぼくらの手で変えられる社会のありさまに目を向ける。世の中を動かす「権力」や「構造」、「制度」といったものは、とても巨大で強力だけれども、まずはすべてをその「せい」にすることをやめてみる
 では、どうやって自分たちの手で「関係」の網の目としての社会を作り上げていくのか。

問 傍線部「まずはすべてをその『せい』にすることをやめてみる」というのはなぜですか。もっとも適当なものを次の1~4から一つ選び、番号で答えなさい。
1 権力や制度などは巨大で強力なものであるが、社会は人が関わり合う中で変化する部分も確かにあるから。
2 人と人との関係を網の目としてとらえると、様々な既存の枠組みは人の行為の前では無意味になってしまうから。
3 固定的な枠組みにしばられて、最初から異質なものとの関係を築くことを諦めてしまうと多様性が育たないから。
4 社会や時代は動き続けているのに、自分を受け身と思いこむのは社会をつくっていける当事者の責任感に欠けるから
(吉祥女子中2020 改題)

「すべてをその『せい』にすることをやめてみる」とは、いったいどういうことでしょうか?
指示語の内容を明らかにせず、そのまま答えようとすると、何のことやらわかりません。
ここは、「かくれ指示語問題」の解法通り、まずは指示語の内容を考えましょう。
「その『せい』にすること」の内容は、傍線部の直前にある、
「とても巨大で強力」な「権力」「構造」「制度」です。
同じ内容が入っているのは1しかないので、答えは1となります。
あっけなく解けてしまいました。
もう1つ例題を出します。

例題②
 けんかなどをすると、コーヒーに呼ばなくなったり、呼ばれなくなったりする。そして、また、ひょんなことから再開したり、メンバーが入れ替わったりする。隣近所が誰とコーヒーを飲んでいるか、集落の人はだいたい知っている。コーヒーをともに飲むことが、「親密な関係」を公的な事実とし、そのつながりを可視化するのだ。

問 傍線部「そのつながりを可視化する」とはどういうことですか。もっとも適当なものを次の1~4から一つ選び、番号で答えなさい。
1 コーヒーを飲んでいる人同士が親しい関係であることが、誰の目にも明白になるということ。
2 コーヒーをいかに多くの人と飲んでいるかで、交友関係の広いことが自然に分かるということ。
3 隣近所を招いてコーヒーを飲んでいるうちに、民族や宗教の違いが解消されていくということ。
4 それぞれの家がコーヒーを公然と飲むことによって、集落内の結束も強くなるということ。
(吉祥女子中2020 改題)

解法を知らなければ、「つながり」を言いかえると「関係」になるから1か2のどちらかのはず…、
という考え方になります。
解法を知っていれば、「そのつながり」は直前にある「親密な関係」だから、言いかえがあるのは1だけ、
だから答えは1に決まってる!、と短時間で明確な答えが出せます。

中学受験において、「かくれ指示語問題」は非常に多く出題されます。
例題に取り上げた2020年1回の吉祥女子では、論説文で4問、物語文で2問、
合計6問も出題されています。
設問に指示語があったら、まずは指示語の内容を考えましょう。
慣れてくれば、「あっ、かくれ指示語問題だ。指示語の内容を明らかにすれば簡単だ!」
となるはずです。

それではまた。
受験Dr.、久米でした。

国語ドクター