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投稿日:2025年11月20日

テーマ: 算数

【中学受験算数】志望校の過去問で時間切れになる受験生の共通点と対策

みなさん、こんにちは。
受験Dr.の坂井です。

「模試ではいつも高得点。でも、志望校の過去問になると時間が足りなくて、最後まで解ききれない…」「学校別模試になるとミスが増えて、本人も落ち込んでしまう…」

そんなお悩み、不安を抱えていたりしませんか?
実はこのようなケース、算数が得意な受験生ほどよく見られます。基礎力はあるのに、過去問になると力を発揮しきれない。そんなギャップに戸惑うご家庭も多いのではないでしょうか。

今回は、そうした受験生の“つまずきポイント”を整理しながら、具体的な対策と声かけの工夫をご紹介します。「自分はできる」と思えるようになるためのヒントになれば幸いです。

 

◎「なぜ模試ではできるのに、本番形式ではできない」のか

このギャップには、いくつかの要因があります。

① 問題構成のちがい

一般的な模試は、複数の単元からバランスよく出題されます。誘導も丁寧で、時間配分もしやすい構成になっています。一方、志望校の過去問は、学校ごとの出題傾向が強く出ます。図形に偏っていたり、速さの応用が連続して出たり、記述力や思考力を問う問題が多かったり。つまり、模試とは“問われ方”が違うのです。

② 時間配分の難しさ

模試では「1問○分」といった感覚で解ける問題が多いですが、過去問では「前半は易しいが後半は超難問」「誘導が少なく、解法の方針を自分で立てる」など、時間配分の判断力が求められます。

時間配分がうまくいかなかったときの代表例として次の3つが挙げられます。
ⅰ)計算が複雑で、想定以上の時間を費やしてしまった。
ⅱ)解法の方針を立てる際に、想定以上の時間がかかってしまった。
ⅲ)解けそうで解けない問題に時間をかけすぎてしまった。

もっとも厄介なのがⅲ)です。「いったん飛ばす」勇気が必要です。思い切れないと大きく結果が異なる事態になることも。算数を得意とする受験生に多くみられます。

③ 精神的なプレッシャー

「この学校に行きたい」「この模試で合格判定を出したい」そんな気持ちが強いほど、緊張や焦りが出てしまい、普段通りの力が出せなくなることもあります。

 

◎時間切れになる受験生の共通点

実際に多くの受験生を見てきた中で、以下のような傾向が見られます。

時間切れになる受験生の共通点

これらは、決して「悪い癖」ではありません。むしろ、真面目で丁寧に取り組む姿勢の表れです。ただ、入試本番では「限られた時間の中で、最大限の得点を取る」ことが求められるため、戦略的な力も必要になります。

 

◎「時間切れ」対策の3ステップ

どの受験生も知っているはず、次の3ステップを改めて意識してみましょう。
「時間切れ」の受験生は、実行してみるとよいでしょう。

【ステップ1:過去問を“知る”時間をつくる】

過去問演習の数をこなして慣れていく、これも1つの手段ですが、まずは解く前に過去問の「分析」する時間をとってみましょう。
・ 出題分野の傾向(平面図形? 速さ? 規則性?)
・ 難問の位置(後半? 中盤?)
・ 計算量 記述量
・ 誘導の有無
こうした視点で見ていくと、「この学校はこういう力を見ているんだな」と気づくことができます。漠然とした不安が減り、戦略的に取り組めるようになります。

 

【ステップ2:時間配分を“練習”する】

過去問演習では、ただ時間内に解くだけでなく、時間の使い方を意識した練習が効果的です。
たとえば:
・ 【前半15分】確実に得点できる問題を拾う
・ 【中盤15分】やや難しい問題に挑戦
・ 【後半10分】見直し or 難問にチャレンジ

 

【ステップ3:ミスの“種類”を記録し、対策する】

ミスには「計算ミス」「読み間違い」「設問の取り違え」「図の描き間違い」など、いくつかのパターンがあります。演習後は必ず「どんなミスだったか」を記録し、次回の演習前に見返す習慣をつけましょう。
この“ミスノート”は、受験直前まで使える貴重な教材になります。

 

◎ 声掛け

受験生がもし自信を無くしていたときは、周囲の声掛けが大きな力になるものです。
・「模試でできているってことは、力はあるってことだよ」
・「過去問は慣れが必要だから、今はその練習中。まだまだ上がる要素はあるよ」
・「今日は時間配分がうまくいったね。少しずつ慣れてきてるよ」
こうした声かけが、自己肯定感を育ててくれます。小さな成功体験を一緒に喜ぶことも、次への原動力になります。

 

◎ 最後に:算数は「自信の勝負」でもある

算数の力は、知識や技術だけでなく、「自分はできる」と思えるかどうかで大きく変わります。模試で好成績を取れている受験生は、確かな土台を持っています。あとは、過去問という“本番形式”に慣れ、自分の力を信じて挑むだけ。
このブログが、そんな受験生とご家族にとって、少しでも安心と希望につながることを願っています。
そして、みなさんの志望校合格を心より応援しています。

それでは、またお会いしましょう。

算数ドクター