みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
今回は「難問を解く方法」です。
解くのが難しい問題は、どこに着目しどう展開していくのか。
2025年筑波大附属駒場中学の入試問題を使用して説明します。
筑駒の算数は大問4題で、小問が3~4問となっています。
試験時間が40分と短いためテンポよく解いていく必要があります。

場合の数は、まず「全部調べるとしたら何通り」かを考えましょう。
ア、ウ、キ全て3通りずつあるので、3✕3✕3=27通りです。
これはそんなに多くありませんので、樹形図を描いて答えを求めましょう。
(1,4,7)(1,5,9)(1,6,8)(2,4,9)(2,5,8)(2,6,7)(3,4,8)(3,5,7)(3,6,9)の9通りです。

(1)から繋がる問題です。先にこちらの問題を見ていたら、(1)で9通り全て
書き出すことが必要だとわかるでしょう。
イ、ウ、エに並べる3枚の組み合わせを考えると(4,5,6)しかありません。
ア、ウ、キとイ、ウ、エの両方に共通するのはウなので、ウに入る数から考えます。
ウ=4のとき、アとキに入るカードの組み合わせは3通り、イとエに入るカードの
組み合わせは2通りなので、3✕2=6通りです。
ウ=5、ウ=6のときも同様なので、6✕3=18通りです。

これも(2)から繋がる問題です。ア、イ、ウ、エ、キの組み合わせと、
オ、カ、キ、ク、ケの組み合わせの積を求めることになります。
オ、カ、キ、ク、ケの組み合わせですが、9枚から5枚選ぶのではなく、
「選ばない4枚」を選ぶほうが求めやすいです。
細かく場合分けをする必要があるので、(1)(2)を最低限の時間だけで解き、
(3)にしっかり5~6分くらいかけて答えを求めましょう。

規則はしっかり書かれているので、「〇組の△番目」のように記録しながら
数字を確認しましょう。
まず上から8段目、左から8列目は③の真ん中=3組の7番目
と分かります。3組は51から始まるので、51+6=57と求められます。
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の逆パターンです。203は9組の3番目の数です。
図1・図2と照らし合わせながら答えを求めましょう。ここは時間をあまり
かけず正解を求めたいところです。

(1)(2)と同じように解いていけば良いのは分かります。ただ、数が大きいため
一つひとつ確認しながら解き進めましょう。
それでも(4)はかなり大変です。先に大問3、4に進むのが良いでしょう。
(3)は解きましょう。1947÷225=8あまり147→ 9⃣の147番目
147÷25=5あまり22→ 9⃣の中の6組22番目
= 9⃣の中の上から14段・右から10列
よって、上から14段、右から40列となります。

図形の問題は丁寧に作図しましょう。試験ではコンパスや定規が使えない場合が
多いので、ついフリーハンドで図を描くことだけしている人も多いと思います。
しかし、普段の学習ではコンパス・定規を用いて丁寧な図を描き、「正しい図の
イメージ」をおぼえましょう。特に(イ)のように囲まれる部分は、正確な図を描かない
と間違える可能性が高いです。

(ア)は(1)と同じ動きがくり返されるので、(1)(ア)の答えの4倍をすぐに
求めましょう。
(イ)は単純に4倍ではありません。中央付近にもう一つ軌跡で囲まれる
図形が現れることです。それらを正十二角形から引きます。
正三角形の面積に関する情報が与えられたときは、「正三角形を使う」
ということも意識しておきましょう。

速さだから面倒だなぁと思うとダメです。速さが上りと下りで変わりませんので、
2人が同時に着くには、「歩いた距離と自転車の距離」が等しくないといけません。
(豊が自転車で進んだ距離=学ぶが歩いた距離のため、等しくなければ自転車
で進んだ距離が長い人が早く着きます)
ということは、C=中間地点のMとなり、3000mと計算しなくても求められます。
筑駒の(1)はこういう難易度も問題も出ますので、見た目に惑わされないように
しましょう。

(ア)は上りと下りの速さが異なります。D地点が上り坂の途中か下り坂の途中かで
場合分けをし、式を作って考えましょう。
Dが上り坂の途中にある場合
徒歩の速さ:毎分1m、自転車の上りの速さ:毎分2m、下りの速さ:毎分4m
ADの距離を〇mとすると
豊さんは、〇÷2+(3000-〇)÷1+3000÷1=6000-〇×1/2
学ぶさんは、〇÷1+(3000-〇)÷2+3000÷4=2250+〇×1/2
これが等しいので、〇=3750となりますが、これはDが上り坂の途中にある
という仮定に反するのでダメです。
Dが下り坂の途中にある場合、MDの距離を〇mとすると
豊さんは、3000÷2+〇÷4+(3000-〇)÷1=4500-〇×3/4
学ぶさんは、3000÷1+〇÷1+(3000-〇)÷4=3750+〇×3/4
〇×3/2=750 〇=500となり、条件に合います。よって3500mが答えです。
小学生らしくない解き方かもしれませんが、これが最速で効率の良い解法です
ので、身に付けておくと良いです。
(イ)も同様に式処理で解くことができます。言いかえれば、式処理だけで解ける
問題は練習している人であれば、ほぼ確実に正解できるため、「落とせない問題」
であるとも言えます。
今回は筑波大附属駒場中2025年の問題を用いて、難問を解くためのポイントを説明しました。筑駒の「難しい」ポイントは、解答時間の短さに対する処理量の多さと
言えるでしょう。普段の学習でも、「正解する」から「最速で正解する」への意識変化
が必須です。漫然と解かず、常にレベルアップを図っていきましょう。

