みなさん、こんにちは。
受験Dr.の佐倉です。
日中の気温がぐっと上がり、夏が始まりつつあるのを感じますね。
この時期は体調を崩しやすくなりますから、どうかお気をつけください。
さて、本日は乱文整序問題についてお話しします。
乱文整序問題とは、本文の一部分を抜き出してばらばらに並べた選択肢を、本文の流れに沿って正しく入れ替える問題のことです。
本文の内容は理解できているのに、何を基準に順番を決めたら良いのかわからないという方もいるのではないのでしょうか。もちろん、本文の流れに合うように並べ替えたら良いのですが、その流れをどのように整理すべきなのかがわかっていなければ、すぐには答えが出せません。
今回は、並べ替えるときに注目すべきポイントをお伝えします。
まずは、選択肢と、本文で選択肢が当てはまる範囲の前後の文を読んでください。
選択肢の前後の文で何について書かれているかを理解したら、選択肢の意味や流れを考えるよりも先に、ヒントとなる言葉に注目しましょう。
ヒントとなる言葉とは、主に次の三つです。
・指示語
・順番を表す言葉
・接続語
では、実際の入試問題を例に見ていきましょう。
成城中学校2014年の問題です。
本文中の□に当てはまるように、次の選択肢を並べ替える問題です。
①聞く方も、ある広がりのままに聞いて答える。
②そういうやりとりのほうが、長い歴史の中で培ってきた日本人のもともとの性分なのかな、という気がします。
③ある事柄を、ある広がりのままに表現して伝える。
④あるいは、その広がりを自分の中に留める。
では、ヒントとなる言葉を探していきます。
指示語
選択肢②「そういうやりとり」と④「その広がり」が見つかりますね。二つあるので、順に考えていきましょう。
まずは、②「そういうやりとり」についてです。
指示語があったら、その指示語が示している内容を探します。「そういうやりとり」とは、どのようなやりとりでしょうか。
選択肢の中から「やりとり」の内容に合うものを探します。選択肢の中にないときは、本文から探してください。
今回は、選択肢①と③、二つの内容です。よって、①と③の両方が②よりも前に来ることがわかるので、①,③→②の順番が確定します。
このときはまだ、①と③の順番は確定させていません。後程考えます。
では次に、④「その広がり」について考えます。
「広がり」という言葉が、他の選択肢①,③にも出て来ていますね。
どちらの「広がり」を指しているのか、決められなかったとしても焦る必要はありません。他のヒントについて考えると確定することもあるので、この時点で決められなければ後回しにしてください。
①→④、③→④、①,③→④のいずれかになる、ということだけ頭に入れておきましょう。
順番を表す言葉
順番を表す言葉といっても様々ですが、例えば「まずは」「はじめに」「最後に」といったものです。
今回の問題では、③の「聞く方も」の“も”に注目してください。この「も」は複数ある事柄を並べたときに2番目以降のものに使う言葉です。
では、聞く方とセットで並べられる言葉は何かというと、最初に思いつくのは 「話す方」ですよね。しかし、本文の□の前にも選択肢の中にも「話す方」という言葉はないので、類似した言葉を探すしかありません。
見ると、③の選択肢に「伝える」が書かれています。
①→③の流れは考えられないので、③→①の順番が確定します。
指示語で確定した順番と併せて考えると、③→①→②が明らかとなります。
あとは、選択肢の④がどこに入るかを考える必要があります。
接続語
④の「あるいは」に注目します。「あるいは」とは、「または」と一緒で二つの事柄を並べるときに使います。
「あるいは」の前にもうひとつ事柄が必要になるので、④の前に何がくるのかを考えてみましょう。
先ほどの指示語で触れた「その広がり」の内容をふまえて考えると、①「聞いて答える」か③「表現して伝える」のどちらかだとわかりますね。
①→④だとすると、話し手が広がりを「表現して伝える」、あるいは「自分の中に留める」あとに「聞く方も」と続きます。話し手が自分の中に留めたはずなのに、聞き手が登場してしまいました。これでは文の流れが悪くなるため、④の前にくるのは③だとわかります。
正しい順番は、③→④→①→②です。
正解だと思う順番が見つかったら、その順番の通りに読んで、文の流れがおかしくなっているところがないかを確認してください。
今回は指示語、順番を表す言葉、接続語の順で探していきましたが、決まりではありません。何から始めても良いし、考えている途中で混乱したら次のヒントに移っても良いと思います。
また、選択肢が増えたり長くなったりして問題の難易度が上がると、三つのヒントだけでは順番を確定できないことがあります。その場合は、文の流れを汲む必要が出てきます。
ですが、選択肢間や本文と選択肢の間で共通して使われている単語、特に名詞に注目することで、スムーズに並べ替えることができます。
今回の問題では、指示語の「その広がり」の内容を探す際に、「広がり」という言葉が使われている他の選択肢を探しましたよね。選択肢間で同じ単語を使っている場合、その選択肢は隣接する可能性が高いのです。
順番を確定させられないときは、検討している選択肢と同じ単語を使っている選択肢の隣に並べられないかを考えてみてください。
「文の流れ」を把握してそれに従って並べようとすると難しく感じるかもしれませんが、注目するポイントを絞って順に考えていけば、短い時間で正解にたどりつくことができます。
以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました。