みなさん、こんにちは。
受験Dr.の坂井です。
9月を過ぎると、多くの中学受験生がいよいよ本番を意識する時期に入ります。過去問演習の開始に加え、細やかな準備として「当日、どんな筆記具で試験に臨むか」を気にし始める生徒も多くなります。
私の担当する生徒でも、普段はシャーペンを使いながら、模試や過去問では鉛筆を使用するというスタイルの生徒を見かけることが多くなりました。しかし、切り替えのタイミングや慣れの問題、本番でのトラブル対策などを考えると、どちらを選ぶのが得策なのか迷ってしまうご家庭も少なくありません。
今回は、書きやすさ、消しやすさ、トラブルの少なさといった観点から、鉛筆とシャーペンを比較してみました。
鉛筆とシャーペンの比較表
書き心地と集中力の違い
鉛筆は芯が太く紙にしっかり定着するため、筆圧が安定しない子でも滑らかに書けます。特に濃さがB〜2Bのものは、視認性がたかく、採点者の目にも優しいです。また、力を入れすぎなくても濃く書けるため、手の疲れが少なく、長時間の試験に向いています。
一方で、シャーペンは芯が細く一定の太さで書けるのが魅力。細かい作業には向いていますが、筆圧が強い生徒にとっては芯が折れてストレスの元になることもあります。また、硬い芯を選んでしまうと文字が薄く読みにくくなることもあるため、選び方に注意が必要です。
消しやすさと修正のしやすさ
受験では、ミスを素早く修正できることも重要です。鉛筆は芯が柔らかいため、消しゴムでの消去がスムーズで、紙を傷めず再書き込みが可能です。特に試験用紙が薄い場合でも安心して使えます。
シャーペンの場合、芯の硬さや筆圧によって消し跡が残ったり、紙がヨレることも。これが試験中のストレスになりかねません。
トラブル回避の視点で見る
試験中に焦る要因の一つが「筆記具の不具合」です。鉛筆であれば芯が折れてもすぐに予備に持ち替える、もしくは削って使うことができます。特に、事前に同じ銘柄・同じ濃さの鉛筆を数本用意しておけば、試験中に慌てる心配もありません。
シャーペンは繊細な機構を持つため、芯が詰まる・折れる・ペン先がぐらつくといった問題が起きがちです。その中でも特に「芯が詰まる」が最も厄介です。試験中に分解して修理する時間は取れないので、新しいシャーペンを使用することになるでしょう。したがってシャーペンも複数本用紙しておく必要があります。予備のシャーペンや替え芯を持っていても、本番でそれらの交換に気を取られるのは避けたいものです。
実際の学校指定――制限の例と確認の重要性
現在、多くの学校では鉛筆・シャーペンのどちらの使用も認められているのが一般的です。 ただし、一部の学校では、筆記具に関する具体的な制限が設けられています。
例: 鷗友学園女子中 振って芯を出すタイプのシャーペンは禁止と明記
こうした事例を見ると、筆記具の細かい仕様まで確認する必要があることが分かります。必ず募集要項で確認をしましょう。
ちなみに、模試(例:四谷大塚、日能研)ではB〜2Bの鉛筆が推奨されるのが一般的です。
結論:本番に強いのは、安心と実績のある「鉛筆?」
シャーペンのメリットもありますが、中学受験という一発勝負の場面では、次の理由から鉛筆が有利といえます。
✔ 書き心地と視認性の高さ
✔ 消しゴムでの修正のしやすさ
✔ 故障リスクが少なく、入試本番でも安心
✔ 模試や学校での推奨実績が多い
✔ 鉛筆指定の学校にも対応可能(筆記用具を忘れたときの貸し出しは鉛筆)
受験準備としての筆記具対策チェックリスト
✓ 濃さはB〜2Bを基準に選んでいる
✓ シャーペンを使う場合は替え芯・予備を用意済み
✓ 志望校の募集要項を確認し、筆記具の指定を把握している
✓ 本番と同じ環境(用紙・筆記具)で演習している
✓ 試験中に焦らないよう、慣れた筆記具を使う習慣がある
まとめ
本当は鉛筆vsシャーペンでどちらが有利かという正解はないのかもしれません。なぜなら、過去の生徒をみてもどちらを使用しても合格できるからです。
大事なのは、①どちらの選択をとるか入試本番間際で悩まないようにすること、②入試本番を意識して使い慣れておくこと、この2点です。そしてなにより、受験は筆記具で勝負が決まるわけではありません。皆さんの、日々の努力が最も重要なのです。
これから、過去問演習が佳境に入ってくる頃でしょう。まだこの時期、合格点まで全然たどりつけていない受験生がほとんどです。君たちの先輩たちも、ここからがんばってがんばって合格までたどり着いているのです。合格に一歩ずつ近づいていける日々を送りましょう。応援しています。
それでは、またお会いしましょう。