みなさん、こんにちは。
受験Dr. の坂井です。
10月下旬となり、いよいよ2月入試本番まで残り4ヶ月を切りました。
この時期、多くの受験生が過去問演習に本格的に取り組んでいることでしょう。志望校の過去問を初めて解いてみて、「全然解けない…」「合格最低点に程遠い…」と落ち込んでいる人もいるかもしれません。一方で、「思ったより点数が取れた!」「これならいけるかも?」と手ごたえを感じている人もいるかもしれませんね。
でも、ここで一番大切なことは、過去問の点数に一喜一憂しないことです。過去問は、ただの「テスト」ではありません。合格という目標にたどり着くための「地図」であり「羅針盤」です。今日は、この時期に過去問をどう活用し、合格へつなげていくかについてお話しします。
1. なぜ「一喜一憂」してはいけないのか?
過去問を解いた後、まず気になるのは点数ですよね。合格最低点に届かなかったら落ち込み、届いたらホッとします。しかし、過去問の点数には「まやかし」が潜んでいます。
まず、合格最低点とは、その年の受験生の「下から数えて合格者になった人の点数」です。つまり、あなたがその年、その問題を受けていたら合格できたかもしれないという指標に過ぎません。その年の受験生のレベル、問題の難易度によって、合格最低点は毎年変動します。たまたま自分が得意な分野が多く出題され、高得点が出たとしても、それが本番で同じように出るとは限りません。
また、逆に合格最低点に届かなかったとしても、焦る必要はありません。今はまだ「演習」の段階です。本番までには、まだ弱点を克服し、学力を伸ばす時間はたっぷり残されています。
過去問の点数は、あくまで現状の自分の「実力」を測るためのもの。そして、合格との間にどれだけの「差」があるかを知るためのものなのです。
2. 過去問の「正しい」解き方と活かし方
過去問は、ただ時間を計って解き、点数を出して終わりではありません。ここからが本番です。
(1) 時間配分のシミュレーション
過去問は、入試本番と同じ時間で解くことが基本です。しかし、それ以上に重要なのは、「時間配分」を意識することです。
例えば、算数なら「大問1の計算問題は5分で終わらせる」「苦手な図形問題は後回しにして、得意な文章題から解く」など、自分なりの戦略を立ててみましょう。本番では、予想外の難問に出会うこともあります。そのとき、どの問題にどれくらいの時間をかけるべきか、事前にシミュレーションしておくことで、焦らず冷静に対応できるようになります。
(2) 丸付けは「丁寧に」
丸付けは、答えが合っているか確認するだけでなく、「なぜ間違えたのか」を分析する時間です。
単なる計算ミスなのか、公式を忘れていたのか、そもそも問題の解き方がわからなかったのか。間違えた理由を明確にすることで、次に何を勉強すればいいかが見えてきます。
特に、「あと一歩で正解できた問題」は宝の山です。見直しをすれば解けたはずの問題は、本番での得点源になります。この「あと一歩で正解できた問題」が、もし正解だった場合の得点も別集計で記録しておくとよいでしょう。それが合格最低点に近い得点であれば、志望校を変更する必要はまったく必要ないことになります。
(3) 徹底的な「復習」こそが鍵
過去問演習で最も重要なのは、「解くこと」よりも「復習すること」です。
一度解いて終わりではなく、間違えた問題や、勘で正解した問題は必ずもう一度解き直しましょう。
- 解答・解説を熟読する: 塾の先生や親に頼る前に、まずは自分で解説を読んでみましょう。学校によっては独特の解法や考え方がある場合もあります。それを理解することが志望校対策につながります。
- 「なぜそうなるか」を考える: 答えだけを丸暗記しても意味がありません。その解法に至るまでのプロセスや考え方を理解することが、応用力を高める上で不可欠です。
- ノートにまとめる: 間違えた問題は、ノートにまとめて「自分だけの弱点克服ノート」を作りましょう。苦手な単元や、ケアレスミスの傾向が一目でわかるようになります。
3. 過去問の「使い方」をマスターしよう
過去問は、闇雲に数をこなせばいいというものではありません。効率的に活用するための「戦略」が必要です。
(1) 志望校の「傾向」を知る
過去問を複数年分解くことで、志望校の出題傾向が見えてきます。
- どの単元がよく出題されるか?: 例えば、算数なら「速さ」「割合」「図形の面積」などが頻出かもしれません。理科なら「天体」「てこの原理」など、学校が重視している単元が見えてきます。
- 出題形式に特徴はあるか?: 筆記形式、マークシート形式、記述形式など、学校によって出題形式は様々です。また、国語なら「文学的文章」が多いか「説明的文章」が多いかなど、傾向を知っておくことで対策が立てやすくなります。
- 記述問題の採点基準は?: 記述問題は、答えだけでなく、考え方のプロセスも採点対象になる場合があります。どのような解答を求めているのか、解説を読み込んで分析しましょう。
(2) 時間を空けて「再挑戦」する
一度解いた過去問も、時間を空けてもう一度解き直してみましょう。例えば、1ヶ月後にもう一度同じ問題を解いてみてください。
1回目よりも短時間で、かつ高得点が出せるかどうかが重要です。もし、同じ問題で再び間違えてしまったら、まだその単元が定着していない証拠です。
4. 保護者の皆様へ:お子様との「過去問」との向き合い方
お子様が過去問を解いている間、保護者の皆様も不安や期待でいっぱいだと思います。しかし、ここでも「一喜一憂」は禁物です。
お子様の過去問の点数を見て、「こんな点数じゃダメだ!」と叱ることは絶対に避けてください。
お子様自身が一番、点数にショックを受けているはずです。保護者の皆様は、お子様の努力を認め、寄り添ってあげることが大切です。
- 「よく頑張ったね」と声をかける。
- 「この問題を間違えた理由を一緒に考えてみよう」と前向きな姿勢で接する。
- 「解説を読んで、次にどうすればいいか考えてみよう」と促す。
過去問は、お子様と保護者様が「二人三脚」で合格へ向かうためのツールです。お子様と一緒に過去問と向き合い、弱点を克服していく過程を共有していくとよいでしょう。
【まとめ】
10月下旬から始まる過去問演習は、入試本番に向けた最後の追い込みです。
- 点数に一喜一憂せず、冷静に自分の実力と向き合うこと。
- 解くことよりも「復習」に時間をかけること。
- 志望校の「傾向」を知り、「戦略」を立てること。
この3つのポイントを意識することで、過去問はあなたの合格力を飛躍的に高める最高のツールとなります。本番まであと少し。体調に気を付けて、最後まで諦めずに頑張ってください!応援しています。

