皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。
今回は「実験器具の使い方」をテーマにお話します。
主に化学分野の問題として、正しい実験器具の使い方を理解しているか問われることがあります。
「正しく覚えるだけ」と言ってしまえばそれまでですが、2択や順番の並べ替えで迷うことがしばしばあります。
また、多くのテキストや参考書に正しい使い方は載っていますが、なぜそのように扱うのか書いていないこともあります。
そこで、理由とともに正しい使い方を覚えることで、判断に迷うことなく得点化につなげられるようにしていきましょう!
理科の実験における大前提
さっそく実験器具の話をしたいところですが、その前に理科の実験を行う際の大前提を確認しておきます。
実はそのことが実験器具を使う際の注意点にもつながるので、考え方の土台として押さえておきましょう。
おそらく小学生のお子さんで理科の実験が好きな人は、単純に「面白い!」からだという人が多いでしょう。
趣味で行うのであれば、または学問的な学びの面白さとしてはそれで問題ありません!
しかし、入試で必要とされる得点力に結びつけるためには、もう一歩踏み込んで実験のことを考えてみましょう。
まず、実験をするということは何か調べることがあるということです。
調べるのであれば、結果の「正確性」が重要になります。
また、何かを調べるための実験が危険を伴うものでは困ります。
実験を行う際は「安全性」も大切です。
温度計の目盛りを正しい角度から読むことや、上皿天びんの分銅をきちんとピンセットで扱うことなどが①の正確性につながります。また、正しく器具を扱わないことが、器具を壊してしまったり危険な事故につながったりしてしまう場合もあるので、理由とともに使い方を学び②の安全性を保つことも大切です。
ガスバーナーの使い方
それでは、「正確性」と「安全性」の大切さを確認したところで、今回はガスバーナーの使い方について見ていきましょう!
小学校で行う実験で火を使って加熱を行う場合は、一般的にアルコールランプやガスコンロを使うことが多いようです。中学受験理科においては、中学校に入る前の準備としてガスバーナーの使い方は学習してきていることが求められます。火を使う時点で危険性はあるので、特に安全性を意識して、仕組みや使い方の「なぜ?」を確認していきましょう。
まずは、仕組みを見てみます。
名前の通り、ガス(メタンやプロパンなど)を燃やして火力を得るわけですが、ガスや空気の量を調節するためのねじがaとbの2つあります。
さて、ガス調節ねじと空気調節ねじがどちらのねじかわかりますか?
こんなところにも2択が潜んでいます。
仕組みをよく見てみるとガスは下から上へ送られていることが分かります。
また、ガスが上に進む途中で、空気をすき間から送り込み混ぜるというつくりになっています。
下のbがガス調整ねじ、上のaが空気調節ねじだということです。
では、正しい点火の仕方について確認していきましょう。
図を見ながら、次のAからEを正しい順番に並び変えてみてください。
A:ガス調節ねじを開き、火力を調節する
B:空気調節ねじを開き、炎を青色にする
C:空気調節ねじとガス調節ねじが閉じていることを確認し、元栓を開く
D:ライターやマッチに火をつけ、筒の口に近づける
E:周りに燃えやすいものがないか確認する
特にポイントになるのは、ライターやマッチに火をつけるタイミングです。
火をつけてからでは遅いので、まずは周囲の確認をしましょう。
周囲の安全性が確認できたら、ねじが閉じていることを確認し元栓を開きます。
元栓が開いてもガス調節ねじが閉じていれば、ガスは外に出てきません。
その間に、もとになるライターやマッチの火を準備しましょう。
ここでガス調節ねじを先に開いてしまうと、ガスが外にどんどん漏れてしまいます。
その状態で火をつけたら、部屋に充満してしまったガスで爆発してしまう危険性があるので最も注意する部分です。
最初にガスに火をつけると、酸素が不足しているのでオレンジ色の炎が上がります。メラメラと燃える様子から十分に高温のように思えますが、空気と混ぜることで酸素が補われ、より火力が高い青色の炎になります。
恒星の色と同じように、炎の色は赤やオレンジよりも青の方が高温です。
ろうそくの炎とガスコンロの炎をイメージして見ると分かりやすと思います。
正解は「E→C→D→A→B」となります。
コックが付いている場合は、「元栓→コック→ガス調節ねじ→空気調節ねじ」の順に開きましょう。
ガス調節ねじを開く前に、ライターやマッチに火をつけておくことが、安全性を保つために最も重要なポイントです。
理由を結び付けて覚える
特に実験器具については使ったことがない物について問われることが多いので、少し頭でっかちな知識となってしまいがちです。正確に問いに答えるためにも理由と結びつけて覚えるように心がけましょう。次回は、別の実験器具の使い方についてお話する予定です。
目指せ知識定着力UP!
それでは、またお会いしましょう!