みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。
今回は論理の問題に関するお話です。
論理の問題とは、文章の条件を「論理的に」考えて、答えを求めていく
少し特殊な算数の問題です。具体的に次の問題を見ていきましょう。
問題 AさんとBさんが自分の子どもの年齢について話しています。
A「Bさん、あなたの3人の子どもの年齢はそれぞれ何才なの?」
B「3人の年齢をかけると36になって、たすとAさんの子どもと同じになるわよ」
A「うちは一人っ子だけど、これだけじゃわからないわ」
そこに、Bさんの子どものCくんがやってきました。
B「Aさん、一番上のCよ。Cと同じ年の子はいないわ」
A「えっ?ということは……、3人の年齢が分かったわ!」
Bさんの3人の子どもの年齢を答えなさい。
一見解き易そうな問題ですが、この中に「論理的に」考えるポイントがあります。
それでは解説です。
3人の子どもの年齢を、高いほうからP(才)、Q(才)、R(才)とします。
分かっていることをまとめます。
「3人の年齢の積が36」という部分から P×Q×R=36 と表せます。
ここで最初のポイントは、考えられる候補を全て書き出す、ということです。
正解だけを求めようとせず、まず考えられる全ての組み合わせを書き出し、
絞り込んでいくことが、結局正解への近道になっているわけです。
P、Q、Rが1以上であることに注意して書き出します。
(P、Q、R)=(36、1、1)(18、2、1)(12、3、1)(9、4、1)(9、2、2)
(6、6、1)(6、3、2)(4、3、3)
が全ての組み合わせになります。
次は文章で書かれた部分にヒントがあります。
「Cが一番上で同じ年の子はいない」という部分に着目しましょう。
これは、P>Qであることを表しているので、上の組み合わせのうち
(6、6、1)がダメであることがわかります。
しかし、他の組み合わせは問題ないため、まだ7通りの組み合わせのうち
どれが正解なのかはわかりません。
子どもが36才というのは常識的に考えるとありえない気がしますが、算数の
世界ではそういう常識は無視しますので、(36、1、1)も候補の1つになっています。
ここで「論理の問題」でよく出てくる、2つ目のポイントです。
それは「これだけじゃわからないわ」というAさんのセリフです。
このセリフから、次のような考えが出たかどうかです。
「どうしてこれだけじゃわからないの?」
「逆に、どういう場合だったら『これだけでわかる』んだろう?」
もしも、3人の子どもの年齢が6才、3才、2才だとしたら、Aさんの子どもは
6+3+2=11 より11才になります。
P+Q+R=11となる組み合わせは、この6才、3才、2才しかありません。
つまり、Aさんの子どもが11才であれば、積が36で和が11になる組み合わせは
一つしかないため、この段階で「分かる」ことになります。
Aさんが「分からない」と言ったのは、積が36になる3つの数の組み合わせの
うち、和が等しくなる組み合わせが複数あったからです。
そのような組み合わせを探すと、(9、2、2)と(6、6、1)が同じ和が13となる組み
合わせです。しかし、(6、6、1)は先ほど述べたとおり条件に合わないので、
答えは(9、2、2)となり、3人の子どもの年齢は9才、2才、2才となります。
問題文も「積が36」→「これだけではわからない」→「Cが一番上で同じ年の
子がいない」の順に記されており、論理に問題がありません。
今回は論理の問題を紹介しました。中学入試で論理の問題が出題されることは
多くはありませんが、会社に入る際の入社試験で出題ることもあります。
「論理的思考」は算数だけでなく、あらゆる学問や日常生活の問題を解決するうえ
で多いに役立つものです。ぜひ練習して身につけていってください。