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投稿日:2025年06月16日

テーマ: 算数

受験算数のコツ!約数の和とアリコット数列

みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。

今回は数列と約数に関するお話です。

10、8、7、1、0

この数列にはどのような規則があるかわかりますか?
ヒントは「0でこの数列は終了」「約数が関係する」です。

正解は、ある数の約数のうち、その数以外の和が次に並んでいる数列、です。

10の約数は1、2、5、10なので、1+2+5=8
8の約数は1、2、4、8なので、1+2+4=7
7の約数は1、7なので、1
1の約数は1だけなので、次は0となり終了

この数列は「アリコット数列」と呼ばれています。

アリコット数列の途中で素数が出てきた場合、素数の約数は1とその数自身
になりますので、必ず素数→1→0となり終了します。

それでは終了しないアリコット数列は存在するのでしょうか?

考えられるのは、整数Nの約数のうち、Nを除く約数の和がNになる数です。
その場合、N→N→N→N…… と永遠にNが続くことになります。
はたしてそのような整数は存在するのか?と言うと存在します。
たとえば6です。6の約数は1、2、3、6で、1+2+3=6になります。
このような数を「完全数」といいます。
完全数は6以外にも、28、496、8128などが発見されています。

他にはどのようなアリコット数列の並びが考えられるでしょうか?

次に考えられるパターンは、整数NのN以外の約数の和がM、
整数MのM以外の約数の和がN、という関係の2つの整数の場合です。

例えば、220と284の2数がこの関係になっています。
220の約数は、1、2、4、5、10、11、20、22、44、55、110、220 で
1+2+4+5+10+11+20+22+44+55+110=284 となります。
そして、284の約数は、1、2、4、71、142、284 で
1+2+4+71+142=220 となっています。
したがって、220のアリコット数列は、220→284→220→284→220→…
と2つの数が交互に現れ続けることになります。

このような数を「友愛数」と呼びます。
小川洋子さんの小説「博士の愛した数式」でも、私の誕生日(2月20日
から220)と博士の時計の番号284を用いて、友愛数を説明する場面が
あります。

アリコット数列は他にも
・3つの数がくり返し出てくるパターン(このような数は「社交数」と呼びます)
・途中から完全数になるパターン(例 95→25→6→6→…)
があります。

数学者のカタランは、「あらゆるアリコット数列は、素数、完全数、友愛数、
社交数のいずれかで終了する」と予想しました。
しかし、276のアリコット数列は276→396→696→…
と、どんどん大きくなっていきます。これが無限に大きくなり続けるのか、それと
も途中からある数に向かって収縮していくのかは解明されていません。
まだまだアリコット数列には謎がいろいろ隠されているようです。

今回は約数の和を用いたアリコット数列を紹介しました。
こういう数列は難関校の算数の問題で題材になることもありますので、
おぼえておくと良いでしょう。次回もよろしくお願いします。

算数ドクター