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投稿日:2024年02月19日

テーマ: 国語

中学受験の心情記述は目的語を忘れずに

こんにちは。
受験Dr.国語科の佐倉です。

今回は目的語のお話をしていきます。

この目的語、心情記述での書き忘れの多いこと!
日常会話でもよく省略されるので、あまり意識されていないかもしれません。
このお話で少しでも目的語のことを覚えていただけたらと思います。

そもそも、目的語とは?

例えば、
「立って」と言われたら、その場で立ち上がることができますよね。
「歩いて」と言われても、歩き回ることができます。

では、「閉めて」と言われたら。
「何を?」と思いませんか?

この「何を」が、目的語と呼ばれます。

そして、目的語を必要とする動詞を他動詞、必要としない動詞を自動詞といいます。

他動詞と自動詞は、その名のとおり動詞のことを指しています。
動詞とは、動作や存在などを表す言葉のことです。
活用がある自立語で、形容詞・形容動詞とともに用言に属します。

「ドアを閉める」といえば他動詞を、
「ドアが閉まる」といえば自動詞を用いた表現となります。

 

目的語を書き忘れるときは、心情問題の記述が特に多いのです。
簡単な例文を使ってみてみましょう。

Aくんに声をかける。
「今日、うちに遊びに来ない?」
「ごめん、塾があるから行けないんだ」
Aくんの言葉に、僕は肩を落とした

この傍線部分の「僕」の気持ちを問われたとき、
「Aくんに断られたので、落ち込んでいる。」
というように答える生徒がいます。

もちろん書かれた内容に誤りはないのですが、
この解答では「何を」断られたのかが書かれていません。

国語の記述は、過不足なく解答することが重要です。

何を断られたのかというと、
「遊びの誘い」ですね。

「Aくんに遊びの誘いを断られたので、落ち込んでいる。」
これが正しい答えとなるのです。

 

次は、実際の入試問題を参考にしてみましょう。

【本文】

「どうだ! おれたちの言うことを聞くか!」
小川も佐久間もついに、お湯を吐きながら、昼間の高校を諦める、と船橋に約束した。だが、ぼくはどうしても諦められなかった。
「勝手に強情を張ってろ」
船橋は湯槽から上がり、斎藤から受け取ったタオルで軀を拭きながら、ぼくに言った。
「いつか必ず降参させてやるからな」
(2022年芝 第1回)

 

【問題】

傍線部「降参させてやる」とありますが、船橋がぼくを降参させるとは、どうすることですか20字以上25字以内で具体的に説明しなさい。

この場面は、全日制高校への進学を目指す中学三年生の「ぼく」、小川、佐久間の三人が、船橋に嫌がらせをされているところです。
設問では船橋の台詞に傍線が引いてあり、その意図を具体的に説明させようとしているため、これが心情問題とわかります。

傍線部を言い換えて、諦めさせるという言葉を使って記述してみましょう。
「20字以上25字以内で」「具体的に」という指定があるので、
諦めさせるだけではなく、何をさせたいのかまで解答に含めます。
すると、以下のようになります。

「諦めさせて、定時制の高校へ通わせること。」

しかし、これでは指定字数を満たしていません。
だからといって、ここで文の頭に「ぼくに」と付け足したとしても、内容は不十分です。

では何を付け足したら良いかというと、目的語です。

「諦める」は他動詞ですから、目的語を必要とします。
この問題では、降参させるとは、つまり何を諦めさせるのかを記述しなければなりません。

「何を」の内容を探すために、傍線部の前に注目しましょう。
小川と佐久間が昼間の高校を諦めると約束したが、「ぼく」は諦められなかったという内容が書かれています。

つまり、諦めさせたいのは「全日制の高校に進学すること」。
よって答えは、「全日制への進学を諦めさせ、定時制に進学させること。」となります。

 

心情記述はもちろん、どんな記述問題でも、

「誰が」「どうした」に加え、「何を」まで書けているかを確認してください。

特に心情問題の記述では、誰に対する感情なのかも大切な要素です。
採点者に自分の意図と異なる解釈をさせないよう、
「誰が」「何を」したのかを明確に書くようにしましょう。

わかっていたのに書きそびれて失点してしまうのは、本当にもったいないことです。

心情記述では目的語を忘れずに書く。
次に取り組んだ問題から気を付けてみてください。

それでは、またお会いしましょう。

国語ドクター