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投稿日:2023年05月02日

テーマ: 国語

接続語を理解して読解力をつけよう(その2)

こんにちは、太田 陽光です。

 

今日のテーマも、前回に引き続き、接続語です。
接続語を理解することで、読解力が身につきます。

 

この後、前回のブログの内容を再掲載(網掛けの部分)します。
3月のSAPIXの6年生の組分けテスト 大問3問1に接続語の空欄補充問題が4問出されました。

 

正答率は、
A「では」(話題転換)91%
B「ところが」(逆接)85%
C「また」(並立)67%
D「そのため」(正確には接続詞ではないが、順接「だから」と同じ働き)69%
でした。

 

接続語の問題は落としてはいけない、といわれることもありますが、
今回のCとDは、組分けテストを受けた人のほぼ3人に1人が間違えたことになります。

 

私はここに、
国語を苦手にしている生徒が、読解力をつけ、国語の成績を伸ばすためのヒントがあるのではないか
と思いました。

ですので、今回はその中で、Cの「並立」について具体的に説明していきます。

 

前回のブログで、
接続語の問題は、直前と直後の文末に注目する
ということを書きました。

 

しかし、これでもまだ接続語の問題で間違えることがあります。
それが今回扱うCのような接続語です

 

例文を書きます。

「メダカの学校は川の中」とうたわれた風景はもうみることはできないのだろうか。
C 田んぼだけではなく、里山になるとさらに共生が活発に行われていた。

 

さて、Cにはどんな接続語が入るでしょうか。
答えは、「分かりません」です。
いじわる問題のようですみません。
答えが「分かりません」になる理由は、
Cの直前の文と直後の文とが、つながっていないと判断できるからです。
ここで気がついてほしいことは、直前の文の内容と直後の文の内容の具体抽象度の差です。
直前の文は「メダカ」という例を挙げていることから、具体的内容の文となる一方、
直後の文は「共生」という一段抽象度が増した言葉が使われた文となっています。
つまり、直前の文と直後の文は具体抽象度においてバランスが取れていないので、
この部分だけでCに入る接続語の答えを出してはいけないことが分かります。

 

それでは、Cに入る接続語の答えを出すには、どこを読めばよいのでしょうか。
それは、直後の文と、具体抽象度のバランスが取れた文を、これより前で探し、そこを読むのです。

 

先ほどより長い例文を挙げます。

 

では、どんな場所ならば、人と野生生物の共生がおこなわれていたのだろうか。それは人も野生生物も互いにすべきすることをしている場所、「田んぼ」である。田んぼは人が米を収穫するためにもとの自然を破壊して作った場所である。しかしその場所でこそ生きられる野生生物もいたのだ。カエルは田んぼの水が張っているところに卵を産み、メダカは田んぼに水を送る用水路に生息し、そしてカエルやメダカをえさにするサギなどが田んぼに舞い降りる。そのような野生生物の中でメダカは今や絶滅危惧種だそうだ。「メダカの学校は川の中」とうたわれた風景はもうみることはできないのだろうか。 C 田んぼだけではなく、里山になるとさらに共生が活発に行われていた。

 

さて、Cの直後の文と、具体抽象度のバランスが良い、比較できる文はどれでしょうか。
それは、直後の文にある言葉が含まれている文、
つまり「田んぼ」、もしくは、「共生」が含まれている文です。

 

では、どんな場所ならば、人と野生生物の共生がおこなわれていたのだろうか。それは人も野生生物も互いにすべきすることをしている場所、「田んぼ」である。田んぼは人が米を収穫するためにもとの自然を破壊して作った場所である。しかしその場所でこそ生きられる野生生物もいたのだ。カエルは田んぼの水が張っているところに卵を産み、メダカは田んぼに水を送る用水路に生息し、そしてカエルやメダカをえさにするサギなどが田んぼに舞い降りる。そのような野生生物の中でメダカは今や絶滅危惧種だそうだ。「メダカの学校は川の中」とうたわれた風景はもうみることはできないのだろうか。 C 田んぼだけではなく、里山になるとさらに共生が活発に行われていた。

下線を引いた部分は田んぼの具体的説明です。

 

この部分はCに入る接続語を考える時には、読み飛ばします。
だから、Cの直後の文と、具体抽象度のバランスが良い、比較できる文は

では、どんな場所ならば、人と野生生物の共生がおこなわれていたのだろうか。それは人も野生生物も互いにすべきすることをしている場所、「田んぼ」である。
とわかります。

C 田んぼだけではなく、里山になるとさらに共生が活発に行われていた。
と実際に比較してみると、
Cに入る接続語は、
共生の行われる場所の一つ目として「田んぼ」を挙げ
Cの後に共生の行われる場所の二つ目として「里山」を挙げているので、
「また」(並立)や「そして」(添加)だとわかります。

 

SAPIXの問題文章も、上記の例文と同じ形でした。
次のような内容の流れでした。

 

どんな知恵が有用か→未来をうまく予測できる普遍的な知恵だ→「赤い花の」の例→C→未来をうまく予測できる知恵だけでなく、未来をコントロールできる知恵がさらに有用だ

 

Cの直前と直後の文だけを見ていたら、答えは分からないということをご理解いただけたでしょうか。
SAPIXの問題の選択肢は アところが イまた ウそのため エたとえば でしたので、
イまた(並立)、がCの答えとなります。

 

私はこの問題、つまり接続語の問題から、読解力をつけられると思いました。
それは、
・具体と抽象を読み分けること
・筆者の意見と具体例を読み分けること
論説文を読むときに重要だということにつながるからです。

 

まん然と読むのではなく、
筆者の意見をおさえて読んだり、
この部分は例だと判断して読んだりすることができれば、
それは読解力があるということになります。

 

このような読み方を意識してみてはいかがでしょうか。

国語ドクター