メニュー

投稿日:2021年12月09日

テーマ: 国語

随筆文の読み方

こんにちは、太田 陽光です。
今回は、随筆文の読み方に関して書きます。

以前、中学受験の国語のテストの編集者の方から、
随筆文がテストのときは、物語文や論説文のときより、平均点が10点下がる
ということを聞いたことがあります。
まだ国語講師経験の浅かった当時の私にとっては、
「そんなものなのか」
という印象でしたが、
指導を重ねるうちに、
少なくない生徒が随筆文を難しいと感じていることが分かりました。

その原因は
随筆文は、もともと大人向けに書かれた感想文であるため、
大人なら言葉にしなくても理解できる感覚や、ノスタルジーが書かれていることが多く、
子供にはそれがピンとこないのではないか、
と、私なりに考えています。

さて、そうはいっても、中学受験入試に随筆文は出題される可能性があるわけですから、
対策を立てなければなりません。
今回は、その一つとして、随筆文の読み方を紹介したいと思います。

① 体験の部分と、感想・意見の部分に分けて読む

随筆文は、筆者の体験したことに対しての、感想や意見が書かれたものです。
そのうち、文章の要点を理解するためには、筆者の感想・意見を把握することが必要となります。
しかし、この二つの部分を分けて読むことは、意外とすんなりとできます。
それは、体験の前後、特に後ろに筆者の感想・意見が書かれることが多いからです。

たとえば、筆者がこどもの頃に体験した悲しいできごとを長く書いた後に、
大人になった筆者が当時を振り返って懐かしく思っていることを、短く数行で書く、
と言うような形式があります。

向田邦子さんの随筆文にはこの形式が多くあります。
「字のないはがき」は、向田さん自身が父から手紙をもらったエピソードを書いた後と、
末の妹が疎開先から帰ったときの父の行動のエピソードの後に、
大人になった向田さんがそれぞれを振り返って思ったことを感想として書いています。

この感想・意見部分をおさえることで、随筆文で筆者の言いたかったことが読み取れます。

② 説明文的随筆文と、物語文的随筆文を区別して読む

一つに随筆文と言っても、表現方法は多様です。
上記の体験と感想・意見をはっきりと分けることができる随筆文を私は「説明文的随筆文」と呼んでいます。
しかし、体験と感想・意見が明確に分けられない、二つがまざっている随筆文もあります。
それを私は「物語文的随筆文」と呼んでいます。
この「物語文的随筆文」の場合は、筆者を主人公と考え、
主人公の心情を追った読み方をしていくと内容理解がしやすくなります。

随筆文を読むときの工夫として、参考にしてみてください。

国語ドクター