みなさん、こんにちは。
受験Dr.社会科担当の松田吉郎と申します。
みなさんは、2025年の3月で177番の天気予報サービスが終了したことを知っていましたか?
…そもそも天気予報サービスというサービス自体を知っていましたか?
これは、3ケタの数字にダイヤルすることでさまざまな情報を得ることができる3ケタ番号サービスの一種であり、177番は通話料以外無料で各地の固定電話から天気予報を聞くことができるものでした。
地理・歴史・公民の各分野の学習で大忙しの今日このごろかと思いますが、入試問題ではこれらの分野を複合的に出題する時事問題にも目を向ける必要があります。今回は、天気予報を聞くことができる177番が終了したことをきっかけに、『電話』について語ろうと思います。
1、日本で電信・電話が普及したころのはなし(明治時代初期)
電話のさきがけとなった電信は、単純なオン・オフの組み合わせで遠くまで一瞬で情報を伝えるモールス信号に代表されます。東京~横浜の間で電信が開通したのが日本初であり、明治時代初期の1869年のことでした。以来、東京を起点に各地に電信網が整備されるようになります。このしくみを応用して東京~横浜間で日本初の音声電話が導入されたのが1870年のことで、全国に普及していくことになります。
そのさなか、こんなエピソードがあります。
1886年ごろに国内でコレラが大流行したことがありました。そのとき、だれが言い出したのか、電話線を通してコレラが伝染するという誤った噂が広まり、噂を信じこんだ人々は電話の呼び鈴が鳴るだけでコレラに感染すると悲鳴をあげて逃げまどったり、電線の下を通行する際にコレラに感染するのを防ぐために扇子で頭を覆ったりする人もいたそうです。これを読んでいる現代人のみなさんなら、ウイルス感染が電話線を通して広がるわけがないとわかると思いますが、当時は、時代の急激な変化に人々の理解が追い付いていなかったということなのでしょうね。
2、電話を携帯するようになるころのはなし(昭和~平成)
電話機を持ち運べるようにしようという考え自体は昔からあり、1970年の大阪万国博覧会で展示されたコイル状のコードがないワイヤレスフォンは、現在の家庭用の電話機としては一般的なコードレス受話器のさきがけになっています。現在の携帯電話機のように屋外でも広く使用できる電話機は車載電話機が最初とされており、もとは政府要人の自動車などに備え付けられていた大型の電話機でした。これを車外に持ち出すために開発されたショルダーフォン(※)が、携帯できる電話機の元祖といえるものでしょう。
※重量は3㎏ほどある箱型で、ショルダーバッグのように肩にかけるひもがついていた。
1990年後半ごろに一般向けに普及していった携帯電話は、現在ではフィーチャーフォンと呼ばれているようですが、最初は電話機能のみのシンプルな物でした。やがて電子メール送受信機能、カラー液晶画面、カメラ機能、インターネット機能などさまざまに進化した携帯電話が登場していくなかで、2000年代の後半ごろにまったく新種の携帯電話機であるスマートフォンが普及し始めたのでした。
3、入試予想問題『3ケタ番号サービス』
①177番の天気予報サービスが終了した理由を考えてみましょう。
(ヒント)みなさんは普段、天気予報を確認したいときにはどのように確認していますか?
②177番が使えなくなってしまったことでどのような人が困ると思うか、考えてみましょう。
(ヒント)天気情報を得るためのおもな手段が177番だった人は、どのような人でしょうか?
③次のA~Eに示した3ケタ番号サービスはどのようなときに利用するのが適切であるか、あとのア~オから1つ選び、記号で答えなさい。
A:110 B:117 C:118 D:119 E:171
ア 海難事故の現場を見かけたとき
イ 犯罪行為を見かけたとき
ウ 火事を見かけたとき
エ 広域避難場所へ移動することを家族に伝えたいとき
オ 正確な時刻を確認したいとき
解答
①テレビ・ラジオ・携帯電話・インターネットなど、手軽に天気予報の情報を得られるようになったから。
②スマートフォンなどの利用が難しい高齢者や、目が不自由な方など。
③A→イ B→オ(時報) C→ア(海上保安庁) D→ウ E→エ(災害用伝言ダイヤル)
特に③の問題はこれまで入試問題でも問われたことはあります。みなさんはいくつ知っていましたか?
おそらく110番や119番は知っていたと思いますが、時報や海上保安庁、災害用伝言ダイヤルについては一般の知名度が高くないように思います。
以下、NTTホームページより、3ケタ番号サービス一覧
104:番号案内
110:警察への事件・事故の急報
113:電話の故障
115:電報のお申し込み
116:電話の新設・移転・各種ご相談
117:時報
118:海上の事件・事故の急報
119:火事・救助・救急車
171:災害用伝言ダイヤル
177:天気予報(現在はサービス終了)
188:消費者ホットライン
189:児童相談所全国共通ダイヤル
今回のブログが、新たな知識を得るきっかけになったならとてもうれしく思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
以上、社会科担当の松田吉郎でした。