メニュー

投稿日:2023年08月17日

テーマ: 算数

比の学び始めに意識しておくこと~5年算数~

みなさん、こんにちは。受験Dr.の桑田陽一です。
8月の講師ブログをお届けします。

夏期講習も後半戦。5年生のみなさんは、この夏で比を学び始めた人が多いでしょう。
今回は、比の学び始めのこの時期に、ぜひ意識してほしいことをお伝えします。

まずは、例題から。

 

例題

太郎くんの所持金は、花子さんの所持金の4/7です。

(1)花子さんの所持金が3500円のとき、太郎くんの所持金はいくらですか。
(2)太郎くんの所持金が840円のとき、花子さんの所持金はいくらですか。

簡単だ!と思った人が多そうです。
この問題、割合の考え方を用いると、普通は以下のように解きます。
分かっている人は、軽く読み流してもOK!

 

解答1

(1)
問題の条件から、
(太郎くんの所持金)=(花子さんの所持金)×4/7なので、
(太郎くんの所持金)=3500円×4/7=2000円

(2)
(太郎くんの所持金)=(花子さんの所持金)×4/7より、
(花子さんの所持金)=(太郎くんの所持金)÷4/7と表せます。
よって、
(花子さんの所持金)=840円÷4/7=1470円

このように解ければ、もちろん問題なし!
でも、これまでの割合の学習を通じて、「かけるんだっけ?それとも割るんだっけ?」と、迷ってしまいがちだった人もいるでしょう。

実は、比を学んだことで、これからはそんな迷いから解放されます!

「太郎くんの所持金は、花子さんの所持金の4/7」という条件を、線分図で表すとこんな感じ。

スクリーンショット 2023-08-02 15.07.36

 

4/7とは、「7つに分けたうちの4つ分」ということですから、上のような線分図で表せます。

これは、つまり…

 

スクリーンショット 2023-08-02 15.08.00

 

そう、太郎の所持金:花子の所持金=4:7ということですね。

「太郎の所持金は、花子の所持金の4/7」というのは、比を使って言いかえると、「太郎の所持金:花子の所持金=4:7」ということなのです。

改めて、比を使って解いてみると…

 

解答2

(1)
問題の条件から、太郎の所持金=④、花子の所持金=⑦と表せるので、

花子の所持金=⑦=3500円より、
①=3500円÷7=500円。
太郎の所持金=④=500円×4=2000円

(2)
太郎の所持金=④=840円より、
①=840円÷4=210円。
花子の所持金=⑦=210円×7=1470円

(1)も(2)も、同じ見方で解くことができました!

このように、比を学んだら、「割合の分数は比に直して扱う」というのが、多くの問題を統一的な視点で解くためのコツです。

もう1題だけ考えてみましょう。

例題2

AさんとBさんはそれぞれカードを何枚か持っていて、Aさんのカードの枚数はBさんのカードの枚数の25%です。

(1)AさんのカードとBさんのカードの枚数の合計が60枚のとき、Bさんのカードの枚数は何枚ですか。
(2)AさんのカードとBさんのカードの枚数の差が15枚のとき、Aさんのカードの枚数は何枚ですか。

割合の考え方でも解けますが、ぜひ意識して比を使って解いてみましょう。

 

解答

25%=25/100=1/4。
つまり、「Aさんのカードの枚数はBさんのカードの枚数の1/4」。
さらに比を使って言いかえると、「Aさんのカード:Bさんのカード=1:4」ということです。

(1)
Aさんのカード=①、Bさんのカード=④と表せるので、
①+④=⑤が60枚にあたります。
①=60枚÷5=12枚。
よって、Bさんのカードの枚数は④=12枚×4=48枚です。

(2)
④-①=③が15枚にあたります。
①=15枚÷3=5枚。
よって、Aさんのカードの枚数は5枚です。

夏期が明けた9月以降は、図形や速さなど、他の分野への比の応用を学んでいくことになります。
そのときにも、今回紹介した「割合の分数→比に直して使う」という考え方は、基本的ながら大変重要。
ぜひ今のうちに慣れておきましょう!

今回はここまで。

算数ドクター