みなさん、こんにちは。
受験Dr.算数・理科科の川上です。
本日は前回に続き「バイオミメティクス」についてお話しいたします。
バイオミメティクスとは、「生物の構造や機能、生産プロセスを観察・分析し、そこから新しい着想を得て新しい技術の開発やものつくりに活かす科学技術のこと」でしたね。
簡単に言うと、様々な生き物のつくりをまねして、新しくてすごいものつくろうぜ!ってことでした。
さて、それでは問題に行きましょう。
問題
次はどのような生物の何にヒントを得て発明されたか、それぞれ1つずつ選びなさい。【学習院中等科2024より抜粋】
(1)割れても散らばりにくい車のフロントガラス(前面のガラス)
(2)カンタンに着けたり外したりできる面ファスナー(マジックテープ)
1.クモの巣
2.ニワトリの卵のから
3.クリのいが
4.クルミのから
5.オナモミの実
6.カタツムリ(マイマイ)の足
7.カエルの指
解説
(1)からいきましょう。
車のフロントガラスは、ワイパーを使ったり細かな石が飛んできたりと、車に使われるガラスの中でもっとも傷のつきやすいところになります。
実は車のフロントガラスは、外部からの衝撃に強くするために「卵のから」からヒントを得ています。
卵のからは薄いのに、なかなか割れませんよね。これは外部からの力を卵のカーブが分散させているからなのです。これを「シェル構造」というそうです。
一方で内側からひなが小さなくちばしでも割れるように、中からは比較的弱い力でも割ることが出来ます。
あまり想像したくないですが、車の中に閉じ込められた時は中からガラスを割って脱出できるというわけです。
というわけで①はイが答えとなります。
(2)に進みましょう。
サンダルやカバンに使われるマジックテープは、オナモミの実から着想を得ています。
(私は犬を飼っていますが、散歩に行くとオナモミの実を体にこれでもかというほどつけて帰ってきます)
オナモミの実は先がフック船長のかぎ爪のようになっており、それが動物の毛にひっかかりやすくなっています。
マジックテープは片方が「かぎ爪上の面」もう片方が「輪っかになっている面」で出来ていて、面と面を合わせるとはがれにくい構造となっているわけです。
答えはオとなります。
いかがでしたでしょうか。
身の周りのものに、これだけ「バイオミメティクス」由来のものがあることが驚きですよね。
他にも身近なもので、予想外の生き物から着想を得ているものがあるかもしれません。
「不思議だな」と思ったら、調べてみる習慣が身に着くと理科の成績向上に役立ちます。
また、こういった特徴的なテーマは出題する学校としない学校がはっきりしていることが多いです。
普段なかなか触れられない内容を必要に応じて対策できることは、個別指導の強みのひとつでもあります。
興味がある子は是非ほかにも調べてみてください。
それでは今回はこれで失礼します。
受験Dr.川上亮