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投稿日:2025年11月06日

テーマ: 理科

【中受理科時事問題】ちょうど見られるかも?レモン彗星

こんにちは。理科講師の永田です。

ちょうどこの記事の公開日(2025年11月6日)あたりで、1つの天体ショーが起こっています。まだ観察の機会が残っているので、紹介と関連事項の解説をしようと思います。

 

レモン彗星の接近

9月下旬から11月半ばにかけて、「レモン彗星」という彗星が地球に近い所に来ています。10月中旬までは真夜中~明け方に東の空に見えていましたが、今の時期は夕方の西の空に見えるようになっています。彗星の明るさは予想が難しいらしいのですが、もしかしたら肉眼でも見えるような明るさになっているかもしれません。

 

そもそも彗星って?

直径数十メートル~数十キロメートルくらいの大きさの天体で、「汚れた雪玉」に例えられます。大部分は水(氷)でできていますが、一酸化炭素・二酸化炭素・アンモニア・メタンのような気体やチリが含まれます。太陽の周りを細長い軌道で回っていて、周期的に地球に近づきます。一番有名なのはハレー彗星で、前回地球に近づいたのが1986年、次に地球に近づくのは2061年とされています。昨年だと紫金山・アトラス彗星という彗星が肉眼で見られました。太陽風の影響で、太陽と反対方向に尾が伸びて見えるのが特徴です。

 

レモン彗星って?

アメリカのレモン山天文台が今年の1月3日に発見した彗星です。ただし、この天文台は多くの彗星を発見しているので、区別するために今回の惑星にはC/2025 A6という記号が付けられています。太陽の周りを回る周期が千数百年と計算されていて、次に地球から観測できるのは西暦3000年より後になりそうです。

 

注目されている理由

この彗星、発見されたときの明るさは20等級くらいでした。肉眼で見えるぎりぎりの6等級のおよそ40万分の1の明るさです。こんなものが見つけられること自体すごいことだと思いますが…。ただ、発見直後の予想では地球に近づいたときでも10等級くらいと予想されていて、肉眼で観測するのは不可能とされていました。
ところが、8月あたりから急に明るくなりはじめ、9月の半ばには8~9等級くらいの明るさになりました(増光)。執筆時点での予想では地球に最接近する頃には4等級くらいの明るさになるとされています。まだまだ暗いとはいえ、条件がよければ十分肉眼で見えそうな明るさです。

 

増光はなぜ起きる?

彗星も惑星や衛星と同様に、自分で光を出しているわけではなく、太陽からの光を反射して光って見えます。つまり明るく見えるためには、(地球との距離が変わらなければ)太陽からの光をより多く反射する必要があります。彗星のつくりを「汚れた雪玉」に例えましたが、光を反射するのは主に「汚れ」=チリの部分です。彗星から何かのきっかけでチリが大量に放出されると、光を反射しやすくなり明るく見えるようになります。このような現象は以前から見つかっていて、例えば2007年に地球に接近したホームズ彗星は、すでに地球から遠ざかりつつあったにも関わらず、2日足らずで17等級から3等級まで約40万倍も明るくなり、肉眼で見ることができるようになりました。このようなことが起こるため、彗星の明るさの予測は非常に難しいものとされています。

 

彗星と関連する現象

彗星は少しずつチリを残しながら進んでいきます。このチリが地球の大気圏に突入すると、燃えて流星として観測されます。彗星が通過してチリが残されたところを地球が通ると、多くの流星が観測される流星群になります。

天体関係の時事問題は事前に出来事が予想されているものが多いのですが、このように突発的に現れるものも面白いですね。中学受験では今回のような時事問題と絡めないとなかなか出題されにくい問題なので、チャンスを待っている出題者がいるかもしれません。この機に知識の確認をしておきましょう。

それでは皆様、Have a good science!

理科ドクター