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投稿日:2020年08月13日

テーマ: 社会

複雑な選挙の仕組みを整理しよう②

皆さんこんにちは!
国語・社会科の清水栄太です。
前回の「複雑な選挙の仕組みを整理しよう①」の続編です。

前回は「選挙とは」「代表者の3つの選び方」「小選挙区」についてお届けしました。

■前回のポイント
・選挙=票を投じるという形(投票)で自分の意見を政治に反映させるもの
・選び方は主に、小選挙区(1人選ぶ)、大選挙区(複数選ぶ)、比例代表選挙(政党を選ぶ)の3つ
・小選挙区選挙は死票が多くなる欠点がある→比例代表選挙と合わせて使われる

 

今回は、比例代表選挙の仕組みについてより詳しくお届けします。
比例代表選挙は、小選挙区の短所となる「死票」が多いという特徴を補うことができる選び方でしたね。

 

小選挙区選挙が最も多い一人が当選するのに対して、比例代表は獲得票数に応じて当選者数を分けていくというイメージです。

この比例代表選挙の選び方でおさえておきたいポイントがあります。
それは、比例代表制は以下の2ステップを経て当選者が決まるということです。

ステップ1:政党ごとに議席を分配する
ステップ2:採用方式に応じて、当選者を決める

2つステップを経て決まるということを初めにしっかりとおさえられているかどうかで大きく変わってきますので、最後までしっかりと意識しておいてください。
では、初めに、議席の分配方法をみていきます。
議席の分配方法は「ドント式」と呼ばれる方法が採用されています。
以下の表をご覧ください。

仮にこの比例区(地域・場所)の議席(当選者数)を6議席(名)だとします。
A党~D党が以下のように票を獲得した場合で考えていきたいと思います。

社会_20200813_01

このドント式は、各政党が獲得した票を1から順に割っていきます。
以下のようになりましたか。

社会_20200813_02

ここで、注意しておきたいポイントは、÷1、÷2、÷3のわられる数は得票数であることです。
÷2をした数を÷3、÷4…というようにしないでくださいね。

さて、この計算が済んだら続いて、各政党が獲得できる議席を確認します。

社会_20200813_03

上の表の中で、数が多い順に議席を獲得していきます。
表の赤枠の中で最も数字が大きいのは5000、次いで3000、2500…となっています。
この順に議席を割り振っていきます。
今回は6議席を割り振りますので、まとめると以下のようになります。

社会_20200813_04

A党が3議席、B党が2議席、C党が1議席、D党が0となります。
これがドント式の選び方です。

 

さて、冒頭でお伝えした内容を、みなさんはまだ覚えていますでしょうか。

2ステップありましたね。
ここで終わりではありません。

「ステップ2:採用方式に応じて、当選者を決める」

ここから、実際に当選者を決めるステップに入ります。
A党を例に考えます。
先ほどのドント式で3議席獲得したA党ですが、A党からは誰が当選するのでしょうか。

これは、衆議院選挙と参議院選挙で異なります。
衆議院と参議院では、同じ比例代表選挙でもステップ2の方式が異なっています。

衆議院選挙の比例代表では「拘束名簿式」。
参議院選挙の比例代表では「非拘束名簿式」がそれぞれ用いられています。
名前からすると難しそうですが、名前に惑わされないでください。
この2つの方式は当選者を決めるためのものであるという点を頭におきながらみてください。

 

まずは拘束名簿式から。

拘束名簿式はあらかじめ政党が当選させたい人の順位を名簿として提出しておき、議席が割り振られた場合、その名簿に則って当選者を決める方式です。
先程のA党は、3議席(名)獲得したので、あらかじめ提出した名簿の順に沿うとドクター一郎さんまで当選することになります。

社会_20200813_05

これが拘束名簿式です。

 

次に、参議院選挙の比例代表で採用されている非拘束名簿式です。
これは、先程の拘束名簿式と異なり名簿の順位に関わらず、その候補者が獲得した票数の多い人に議席が割り振られていきます。

下の図をみてみると一目瞭然ですね。

社会_20200813_06

参議院選挙の比例代表選挙の投票用紙には政党名もしくは候補者のどちらかを書くことになっています。したがって、その際に獲得した個人の得票によって当選できるかどうかが決まっていくのです。

衆議院と参議院の比例代表の明確な違いがここにあります。
こういった差や違いはテストに出やすいので、おさえておくと良いですね。

 

ちなみに、2019年の参議院選挙からは、新たに特定枠の制度がこの比例代表選挙に導入されました。

社会_20200813_07

ドクター太郎さんとドクター花子さんがこの特定枠になった場合は、得票の多少に関わらず当選の順位が1,2位となります。
こちらも時事問題としておさえておきましょうね。

■今回のまとめ・比例代表は獲得票数に応じて当選者数を分ける
・比例代表制は2ステップを経て当選者が決まる
ステップ1:政党ごとに議席を分配する
ステップ2:採用方式に応じて、当選者を決める
・衆議院選挙は「拘束名簿式」、参議院選挙は「非拘束名簿式」
・2019年からは参議院の比例代表選挙で「特定枠」の制度が導入された。

 

いかがでしたか。
選挙の仕組みをおさえて得点に繋げてくださいね。

今回はここまで!
また次回お会いしましょう。

応援しています!

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