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投稿日:2023年06月19日

テーマ: 理科

日本の梅雨はカビの天国!~身近な科学の話⑯

皆さんこんにちは。
受験Dr.の理科大好き講師、澤田重治です。

雨が降ると、なんだか気持ちまでどんよりしませんか?
私も雨が嫌いなので、この時期は本当に憂鬱になります。

傘をささなくてはならないという物理的なわずらわしさもありますが、
低くて黒い雲に覆われる閉塞感や圧迫感というものも、
心理的な要因として意外に大きいのかもしれませんね。
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雨の日が好きな生物「カビ」

さて、そんな雨の多い季節「梅雨」ですが、この時期を好む生物の一つが「カビ」です。

前回のブログでも、「梅雨(つゆ)」という名前の由来が
カビ(黴=バイ)が生えやすい時期に降る雨なので「黴雨(バイウ)」と名付けられたが、
字面が良くないので、同じ「バイ」と読む言葉で「梅」があてられた
という説を紹介しました。
それくらい、カビにとって梅雨の時期は居心地が良いのでしょう。

ところで、カビってどんな生物かご存知ですか?
動物? 植物?

あまり知られていない「カビ」という生物の正体について、
理科の視点から考えてみようと思います。

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カビは「菌類」の生物――植物の分類を知ろう!

上のイラストのようなイメージがあるので、動物っぽく感じてしまうかもしれませんが、
カビという生物は、一応分類上「植物」になります。
(※分類体系にはいろいろあって、別の説を唱える学者さんもいるので「一応」としました)

もう少し詳しく説明すると、「胞子(ほうし)植物」といって、胞子で仲間を増やす植物の一種で、
キノコと同じ「菌類(きんるい)」という分類です。

以下に、植物全体の一般的な分類と、中学入試でよく出る植物例をまとめてみました。
中学受験を志す方はぜひ参考にしてください。

 

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合弁花類と離弁花類の区別については、たくさんあるので表中では省きましたが、
中学入試で聞かれやすいものは以下の通りです。

▽合弁花類
▼ヒルガオ科
(植物例)アサガオ,ヒルガオ,ヨルガオ,サツマイモ

▼ナス科
(植物例)ナス,ジャガイモ,トマト,ピーマン,トウガラシ,シシトウ,ホオズキ

▼キク科
(植物例)キク,タンポポ,ヒマワリ,レタス,シュンギク,ゴボウ,ヨモギ,
オオオナモミ,コセンダングサ,コスモス,ノアザミ

▽離弁花類
▼アブラナ科
(植物例)アブラナ,ナズナ,キャベツ,ハクサイ,ブロッコリー,カリフラワー,
ダイコン(スズシロ),カブ(スズナ),ワサビ,カラシナ

▼マメ科
(植物例)エンドウ,ダイズ,ソラマメ,インゲンマメ,ラッカセイ,スイートピー,
ゲンゲ(レンゲソウ),フジ,ハギ,シロツメクサ(クローバー)

▼バラ科
(植物例)ウメ,モモ,サクラ,リンゴ,ナシ,イチゴ,バラ,ヘビイチゴ,ビワ,
ユキヤナギ,ヤマブキ,ナナカマド

▽合弁花類と離弁花類の区別について意見が分かれているもの
▼ウリ科
(植物例)ウリ,ヘチマ,キュウリ,カボチャ,スイカ,メロン,ユウガオ,ヒョウタン

 

人の役に立つカビもある!

お風呂場やパンに生えると厄介なカビですが、マイナスの物ばかりではありません。

カマンベールチーズやブルーチーズのように、カビを使っている食品もありますし、
実は人類の役に立っているカビもあるのです。

その中でも、人類の歴史を変えたと言っても過言ではないのが「アオカビ」でしょう。

ドラマ化もされた某人気漫画でも描かれていましたが、
アオカビから「ペニシリン」という抗生物質が作られたことは有名ですね。

当時、治療法のなかった伝染病や破傷風を次々に治し、奇跡のクスリと呼ばれたペニシリンは、
人類の歴史の中でもトップクラスの発見だったと言えるでしょう。

発見者はイギリス・スコットランドの細菌学者であるアレクサンダー・フレミング博士です。
ペニシリンという名前も、アオカビの属名である「ペニシリウム」が由来となっているそうです。

 

次回も、楽しくてためになる「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!

理科ドクター