最新記事 2019年09月03日

テーマ: 理科

リード文を読む理科入試問題・対策編④・最終回

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

「リード文を読む」理科入試問題の対策編も、いよいよ最終回です。

これまでのブログでは、リード文問題で求められる力を、
「①読解力」・「②理解力」・「③活用力」・「④連想力」・「⑤考察力」の五つに分けて分析してきました。

その中でも、今回は主に「⑤考察力」の対策を考えていきます。

まずは、次の例題をご覧ください。

沖縄本島の北部には、ヤンバルクイナという飛べない鳥がすんでいます。
つばさが小さくて飛べないかわりに森の中を活発に歩き回ります。
水あびをすることはありますが、水中で食べ物をとることが得意なわけではありません。
ヤンバルクイナの胃の中を調べてみると、いろいろなものを食べていることがわかりました。
胃の中にはカタツムリ、ヤモリ、トカゲ、カエル、バッタ、アリなどの動物やクワズイモ、
ヤマモモ、イヌビワなどの植物の実、そして小石が入っていました。
その中でよく食べられているものがカタツムリです。
胃の中のカタツムリを調べてみると、大きなカタツムリは殼がなくやわらかい部分だけが胃に
入っていて、小さなカタツムリは殼がついたまま胃に入っていました。
ヤンバルクイナの行動を観察していると、カタツムリの殼のあいている部分をくちばしで
はさんで、石にたたきつけて割っていることがわかりました。
そのため、ヤンバルクイナのすんでいる地域には、たくさんのカタツムリの殼が落ちていて、
その多くには殼のあいている部分の反対側に穴がありました。
また、ヤンバルクイナが小石を積極的に食べているようすも観察することができました。
ヤンバルクイナのフンを調べてみると、消化できなかった植物の実の皮や種と、小石などが
入っていましたが、カタツムリの体や殼はほとんど入っていませんでした。
(後略)

このリード文について、例えば次のような設問があります。

問2 ヤンバルクイナが食べているものと、フンとして出ているものから考えられること
  として正しいものを、次のア~ケから3つ選び、記号で答えなさい。
   ア.カタツムリは殼も含めて消化され栄養になる。
   イ.植物の実はすべて消化されて栄養になる。
   ウ.小石は消化されて栄養になる。
   エ.小石は消化されないが栄養になる。
   オ.小石は栄養にならないが、他の食べ物を消化しやすいようにしている。
   カ.小石は栄養になり、他の食べ物を消化しやすいようにもしている。
   キ.ヤンバルクイナは栄養になるものしか食べない。
   ク.ヤンバルクイナは栄養にならないものも食べる。
   ケ.ヤンバルクイナは栄養にならないものしか食べない。

これは、2018年度「麻布中学校」の入試問題です。
このように、実験や観察の結果から、何が起こったのかを予測するような力が、
今回のテーマとなっている「考察力」です。

さて、上記の文章から、重要な部分を書き出して整理すると、

<胃の中にあったもの>
カタツムリ、ヤモリ、トカゲ、カエル、バッタ、アリ、クワズイモ、ヤマモモ、イヌビワ、小石
(大きなカタツムリは殼がなくやわらかい部分だけ。小さなカタツムリは殼がついたまま)

<フンの中にあったもの>
消化できなかった植物の実の皮や種と、小石 (カタツムリの体や殼はほとんどない)

となります。

植物の実の皮や種については、「消化できなかった」と書いてくれていますから、
これらを消化する力がないことは分かります。
カタツムリについては、殻ごと胃に入っていた小さなカタツムリが、殻も含めて
なくなっていることから、完全に消化していることが分かりますね。

では、「小石」はどうでしょうか?
胃の中にあった小石がフンの中に含まれていることまでは文章で分かりますが、
この事実だけなら、次のようにいくつかの可能性が考えられてしまいます。

① 小石は、エサと一緒に間違えて飲み込んでしまっているだけで、食べる気はない
② 小石も部分的に栄養にしているが、消化しづらいので、未消化の部分が残っている
③ 小石は栄養にならないが、他の目的があって一緒に飲み込んでいる

ここから、可能性を絞り込んで、正解に近づけていくのが「考察力」です!

まず、①については、リード文の中に
「ヤンバルクイナが小石を積極的に食べているようすも観察することができました」
という表現があるので、間違えて食べているはずがありません。

次に、②については、「なぜ小石なのか?」ということを考えます。
栄養成分が欲しいだけなら、消化しづらく、飲み込みにくい小石を食べるより、
それが砕けてできた砂粒を食べた方が効率的なはずですね?
つまり、「わざわざ」小石を食べているのだということが分かります。

そうなると、食物と一緒に小石を食べることで、小石によってかたいものを砕いたり
すりつぶしたりしたいのではないかという仮説が浮かびます。

そこで、改めてリード文を読み返してみると、カタツムリの殻の処理について、
ずいぶん詳しく書かれていることに気づきませんか?
大きなカタツムリの殻を、「石にたたきつけて割っている」ということも書いてあります。

つまり、殻ごと飲み込んだ小さなカタツムリの殻を、小石で砕いているのでしょう。

こんな風に、文章の中から様々なメッセージを読み取り、一つの正解に向かって
話を収束させていくことが必要なのです。

では、どうしたらこのような解き方ができるようになるでしょうか?

この力を鍛えるためには、様々な可能性を列挙する練習をすることが重要です。
そして、そのためには、物事を多面的にとらえる訓練も欠かせません。

例えば、自分の「学習の仕方」ということを考えるときにも、
15分くらいで小刻みに休憩を入れた方が良いのか、
それとも、少なくとも30分くらいは続けた方が良いのか……など、
それぞれの「メリット(利点)」と「デメリット(欠点)」をできる限り多く考えて、
どちらの方がより適しているかを考えるのです。

このように、普段から「考えること」を大切にしてください。
「考察力」は理科で求められる最も高度な力ですから、簡単には身に付きませんが、
きっと皆さんの将来にも役立つ力となるはずです。