最新記事 2022年10月07日

テーマ: 理科

光の三原色・色の三原色~身近な科学の話⑧

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

今からウン十年前……私が大学に入学する頃には、
一部の理系人間しか触れることのなかった「パソコン」も、
今や広く一般に普及し、現代の生活に必要不可欠なものとなりました。

それに伴って、性能は格段に上がっているのに価格は下がるのですから
本当にありがたいことです。

そして、同じ流れの中で家庭用のインクジェットプリンタも安くなり、
「一家に一台」どころか「一人一台」になりつつあります。

そんなプリンタのインクカートリッジを見て、
「マゼンタとかシアンって何なの?」と思ったことがある方も多いことでしょう。
聞き慣れない言葉ですよね。
なぜ、「赤インク」「青インク」ではないのでしょうか?

ここに大きく関係しているのが「三原色」という考え方です。

パソコンやテレビのモニター画面は、拡大してみると
「赤」「緑」「青」の3色の光でできていることがわかります。
この3色のことを、「光の三原色」といいます。

この3色の光を混ぜ合わせ、その強さの割合を変えることによって、
様々な色を再現することができるのです。
強さの割合を考慮せず、単純に3つの光を重ね合わせると次の図のようになります。

image2 ← 光の三原色

このとき、赤と青が重なった部分にできた
赤紫色っぽい色のことを「マゼンタ」といいます。
また、緑と青の間にできた水色っぽい色のことを「シアン」といいます。

一方、プリンタに使われているカラーインクは、
先ほどの光の三原色で2つの光が重なった部分にできている
「イエロー(黄色)」「マゼンタ」「シアン」の3色が基本になっています。
(高性能なプリンタでは、さらに色の数を増やしている場合もあります。)

このインクに使われている3色のことを「色の三原色」といい、
次のような関係になっています。

image1 ← 色の三原色

このとき、2色が重なった部分にできている色が、
「光の三原色」だった「赤」「緑」「青」になっていることが分かります。
不思議な関係ですよね?

このように、「三原色」と呼ばれるものが2種類あって混乱してしまう人もいるようですが、
実は仕組みは簡単で、一度理解できると両方同時に覚えることができます。

その根本原理は、「光は重なると明るく(淡く)なり、インクは重なると暗く(濃く)なる」ということです。

つまり、光の三原色は濃い色を基にしていて、重なるほど明るくなって白に近づき、
色の三原色は淡い色を基にしていて、重なるほど黒に近づいていくということなのです。

だからプリンタインクは、「赤」や「青」ではダメだったのですね。

ちなみに、「マゼンタ」の語源はイタリアの都市の名前、
「シアン」の語源は古代ギリシャ語で「暗い青」という意味なのだそうです。

えっ? 暗い青?
シアンは、明るい色だから色の三原色になっているのに……
言葉って不思議ですね。

次回も、楽しくてためになる「身近な科学」を紹介していきます。
どうぞお楽しみに!