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投稿日:2020年08月31日

テーマ: 算数

てんびん図を使いこなす

みなさん、こんにちは。

算数・理科講師のM.Sです。

例年であれば、夏休み最後の日の人が多いと思われますが、
今年はいかかでしょうか。

この時期、1学期に学習した内容を夏期講習等で復習して、
さまざまな解法(私は解法を武器とか道具と呼んでいますが)を習得したのではないでしょうか。
6年生は、全分野の武器がそろい、その武器の使い方を一通りこの夏に見直したと思います。
そして、武器を磨いたと思います。

本日は、
その武器(解法)を根本原理まで理解すれば、教科を超えて使えることできることをお伝えしたいと思います。

まずは次の問題を見てください。

10%の食塩水100gに、濃度がわからない食塩水Aを50g加えて、さらに50gの水を加えたところ、食塩水の濃度は6%になりました。加えた食塩水Aの濃度は何%ですか。
(海城中 2016年 第1回)

この問題の場合、公式で解くという人も多いでしょう。
私も本番のテストとなれば、以下の式で、解くかもしれません。

食塩水Aの食塩の重さ=(100+50+50)g×算数20200831_08-100g×算数20200831_09=2g
食塩水Aの濃度=2g÷50g=0.04 → 4%

ですが、本日、お伝えしたいのは、武器(解法)の使い方なので、
別の方法で、解きます。

算数の食塩水といえば、公式以外に、てんびん図が解法としてあります。

そして、てんびん図は、理科でのてこのつりあいを利用しています。
てんびん図とてこのつりあいをまとめると、次のような感じですね。

算数20200831_01
上の図、そして、つりあっているときは支点をどこでもよいことを使って、問題を解くと、

解法① 0%を支点とする
左に回すはたらき=200g×6%
右に回すはたらき=50g×□%+100g×10%
□=4%

解法② 6%を支点とする
左に回すはたらき=50g×6%+50g×△%
右に回すはたらき=100g×(10-6)%
△=2%  □=6-2=4%

となります。理科の知識が算数でも使えることが体感できましたか?
めんどくさい…公式で解けるからいいのでは?と思う人もいるかもしれませんが、
1つの解法しか知らないと、発展問題に太刀打ちできないことがあります。
ですから、さまざまな武器(解法)を根本原理まで理解し、その武器を磨くのです。

では、実際にこの武器を発展問題で使ってみましょう。

次の問題です。

400gずつ食塩水が入っている容器A、B、Cがあり、容器Cの食塩水の濃さは3%です。容器AとBからそれぞれ200gずつ取り出して混ぜると3%の食塩水になりました。次に、容器Cから200gずつとりだして容器A、Bに入れると容器Aの食塩水の濃さは容器Bの食塩水の濃さの2倍になりました。はじめの容器Aの濃さを求めなさい。

この問題を公式で解こうとすると、結構時間がかかると思います。

ということで、先ほどの、てんびん図とてこのつりあいという武器を使います。

この問題のポイントは、すべて200gずつの食塩水を混ぜていること、
解法のポイントは、濃さの数値をてこの棒と見立てているので、0%から棒をかいてみることです。

では、混ぜているようすをでんびん図にしてみましょう。

・容器AとBからそれぞれ200gずつ取り出して混ぜると3%の食塩水になりました。

<図1>
算数20200831_02

 

・容器Cから200gずつとりだして容器A、Bに入れると容器Aの食塩水の濃さは容器Bの食塩水の濃さの2倍になりました。

<図2>
算数20200831_03

<図3>
算数20200831_04

 

ここで、技をひとつ。
図1から図3のてんびん図をひとつにまとめてみましょう。
ひとつにまとめると、次のようになります。

算数20200831_05

 

図1の算数20200831_061つ分の長さと、図2、3の算数20200831_072つ分の長さが同じです。

そして、1つにまとめたことにより、

図から、算数20200831_073つ分が3%となり、算数20200831_075つ分のA%は5%となります。

ほぼほぼ計算せずに解答できました。

このように、根本原理を正しく理解し、使うことによって、さまざまな問題が解けますので、
1つの問題に対して、1つの解法を暗記するのではなく、
解法の原理を理解していきましょう。

他にも、てんびん図は、算数では平均の問題でも使えますし、理科ではカロリー計算にも使えます。
これらについてはまたの機会に紹介しますね。

6年生は受験まで半年を切っていますので、
これから授業で学ぶことひとつひとつを集中して学習していきましょう。

算数ドクター