みなさん、こんにちは。
受験Dr.社会科担当の松田吉郎と申します。
今回は、時事問題対策の総まとめとして、2023年~2025年の約3年分の時事情報を確認します。
・お使いの地図帳に書き加えながらアップデートしていきましょう。
・おもに地理分野で出題されそうな日本地理の情報を、出題頻度が高いと思われる順に記していきます。
歴史・公民については次回の予定です)
①世界遺産『2024年 佐渡島の金山(新潟県)』
世界遺産は全26件、そのうち文化庁管理の世界文化遺産が21件、環境省管理の世界自然遺産が5件あります。日本ではどの世界遺産がどこの都道府県にあるのかチェックしておきましょう。
「佐渡島の金山」は世界文化遺産の中でも産業の発展に大きな影響を与えた産業遺産としての側面があり、「石見銀山遺跡(島根県)」、「富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)」、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業(岩手県・静岡県・山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県)」などと同様に産業遺産の側面があるともいわれています。
②新幹線『2024年 北陸新幹線の延伸開業(金沢駅~敦賀駅)』
長野オリンピック(1998年)にあわせて1997年に高崎駅~長野駅が開通、2015年に長野駅~金沢駅が開通、そして2024年に敦賀駅まで延伸されました。新幹線に関しておぼえるべき頻出知識は、通過する都道府県と周りの地名、路線名と終点駅・分岐駅の名前です。
2022年に開業した西九州新幹線(武雄温泉駅~長崎駅)は、九州新幹線の新鳥栖駅(佐賀県)とつなげる計画があります。この他にも北陸新幹線の延伸(敦賀駅~大阪駅)、リニア中央新幹線(東京~名古屋~大阪)、北海道新幹線(新函館北斗駅~札幌)など、着工が始まっている新幹線や計画段階の新幹線がありますが、次に新たな新幹線区間が開業するのは、現時点では十数年は先のことになる見込みになっています。
③災害関連『2024年1月1日 能登半島地震など』
2024年1月1日に発生した能登半島地震(M7.6,最大震度7)は一帯に大きな被害をもたらし、現在も復旧活動が続いています。大津波警報(気象庁)の発令は、2011年3月11日の東日本大震災以来のことでした。北部の沿岸付近では最大4mの地盤隆起が確認され、数百年~数万年おきに見られる海岸段丘の誕生を知る上では地質学的に貴重であり、災害復興とジオツーリズム(地質・地形をテーマとした観光開発)を連動させるためにユネスコ世界ジオパークに申請しようとする動きがあります。
2024年8月には、フィリピン海プレートとユーラシアプレートがぶつかるところにある南海トラフ付近を震源とする大地震発生の危険性が高まったとのことから、気象庁から南海トラフ地震臨時情報が呼びかけられました。発令は8月8日~15日の1週間ほどのことでしたが、その不安がひろまったことなどから米などの買いだめがおこり、いわゆる令和の米騒動へとつながっていったという見方もあります。南海トラフは、100年~150年ほどの周期で巨大地震が発生している地域であり、前回は1944年~1946年に巨大地震が発生しています。2025年9月の地震調査委員会(文部科学省)の調査結果によると、30年以内にマグニチュード7~8クラスの南海トラフ地震が発生する確率を「60%~90%以上」に引き上げられたということもあり、巨大地震がいつ起こってもおかしくない状態であるようです。気象庁のホームページなどを参考にして、日ごろから災害に対する備えをしておきましょう。
④気象『2025年8月5日 伊勢崎市で41.8℃』
東北地方以南の44都府県に熱中症警戒アラート(2021年から環境省と気象庁により共同運用開始)が発令されていた2025年8月5日、伊勢崎市の気温が41.8℃を記録し、国内最高気温が大幅に更新されました。この約1週間前の2025年7月30日にも兵庫県丹波市で当時の国内最高気温である41.2℃を記録しており、2025年の夏も危険な暑さとなりました。
2023年に国連事務総長アントニオ・グテーレスが発表した『地球沸騰化』の声明が話題になりましたが、地球の温暖化が進んでいることを感じさせますね。
⑤国立公園『2024年 日高山脈襟裳十勝国立公園(北海道)』
環境省が管理する国立公園は全35件あります。世界遺産ほど頻出というわけではありませんが、都道府県判別問題の手がかりとして出題されることがあり、『伊勢・志摩国立公園』などのように中学受験の学習範囲の地名が国立公園の名称にふくまれる場合は特に要チェックです。
⑥その他の更新情報
・無形文化遺産『伝統的酒造り(2024年12月)』
日本三大酒どころとして知られる兵庫県の灘、京都府の伏見、広島県の西条など、日本全国の伝統的な酒造りの文化が登録されました。
・ユネスコ世界の記憶『増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書(2025年4月)』
東京都の港区の芝にある増上寺は、台東区の上野の寛永寺と合わせて徳川家の歴代将軍の墓所がある徳川家の菩提寺です。おもに徳川家康が全国から集めた数々の仏教聖典が増上寺に納められており、ユネスコ世界の記憶に登録されました。
・2023年と2025年に新たに認定された4件の世界農業遺産
世界農業遺産は国連食糧農業機関(FAO)によって認定される、後世にのこすべき伝統的な農業技術です。2025年現在で、日本には17の認定地域があります。
2023年認定
人と牛が共生する美方地方の伝統的但馬牛飼育システム(兵庫県)
大都市近郊に今も息づく武蔵野の落ち葉たい肥農法(埼玉県)
2025年認定
たたら製鉄を再適用した奥出雲地域の持続可能な水管理及び農林畜産システム(島根県)
有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム(和歌山県)
今回もお読みいただきありがとうございました。
特に①~⑤に関しては、時事問題という扱いでなくとも一般的な入試問題として今後も出題されていくと思うので、お使いの地図で位置・都道府県を確認しておきましょう。
⑥については時事的な要素がかなり強く、今年ならではの出題になりそうな予感がします。東京都の女子御三家や開成中、筑波大学附属駒場中、浦和明の星などの時事用語を出題する学校を受験する場合は、特によくチェックしておいてください。
以上、社会科担当の松田吉郎でした。

