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投稿日:2021年11月12日

テーマ: 算数

池の周りの速さの問題

みなさんこんにちは。受験ドクターの久米です。
今回は算数でよく出てくる池の周りの速さの裏技について説明します。

例題1
AくんとBくんは池の周りを同じ地点から同時に出発します。
反対方向に回ると3分後に初めて出会い、
同じ方向に回ると12分後に初めてAくんがBくんを追い抜きます。
Bくんは何分でこの池を一周しますか。

5年生の後半から出てくる速さと比の問題です。
一般的な解き方では、具体的な距離情報が出ていないので、比を使って解きます。
池の周りの距離を1とすると、
A+Bの速さは1÷3=1/3
A-Bの速さは1÷12=1/12
Bの速さは和差算の考え方から(1/3-1/12)÷2=1/8
Bが1周するのにかかる時間は1÷1/8=8分
この考え方がしっくりくる場合はこれで問題ありません。
しかし、この解き方に対して、
「分数が多くなってしまい何かしっくりこない」
「全体の距離がいくつになるのか分からない」と思われる方は、
「全体を360度として角速度を出す」という裏技を使ってみましょう。
A+Bの分速は360÷3=120度
A-Bの分速は360÷12=30度
Bの分速は(120-30)÷2=45度
Bが1周するのにかかる時間は360÷45=8分
360の約数が使われているので、計算がすっきりしました。

この考え方を使って、難関校の問題を解いてみましょう。

例題2
下の図の円の円周上に、ボタンXを1回押すと一定の速さで時計回りに㋐秒間だけ動く点Pがあります。

最初に点Pはこの円周上にある点Aに止まっていて、ボタンXを1回押すと、点Pは点Aを出発し、
動いている㋐秒間で点Aをちょうど3回通過し、点Aとは異なる点Bで止まります。(条件1)
点Pが点Bで止まった後に、ボタンXを5回押すと点Pは点Bを出発し、この円を何周かして
ちょうど点Bで止まります。(条件2)
点Pがこの円を一周するのにかかる時間が30秒(条件3)であるとき、㋐にあてはまる数として考えられるものをすべて答えなさい。(2018年聖光学院・改題)
2021_1112_blog1

円周の長さや点Pの速さが出ていないので、どこから手をつければいいの?となる難問です。
しかし、今の私たちには角速度という強い味方があります。
条件3より、点Pの角速度は360÷30=12度/秒です。
条件1より、ボタンXを1回押したときの点Pの動いた距離は、3周より長く4周より短いです。
したがって点Pの動いた距離は360×3=1080度より長く、360×4=1440度より短くなります。
ですから、㋐の時間は1080÷12=90秒より長く、1440÷12=120秒より短くなります。
条件2より、ボタンXを5回押したときの点Pの動いた距離は360の倍数です。
12度×㋐秒×5回=360の倍数となる㋐を調べます。
この式を簡単にすると60×㋐秒=360の倍数となります。
㋐の範囲は90より大きく、120より小さくなるので、
㋐=90のとき 60×90=5400
㋐=120のとき 60×120=7200
5400と7200の間の360の倍数は、5760、6120、6480、6840
60×㋐=5760のとき ㋐=96
60×㋐=6120のとき ㋐=102
60×㋐=6480のとき ㋐=108
60×㋐=6840のとき ㋐=114
答え 96、102、108、114

距離情報が少ない池の周り問題・円周上の点の移動問題を見たときは、
角速度が利用できるかどうか検討してみましょう。
それではまた。受験ドクター、久米でした。

算数ドクター