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投稿日:2024年07月09日

テーマ: 理科

中学受験:理解力up!~ばねの伸び方③~

皆さんこんにちは。
受験Dr.講師の勝山利信です。

前回に引き続き「ばねの伸び方」についてお話します。
ばねの伸び方の問題の中でも、最も難度が高い並列つなぎの考え方を理解するための内容です。
力がどのように振り分けられるかという点に注目して考えていきましょう!

 

ばねの並列つなぎ①

次の図のようにばねを並列につなぐときに、自然長と伸び方が同じばねを複数つなぐ場合はシンプルです。

図1

 

自然長が等しいばねであれば、棒を水平に保つために同じ長さ伸びる必要があります。
伸び方が同じなのであれば、同じ長さ伸ばすために必要な力の大きさも等しいので、つるしているおもりの重さを、ばねの本数で割れば1本のばねにかかる重さを計算することができます。

例えば、おもりの重さが60gでばねが2本であれば、60÷2=30より1本のばねに30gの力がかかり、その分ばねが伸びます。

おもりの重さが60gでばねが3本であれば、60÷3=20より1本のばねに20gの力がかかり、その分ばねが伸びます。

ばねの並列つなぎについて考えるときは、この同じ性質のばねを複数本並べているときを土台にして考えましょう!

 

ばねの並列つなぎ②

それでは次に、自然長は同じでばねの伸び方が異なる場合について考えてみます。

 

図2

 

ばねAとばねBの自然長がどちらも10cmだとします。
ばねAは30gの力で1cm伸び、ばねBは20gの力で1cm伸びるとしましょう。
棒の長さは60cmで、2本のばねをつないでいるだけで重さはかからないとします。
おもりの重さは200gです。

この棒が水平になるのは、2本のばねの長さが等しくなったときです。
自然長は同じ長さなので、同じ長さ伸びればばねの長さも等しくなります。
1cm伸びるのに必要な力が、ばねAは30g、ばねBは20gですので、重さがばねAとばねBに3:2の割合でかかるようにすれば、同じ長さ伸びてばねの長さも等しくなります。

200×3/5=120より、ばねAに120gかかると、120÷30=4より4cm伸び、
残りの80gがばねBにかかると、80÷20=4より4cm伸びて、ばね全体の長さも等しくなります。

おもりをつるす位置は、てこの原理の考え方を使って考えます。

 

図3

 

棒の左端を支点として考えると、右端にばねBが棒を引く力が80gかかるので、支点からの距離とかけ算し、80×60=4800より、4800の左回りのまわそうとするはたらきが生じます。

右回りのまわそうとするはたらきの大きさも4800で等しくつり合っているので、おもりをつるす位置は、
4800÷200=24より、左端から24cm離れていると計算することができます。

 

ばねの並列つなぎ③

最後に自然長も伸び方も異なる場合について考えてみましょう。
先ほど確認した、「ばねの並列つなぎ②」の考え方を応用します。

 

図4

 

自然長は、ばねAが10cm、ばねBが16cmです、
ばねAは20gの力で1cm伸び、ばねBは10gの力で1cm伸びるとします。
棒の長さは60cmで、2本のばねをつないでいるだけで重さはかからないとします。
おもりの重さは300gです。

自然長が異なるばねの長さを最終的に等しくする必要があるので、1度の計算で解決するには難しくなりました。そこで、2つのステップに分けて考えます。

〈ステップ1〉短い方のばねを伸ばして長さを合わせる
自然長は、ばねAの方がばねBより6cm短いので、その分伸ばして長さを合わせます。
ばねAを6cm伸ばすには、20×6=120より、120gの力が必要です。
おもりの重さ300gの内、120gはばねAを6cm伸ばすことに使われるととらえましょう!

〈ステップ2〉残りの重さを同じ長さのびるように振り分ける
300−120=180より、残り180gをばねAとばねBが同じ長さ伸びるように、1cm伸ばすのに必要な力の大きさにしたがって、2:1に振り分けます。

180×2/3=120より、ばねAには120gの力を振り分けます。
180-120=60より、ばねBには60gの力を振り分けると考えます。

結果、ばねAには120+120=240より240gの力がかかり、240÷20=12より12cm伸びて22cmになります。ばねBは60÷10=6より、6cm伸びて22cmになり、ばねAとばねBの長さを等しくすることができました!先ほどと同じようにてこの原理を利用して、おもりをつるす位置は左端から12cm離れていると計算できます。

3つの並列つなぎパターンをまとめると次のようになります。

3つの並列つなぎパターンの表

 

 

物理の難問を理解するステップ

特に物理分野の学習において、難度の高い問題を考えるときに重要なことは、条件の違いが結果や解き方にどのような違いをもたらすか考えることです。テストでは様々な条件を組み合わせて出題されるので、解き方を丸々覚えるのではなく、条件と考え方の関係性を理解してトレーニングするように心がけましょう!

目指せ理解力UP!
それでは、またお会いしましょう!

理科ドクター