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投稿日:2023年07月18日

テーマ: 算数

受験理科のコツ!電熱線の発熱はカロリーで解く①

みなさん、こんにちは。受験Dr.の亀井章三です。

今回は理科の「電熱線」についてです。
水の中に電熱線を入れて電気を流すと、電熱線が熱くなり水を温めます。
ある電熱線に電気を流すと水の温度は何度になるでしょう?
この問題を、理科ではなく算数の考え方で解く方法を説明します。

 

1 与えられた実験結果を活用する

電熱線に電気を流したときのエネルギーの大きさ。
理科の考え方では、電流×電流×電気抵抗の積を用いて考えていきます。
しかし、中学入試の理科において、
「長さ10㎝、断面積0.2㎟の電熱線を、水温20℃の水200gの中に入れ、
500mAの電流を流したとき、水温は何℃になるか求めなさい。」
のように、他の実験結果もなく、いきなり発生する熱のエネルギーだけを考え
させる問題は出題されません。

出題されるのは、次のような実験結果を与えたうえで考える問題になります。

 

問題
長さ10㎝ 断面積1㎟ の電熱線Aと
長さ20㎝ 断面積1㎟ の電熱線Bがあります。
この電熱線をそれぞれ同じ発電装置につなぎ、
20℃ 100gの水の中に入れます。(図1)
下の表は、それぞれの電熱線に電気を流し始めて
からの時間と水温の様子を表にしたものです。(表1・表2)
image1 (2)

 

(1)電熱線Aを、30℃ 200gの水に入れて30分間電気を流すと、水温は
何℃になりますか。ただし、発電装置の電圧は一定であるものとします。

このような問題であれば、理科の考え方である電気抵抗や電流を考える
必要はありません。
むしろ、算数の考え方である「1分あたりのエネルギー」を考えることで容易に
解くことができます。具体的な解き方を見ていきましょう。

 

2 発熱のエネルギーとカロリー

温める水の重さと上昇した温度の関係を捉えるために、ここでは、カロリーという
単位を用います。
1カロリーは1gの水の温度を1℃変化させるエネルギーです。
例えば、100gの水を10℃から15℃に変化させるのに必要なエネルギーは、
100×(15-10)=500カロリーになります。

先程の表1から、電熱線Aが1分間で発生させる熱エネルギー(カロリー)を
求めます。
Aは5分間で100gの水を4℃上昇させました。
100gの水を4℃上昇させるエネルギーは、400カロリーです。
よって、Aに電気を流すと1分間で80カロリーのエネルギーが発生します。

1分あたりのカロリーを用いて解く
Aに30分間電気を流すと、30×80=2400より、2400カロリー発生します。
このエネルギーを200gの水に与えるので、2400÷200=12より、水温が
12℃上昇します。最初の水温が30°なので、12℃上昇して42℃になります。
正解は42℃です。

 
今回は、実験結果から基準となる数値(1分あたりの熱エネルギー)を求め、
その値を使って問題を解くことを説明しました。
次回は、実験結果を比較して規則(長さとエネルギー、断面積とエネルギーの
規則)を見つける解法を説明していきます。

 
今回のポイント
・電熱線で水を温めるときは、発生したエネルギーをカロリーで考える。
・実験結果から、それぞれの電熱線が1分間で作り出すエネルギーの大きさを
 求め使用する。

算数ドクター