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投稿日:2019年06月25日

テーマ: 算数

水そうの問題でやってほしい3つの作業

みなさん、こんにちは。受験ドクターの亀井章三です。

水そうに水を入れていく問題は、中学入試でもよく取り上げられます。
この問題は「立体図形」「割合と比」「速さ」「つるかめ算」など、様々な
要素を含んでいて、1問でいろいろな力を試すことができるからです。
そんな水そうの問題を解く時に、必ずやってほしい3つの作業を説明
してまいります。

問題 図のように、たて30㎝、横60㎝、高さ40㎝の水そうが、
底面に垂直な2枚の板(板1、板2)で仕切られています。
この水そうに毎秒240㎤の割合で右側から水を注ぎ、辺ABで
水の深さを測ったところ、時間と水の深さの関係はグラフのよう
になりました。これについて、次の問いに答えなさい。
(1) BC、CDの長さを求めなさい。
(2) 板1、板2の高さを求めなさい。水槽問題1

水槽問題2

作業1 空の水そうを正面から見た図を描く

まずやってほしい作業は、
「空の水そうを正面から見た図を描く」です。

問題にある立体的な見取り図に書き込んで考えることもできますが、
図が小さい・数値を書いていくとごちゃごちゃしてくる、と解きにくく
なってしまいますので、最初に作業用として平面の図を描いておきま
しょう。奥行きは書きにくいので別に書いておきます。

水槽問題3

図を描く際のポイントは、
・グラフを見なくてもわかっている数値は書いておく
・どの部分から水が入っているかを矢印で示しておく  になります。

作業2 グラフが折れ曲がった時の水面・高さを全て書く

次にやってほしい作業は、
「グラフが折れ曲がった時の水面・高さを全て書く」です。

グラフが折れ曲がるということは、何かしらの変化があったからです。
それは、①水量が変化した、②容器の底面積が変化した、のいずれか
になります。そのときの水面を線で引くことで、水そうの中をいくつか
の部分に分けます。その際、グラフから高さが読み取れる場合、その
高さも図に書き込みます。

水槽問題4

作業3 それぞれの部分を水で満たすのにかかる時間を書き込む

最後にやってほしい作業は、
「それぞれの部分を水で満たすのにかかる時間を書き込む」です。

グラフを読みとることで、それぞれの部分は何秒間でいっぱいに
なったかがわかります。これを書いておくことは、問題を解くうえで
の大きなヒントとなります。
今回は説明のため、それぞれの部分について、水が入っていく
順にア~オの名前をつけておきます。

水槽問題5

ここまでの作業を行えば、あとは計算で考えたり、比を使ったりして
答えを出すことができます。そこで今回は、比を使わず計算で求め
る方法と、面積比を用いて解く方法の2通り説明してまいります。

▶比を使わず計算で求める方法
この場合は(2)→(1)の順に求めていくことになります。
(2)板2の高さ  オの部分を考えます。この部分の体積は、30秒間で
入った水の体積と等しいので、高さを□㎝とすると、
30×60×□=240×30 となり、□=4になります。
したがって、板2の高さは、40-4=36㎝です。
(2)板1の高さ 次はエの部分を考えます。この部分は72秒間で入った
水の体積と等しいので、
ED×30×36=240×72 となり、ED=16㎝になります。
そこから、DB=60-16=44㎝と求められます。
次に、ウの部分を考えます。この部分は88秒間で入った水の体積と等し
いので、高さを□㎝とすると、30×44×□=240×88 □=16になります。
したがって、板1の高さは、36-16=20㎝です。
(1) DCの長さ 次はイの部分を考えます。この部分は50秒間で入った
水の体積と等しいので、
DC×30×20=240×50 となり、DC=20㎝と求められます。
(1)CBの長さ DB=44㎝、DC=20㎝なので、CB=44-20=24㎝です。

答え (1)BC=24㎝、CD=20㎝ (2)板1=20㎝、板2=36㎝

ポイントは長さがきちんと分かっている部分から考えていくことです。

▶面積比を用いて解く方法
先にポイントをお伝えすると、水の入った順番に部屋を比べていく、ということです。
① アとイ → ②ア+イとウ → ③ア+イ+ウとエ → ④ア+イ+ウ+エとオ
というふうに、段々と空間がつながっていきます。
(このように比べた相手が味方となって、新たな部分と比べていく様子を、
とある漫画になぞらえて『男塾方式』や『DB方式』と私は呼んでいます。
詳しくはお父様に聞いてみてください。)

① アとイ
水槽問題6

高さが等しいので、時間の比=体積の比=底辺の比となり、
DC:CB=5:6 です。

② ア+イとウ
水槽問題7

底辺が等しいので、時間の比=体積の比=高さの比となり、
板1:板2=110:(110+88)=5:9です。

③ ア+イ+ウとエ
水槽問題8

高さが等しいので、時間の比=体積の比=底辺の比となり、
ED:DB=4:11 です。
先ほどの、DC:CB=5:6と比を合わせると
ED:DC:CB=4:5:6となり、EB=60㎝から、
DC=60÷15×5=20㎝、CB=60÷15×6=24㎝と求められます。

④ ア+イ+ウ+エとオ
水槽問題9

底辺が等しいので、時間の比=体積の比=高さの比となり、
水そう:板2=(270+30):270=10:9です。
水そうの高さが40㎝なので、板2の高さは、40÷10×9=36㎝
板1の高さは、36÷9×5=20㎝と求められます。

答え(1)BC=24㎝、CD=20㎝ (2)板1=20㎝、板2=36㎝

比を用いた解き方は計算量が少なくなるためミスしにくくなります。
受験生の皆様はぜひ比で解く方法を身につけていってください。

今回は、水そうの問題でぜひやってほしい3つの作業をご紹介いたしました。
次回もお楽しみに!

算数ドクター