最新記事 2020年02月28日

テーマ: 社会

社会科。でも漢字練習のすゝめ

よくいただくご質問で、「社会の用語も漢字で覚えるべきですか?」というものがございます。このご質問、なかなか即答が難しいご質問です。理想を申し上げれば、「ぜひ漢字で覚えましょう」と申し上げたいところですが、社会の用語は、難解でしかもなじみが薄いものが多いため、覚えることだけで精一杯という方も少なくないのではないでしょうか。
他方で、各学校の社会科・入試問題を研究していると、一昔前と大きく異なる傾向をあらわすようになりつつあることに気づきました。それが、『漢字指定』の増加です。以前でしたら偏差値で60あたりから上に限られていたものが、これに限らない学校にまで波及しています。

そこで今回は、各校の漢字指定の傾向を分析しつつ、「社会科。でも漢字練習のすゝめ」の意味を、いま一度ご確認いただけたらと思い寄稿させていただいた次第です。それでは早速、各校入試での漢字指定の現状をみていきましょう。
               
開成中学では、漢字指定の問題は、記述問題全体に対して例年およそ10~15%ほどの割合で出題されております。開成中学の特徴としては、総じて基本事項は漢字指定になりやすい、といえます。たとえば、都道府県名やそれらの庁所在地名、省庁名(国土交通省や財務省)、歴史上の有名人(平清盛・徳川家光など)などです。もっとも、平成29年のように、解答のみを見るとこんなものまで覚えなくてはならないの?と受験生からため息が漏れそうなものも散見されます。

社会 漢字1
           
桜蔭中学では、記述問題全体の20%ほどで例年推移しております。桜蔭中学での漢字指定の範囲は、徹底して基本事項です。各塾のテキスト類(コアプラス・メモリーチェック・予習シリーズ要点チェック)で十分カバーできるレベルまでの範囲です。

社会 漢字2
                                             
ここまでは、漢字指定の割合がさほど高くないといえる2校について述べさせていただきました。では、偏差値としてはこれら2校よりやさしいといえる学校について、漢字指定の条件もそれに比例してゆるめられているのでしょうか。

答えは「NO」です。

男子中学校の慶應普通部・早稲田中学はいずれも徹底した漢字指定で、記述式問題において漢字で書けるものは、すべて漢字指定となっています。しかも、問題のレベル=解答のレベルが比較的高いものまで漢字指定で出題されることも少なくありません。女子中学校では、豊島岡女子・吉祥女子において同様の傾向が見られます。
さらに、男子中学校の本郷・城北・巣鴨においても、たしかに基本的事項が問題の多くを占めるとはいえ、記述式解答においてすべて漢字指定というのが近年の傾向といえます。

いかがでしょう。とにかく言葉を覚えればよいという状況ではなくなりつつあることが、お分かりいただけたのではないでしょうか。

社会 漢字3
                       
まず、塾でのテキスト・プリントにおいて、ルビなしで漢字表記のものは「漢字で」覚えるのが得策なようです。他方で、難解といわれるものは、志望校によって「覚え分ける」必要がありそうです。早期に志望校の過去問に目を通され、ある程度の目安をつけてから日々の演習に取りかかるのも、効率性を考えたら一考に値するかもしれません。
ただ、基本事項の習得が一般的には重要課題の時期ですから、まず基本事項を「言える」レベルにして、その延長線上に、「漢字習得」があるとお考えになられたほうがよろしいかもしれません。あまり、「漢字、漢字」と追い込んでしまうと、社会嫌いにさせてしまうかもしれません。それでは本末転倒となりかねません。
まずは、楽しみながら用語を覚え、覚えたものを漢字で、というのがお子様にとっても負担の少ない上達方法と思われます。

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