最新記事 2019年10月01日

テーマ: 社会

「コーヒーの日」と社会科学習

こんにちは。受験ドクター国語科・社会科担当の市村 史帆です。

本日、10月1日は全日本コーヒー協会の定めた「コーヒーの日」です。

社会 コーヒー1

社会科の観点から「コーヒー」にまつわるお話をします。

コーヒー豆の産地といえば、ブラジル。世界生産量の約60パーセントを占めています。
5年生で学習する他国との貿易関係、6年生で学習する国際関係にも、ブラジルという国名は度々出てきますね。
また、日本に在留する外国人の数を国籍別に見ると、ブラジルは第5位
社会科の授業で知識としては覚えても、1~4位は中国、韓国、フィリピン、ベトナムとアジアの国々、6位は台湾、7位アメリカ…と見ていくと、ブラジルから来た人の順位が高いのには疑問が生まれるかもしれません。
地球の反対側に住むブラジルの人がこんなに多く日本に住む理由は、実はコーヒーと関係があるのです。
今回は、コーヒーにまつわる日本とブラジルの関わりを見てみましょう。
社会科入試に頻出の用語が多く出てきますので、ぜひ思い出しながら読んでみてください。

ブラジルでコーヒー栽培が始まったのは18世紀初め。栽培には、多くの人出が必要でした。
1908年、コーヒー農園の労働者が不足していたブラジルに、781人の日本人を乗せた最初の移民船「笠戸丸」が到着しました。
その後、日本では1918年に起こった米騒動をはじめとして、関東大震災、第一次世界大戦後の不況から起った昭和金融恐慌、世界恐慌の影響を受けた昭和恐慌など、特に農村部に住む人々は苦しい生活を強いられることとなりました(歴史の学習で出てきた用語ですね)。
豊かな生活を夢見て、政府の援助を受けて約13万5千人がブラジルに移住していきました。
明治時代から第二次世界大戦後までを合わせると、日本からブラジルに渡った移民はなんと約25万人。
現在では移民六世も誕生し、140万人が住む海外で最大の日系社会ができあがるまでになりました。

さて、話は変わりますが、ここで地理の問題です。

都道府県別に日本に住むブラジル人の数を見てみると、多い順に愛知県、静岡県、三重県、群馬県、岐阜県・・・と続きます。

これらの都道府県の共通点はなんでしょうか。

答えは・・・



自動車工業をはじめとした機械工業がさかんであること。

時代を少しさかのぼり、高度経済成長期の日本を見てみましょう。
トヨタ自動車で採用された「ジャスト・イン・タイム方式」を実現するために考えられた「かんばん方式」。必要なものを、必要なときに、必要な分だけ生産する方式です。余分な在庫を持たず、生産の効率は良くなりますが、生産の工程を細かく分けることで、多くの人手が必要となります。
日本の労働者の賃金が上がり、安い賃金でも働く労働者が不足してきました。
そこで、日本と比べて低賃金でも働く外国人労働者の受け入れが進みます。
おりしも、1980年代半ばからのブラジルでは経済低迷により国民の暮らしが苦しくなっていました。
1990年に、海外から日本に来た人の滞在資格にかかわる入国管理法が改正され、日系人が日本に定住する条件が大幅に緩められました。
1989年と1990年を比較すると、日本にきたブラジル人の人数は2倍以上になりました。
コーヒー栽培を行う移民として日本からブラジルに渡った人々の子ども、孫である日系人が今度は働く場を求めて日本に渡ってきたのです
日本に永住する人々の数も増え、現在では永住者の割合は、実に6割にも上ります。
製造業のさかんな群馬県大泉町では、日本に来た人々のブラジル人向けのスーパーマーケット、日系ブラジル人のための教育支援など、暮らしやすいまちづくりが行われているそうです。

今回は、「コーヒーの日」を切り口に、社会科入試頻出用語を交えてコーヒーにまつわる日本とブラジルの関わりを振り返ってみました。
社会の学習は、一問一答形式のような一対一の知識だけでなく、知識のつながりを増やしていくのが成績アップの鉄則です。
コーヒーを飲みながら、こんなお話をしてみるのはいかがでしょうか。