メニュー

投稿日:2024年02月05日

テーマ: 国語

家庭でチェック!中学受験の記述問題で減点されないために その1

こんにちは!
国語科を担当しております、広瀬亜依です。

昨日、立春を迎え、2024年度入試も終盤です。
まだまだ寒さも厳しい季節。
受験生のみなさんは健康第一で終盤戦を乗り越えていきましょう。

さて、前回は受験直前期の受験生の心の成長についてお話させていただきました。

国語という科目は、物語文の心情読みとりもそうですが、
普段の生活の中で鍛えることができる科目だと考えています。
逆に言えば、普段の小さな会話の中にも落とし穴があるものです。

ということで、
今回はご家庭でできるお子さまの言葉遣いのチェックを
一つご紹介したいと思います。

授業をしていると、生徒さんが何気なく使っている言葉の中に、
実は意味を間違えて覚えていたり、
文法を間違えていたりすることがあるのに気づきます。

学校や塾で、誰か1人が間違えて使ったり、
テレビやSNSで間違えて使われていたりするものを
“正しいもの”と思ったまま、使っていることが少なくありません。

2年ほど前から増えてきたと感じる言葉の遣い方が、
次のようなものです。

生徒さんが難しそうな問題を目にした時にひとこと…

「この問題、無理くない?」

実際、生徒さんが使っていたこともあります。
しかも一人だけではありません。

本人に聞いてみると、「学校でみんな言ってるから正しいと思ってた」とのこと。

この「無理くない?」という表現は、
言いたいことは分かるものの、違和感を覚える表現です。

もし正確に表現するなら、
「この問題は難しそうだ。自分が解くのは無理なように思える。先生もそう思いませんか?」
となります。

つまり、相手に同意を求めているのです。

しかし、この表現は正しくありません。

なぜでしょうか。

本来、この表現は「この映画、面白くない?」のように、
形容詞にだけ使える表現です。

形容詞とは、「美味しい」「楽しい」「悲しい」のように、
基本形の最後が必ず「い」で終わり、活用がある品詞です。

その形容詞に、助動詞の「ない」がつくと、
「い」が「く」に変わるため、

「面白い」+「ない」→「面白くない」

となります。

形は否定の形と同じですが、
文末に疑問符「?」をつけたり、疑問を表す助詞「か」をつけたりすることで、
相手に同意を求める表現になります。

ですので、形容詞であれば
美味しくない? 楽しくない? 悲しくない?
などのように表すことができます。

このように、形容詞だと「〜くない」と表現されるのです。

そのため、正しくない表現が増えている原因としては、
とにかく同意してほしい言葉に「くない」という言葉をつけていることが考えられます。

では
「無理くない?」はどのように表現すべきでしょうか。

「無理」は「無理だ」が基本形の形容動詞です。
形容動詞の場合は、「だ」が「で」に変わり、
「無理でない?」
が正しい表現です。

口語表現では「だ」が「じゃ」になり、「無理じゃない?」が一般的ですね。

その他には
違うくない? 思うくない? 分かるくない?
なども、聞いたことがあります。

これらの言葉は、それぞれ「違う」「思う」「分かる」が基本形で、すべて動詞です。

動詞の場合は、
活用の種類が5種類あるため一概にはいえません。

今回すべての種類はご紹介致しませんが、
上記の場合は、基本形の最後の「ウ段」の音が「ア段」になり、
違わない? 思わない? 分からない? となります。

どうしても小学生のうちは、
正しくなくても、「みんなが使っているから」という理由で、無意識に使ってしまいがちです。

しかし、中学受験の記述問題では文法の間違いは減点対象です。
また学校によっては、文法の問題を独立した問題として出題する学校もあります。

ですので、私自身、日頃の会話の中で直せるものは直していきたいと心掛けています。

お子さまが無意識に「〜くない?」という言葉を使っていないか、
チェックしてみてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

国語ドクター