最新記事 2018年05月08日

テーマ: 理科

温かい駅弁の科学

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

さて、あっという間にゴールデンウィークが終わりました。
受験生の皆さんは、きっと休んでいる場合ではなかったと思いますが、
5年生以下のお子様をお持ちのご家庭では、どこかにお出かけになったかもしれませんね。

私ですか?
私は毎年受験生とともにありますので、出かけたのは接骨院くらいです。
(腰痛がひどくて……涙)

さて、新幹線などをつかってお出かけしたときの楽しみの一つは、
やはり何と言っても「駅弁」ですね。
ちょっと高い普通の弁当という気もするのですが、
電車の中で食べると、なんであんなにおいしく感じるのでしょうか?

そんな「駅弁」ですが、最近増えているのが「過熱式」の弁当です。
紐を引くだけで、電子レンジも何もない車内で温かい弁当が食べられるのは、
発売当初は画期的なことでした。

そんなからくりに、科学好きな私が興味を持たない訳がありません。

まだ、その手の弁当が1種類しか売られていない頃でしたが、
帰省した新幹線の車内で早速試したものでした。

その結果はというと……いやー、とにかく恥ずかしかった!

食いしん坊な私は、あまりに弁当が楽しみだったので、
新幹線が発車するやいなや弁当の紐を引っぱったのです。

シューーーーーーーーーーーーッ!

ものの数秒で、目の前にすさまじい量の湯気が上がりました。
そして、その湯気に乗って、弁当の匂いが車内に充満していくのです。

食べ物の匂いって、温かい方が広がりやすくなりますよね?
匂いの原因は空気中に広がる微粒子ですから、
温度が高い方が活発に運動して、拡散しやすくなるのです。

何せ、加熱式の弁当がそんなに知られていない時期のことですから、
大量の湯気と弁当の匂いに、周囲の席の人たちが
「いったい何事か?!」と、次々にこちらに顔を向けてきます。
こちらに顔が向くことで、どこまで匂いが広がっているのかが分かるくらいに。

さて、この弁当のからくりですが、仕組みは結構単純で、
「生石灰(酸化カルシウム)」という物質を利用しています。

この生石灰は、水と反応すると数百度まで発熱して、
水酸化カルシウムという物質に変わります。
この熱で、反応に使われた水が水蒸気となり、弁当を温めるのです。

ちなみに、この化学変化のことを「消和反応」というので、
その結果できた水酸化カルシウムのことを「消石灰」と呼びます。
また、水酸化カルシウム水溶液というのが、いわゆる「石灰水」のことです。
覚えておきましょう!

反応後にできた消石灰(水酸化カルシウム)は、グラウンドなどのラインひきや
農業などにも使われる安全な物質です。
そして、消和反応に使われる水は雨水や水たまりの水でもかまわないので、
最近ではこの加熱材の技術が防災グッズなどにも利用されています。
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私の非常持ち出しセットに入っていた商品

一方、生石灰は「乾燥剤」として使われていることも多く、それを生ゴミと一緒に
捨ててしまうことで発熱し、火災になることもありますから注意が必要です。

こうして「防災」とつながると、入試での出題頻度も上がってきます。
ぜひ覚えておいてください。