最新記事 2018年09月17日

テーマ: 理科

光の進み方② ~光の筋はなぜ広がる?~

算数・理科担当の大木快です。

最近、クリスタルキングの「大都会」という曲のイントロが頭から離れません。
なぜか…
香川照之の影響です。
Eテレの「昆虫すごいぜ」のオープニングに使われているのが「大都会」。このイントロに乗って、カマキリの被り物をした香川照之が全力疾走してくる様は迫力満点です。
この大物俳優も、子どもには「カマキリ先生」のほうが通りがいいようです。
先日、庭に水のたまった植木鉢の中をのぞくと、激しく動く小さなものが…。ボウフラです!
今までだったら「気色悪い」という印象で終わっていたかも知れません
が、
カマキリ先生のおかげで、わたくしも身近な昆虫を見る目が変わりました。

改めてボウフラをよーく観察してみたところ…
ぴょんぴょんと、実に躍動感のある泳ぎをしているんですよね。全身を振り回すように激しく踊っている様は、ある意味感動的ですらあります。
人間界にこんな動きがあったでしょうか?
しかも、一瞬たりとも休まず動いています。
どこにそんなエネルギーがあるのだろうか。
これがさなぎになったら「オニボウフラ」。どんな姿かよく観察するチャンス。
と思っていたら…
次に日には植木鉢はきれいに片付けられていました。 残念。

さて、今回の本題に入りますよ。まずは前回内容の確認から。
例題形式でまとめています。

光11

例題(前回の疑問)
地球に届いた太陽の光は、ほぼ平行な光とみなすことができます。
ところが、雲の隙間からこぼれる光の線は大きく広がって見えます。
この理由を答えなさい。

光2

まず、地球に届いた太陽の光が平行光とみなすことができる。これは問題ないでしょう。
この疑問を解決するカギとなるのが、遠近感です。
ヒトは遠近感を何によって感じているか?
多くの要素がありますが、中でも大きいのが、

①近くのものは大きく見え、遠くのものは小さく見える。
②右目と左目で見る映像のずれ(視差)

の2つです。
まず①について考えます。
突然ですが、お絵描きをします。
山に向かって進む線路の絵を描いてみますね。

光3

うーん。遠近感ゼロ。
さすがにこれはないでしょう。梯子が立っているようにしか見えません。
ここで遠近法を考えます。
遠くのものほど小さく見えるわけですから、遠くの線路は細くなって、最後は1点で交わる感じになります。描いてみますよ…

光4

よくなりましたか?  枕木の長さにも遠近法をかけると…

光5

これでどうでしょうか。だいぶリアルになってきましたよ。
さらに、遠くの枕木ほど間隔も狭めてみると…

光6

どうです?なかなかリアルな遠近感が出てきました。
最初の絵と見比べてみると、

光7

雲泥の差。
これで例題に対する答えがすこし見えてきましたか?
この絵を、最初の光線の図とよく見比べてください。

光8

平板な図が、実は奥行きを持っているように見えてきませんか?
そうなんです。この奥行きこそが、光が広がって見える根本原因だったのです。
横から見ると、もっとよくわかるかも。

光9

↑こうではなくて、

光10

↑このように、うんと奥行きのある状態だったわけです。

これでついに疑問が解決しました!

例題の解答例

光の線は観測者には平面的に見えているが、実際には奥行きがある。このため、近いものほどより大きく見えるため、光が広がっているように見える。

ところで、

光11

太陽の光が平板に見えてしまう、つまり奥行きを感じにくい理由は、
②右目と左目で見る映像のずれ(視差)
が小さいことが大きく関係してきます。
2つの物体がどんなに離れていても、遠くから観測すると、どちらも「遠く」にあるため、左右の目による視差が生じません。
このため立体視することは難しいんですね。

この、遠近感を感じにくい典型的な例が、流れ星(流星)という現象です。
流星は、恒星や惑星といった天体とは大きく異なり、実はただの塵です。宇宙空間の塵(ちり)が、地球に落下する際に、大気との摩擦によって強い光を放つ現象です。

地面に向かって落下してくるわけですから、本当はズカーンと急激に近づいてきているのですが、それにもかかわらず、平面的に動いて見えます。
図示すると、こんな感じです。

光12

なぜ平面的に見えるのか、理由はもうお分かりですね。
遠近感が働かないから。
星座を形作る恒星たちも、地球からの距離はまちまちであることも、気づきにくい事実です。

雲間からの光の筋(光芒)や、流れ星などの現象を考える際、ぜひ、この遠近感を想像しながら光の筋や流星の軌跡を観察してみて下さい。
イメージが変わりますよ!

最後に、ここまでのお話とは逆に、
立体的に見えるものから立体感を消し去る方法
を考えてみます。

たとえば目の前にスマホがあるとします。形は…
長方形ですね。
そのスマホの形が綺麗な台形に見える方法があります。

1 スマホに対して浅い角度から斜めに見る。
2 顔に出来るだけ近づける
3 片目をつぶる
4 目を細める

まずやってみてください。
どうでしょう。キレイな台形は見えましたか?

この方法でなぜきれいな台形に見えるのか。
その理由については、今回のお話全体を踏まえて、よく考えてみて下さい。
ではまたお会いしましょう。