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投稿日:2017年01月17日

テーマ: 国語

国語のお悩み解決!③「読み方の法則 七箇条」

受験ドクターで国語と社会を担当していますOです。

本ブログでは、受験国語にまつわるお悩みを解決していければと思います。国語が苦手なお子さんはもとより、現在、国語の成績が良好なお子様にも役に立つ内容ですので、お付き合いいただければ幸いです。

さて、今回のお題は、国語の読解法に関するものです。国語の学習の要は文章読解ですので、まさに核心的な内容ですね!

「受験国語」の文章読解問題で求められる能力は、おおまかに2つに分類できると私は考えます。「本文を読む力」と「設問を解く力」です。

中学受験国語 読み方 

今回のブログでは、上記の図の中の「[Ⅰ] 本文を読む力」の「(b)文章構造の把握」ということにスポットを当ててご説明したいと思います。

世の国語講師が生徒さんに対してよく言うセリフがあります。それは「文章(本文)をよく読みなさい」というものです。
確かに、国語の文章読解問題の初めには必ず「次の文章を読んで、後の問いに答えなさい」という指示があります。ですから、国語の成績が伸び悩んでいる子に対して、「本文をもっとよく読みなさい」というアドバイスは一見間違ってはいないように感じます。

ところが、です。

よほどいい加減に文章を読んでいる子(たとえば文字通り、本文を読まずに問題を解いているとか…)ならいざ知らず、生徒からすると、「本文を丁寧に読んでいない」という意識はありません。だから、国語講師に「よく読め!」と言われても、「じゃあ、具体的にはどうすればいいの?」と内心は感じているのではないでしょうか?(口に出すと、先生に怒られそうで言わないとか…)

そこで、本文の正しい読み方をするためのチェック項目を7つほど挙げていきましょう。名付けて、「読み方の法則七箇条」です。

中学受験 国語 読み方2

①接続語のチェック

接続語が大切だということは、いまさら強調するまでもないかもしれません。でも、あえて「大事だ」と繰り返しておきたいと思います。
接続語は自動車の運転で例えるなら道路標識と言われます。道路標識を正しく読み取ることで、筆者の言いたいことや登場人物の心情などを正確に読み取る手助けとなります。

具体的には、逆接しかし・ところが・でも、など)や言い換え・まとめつまり・要するに・すなわち、など)、因果関係だから・したがって・なぜなら…から、など)の3つが特に重要です。

ここで補足しておきたいのは、すべての接続語をチェックする必要はないということです。塾で「接続語に印をつけなさい」と指示されたのか、本文が印や線だらけになっている子を見かけることがあります。

本文に含まれる接続語は相当な数に及びますので、形式段落の冒頭や、本文における結論部分などの接続語を特に意識するようにしましょう。

②指示語のチェック

指示語もまた、接続語と同じくらい大切です。
ところが、本文に出てくるすべての指示語の内容を確認すると、読むスピードがかなり落ちます。普段、塾のテストを受けている子には言うまでもないことかもしれませんが、現在の中学受験の国語では文字処理のスピードは不可欠です。算数の得意な子がテスト時間が余ることはあっても、国語の得意な子がテスト時間が余るということはめったにありません。

そこで、私は以下のように生徒さんには指導しております。

傍線部中、または、傍線部・空欄前後の指示語は必ずチェックすること

とてもシンプルな法則なのですが、これをしっかりと定着させるには意外と時間がかかります(もっとも切羽詰まった時期の子なら、わりとすぐに実行してくれますが…)。
これらの指示語を丁寧にチェックすることで、解答そのものではなくとも解答を導くヒントになることが多いのです。

③比較表現・強調表現のチェック

比較表現・強調表現」とは以下のようなものを指します。

…よりも / …ではなく / …だけでなく →[比較表現] 

…こそ / じつは… → [強調表現

説明的文章(説明文・論説文など)においては、他と比較することであるものの特徴を際立たせるという展開はよくある流れです。いわゆる対比構造です。
また、強調表現は文字通り、筆者の主張を目立たせるために用います。

これらをさらっと読み飛ばすのではなく、問題を解くときの手助けとすべく、初読の段階でチェックをしておきましょう。

④文末表現のチェック

日本語は文の最後まできちんと読まないと意味が伝わらない言語だと言われます。裏を返せば、「日本語は文末が大切だ」ということです(論説文の言語論でもよくテーマになることですので、覚えておきましょう)。

…必要である / …ねばならない / …と思う」というストレートな筆者の主張を表したものはもちろんのこと、最近の傾向としては「…であろうか(いや、…ない→反語)」という反語表現が狙われます。

これらは大人が読むと「何てことない」と感じられるのですが、小学生にとって難解な論説文の中に反語表現が含まれていると、反語ではなく単なる疑問文として読んでしまう子が多いのです。
特に、傍線部説明問題で反語表現が含まれていたら要注意です。

中学受験 国語 読み方3

⑤繰り返し表現のチェック

説明的文章では、本文における「話題(内容)のかたまり」をつかむことが大切です
その目安となるのが、本文で繰り返される言葉(語句)です。これはキーワードと呼ばれることもあります。

繰り返される言葉すべてをチェックする必要はありませんが、「何度か出てきたなあ…」と感じたら、〇で囲むなど印をつけておきましょう。記述問題の解答要素や、記号選択問題の正誤判定のポイントになる可能性が高いのです。

⑥具体例とまとめのチェック

説明的文章の読み方で最も大切なものの一つは、「具体例とまとめ(一般・抽象ともいいます)の読み分け」でしょう。
具体例は筆者が分かりやすく伝えるために用意したものです。当然ながら、具体例は読後に頭に残りやすいのですが、筆者の主張を裏付けるものであっても、主張そのものではありません。ここがポイントです。つまり、具体例を削っていくと、筆者の言いたいことはそれほど多くはないのです。そこに気づけば、要約型などの記述問題本文一致の記号問題を確実に得点することが可能です。
⑦心情表現のチェック

最後に、物語文における最重要項目である心情表現のチェックに触れておきましょう。

物語文を読むときは登場人物の気持ちが表れたところに線を引きなさい」というのは、どの塾でも指導されることです。ところが、文章によっては心情を表す言動がやたらに多いものがあります。「気づいてみると本文が線だらけ…」なんて、笑えないことにもなりかねません。

ではどうすればよいのでしょうか? 以下の3点に注意してみましょう。

a) 直接的な表現をチェックする。
「悲しかった」「悔しかった」「腹立たしかった」など、心情語がそのまま表記されている場合は印をつけておきましょう。易しめの物語文になりますが、本文の語句で使えるものは優先させるのが法則です。

b) 心情を表す動作・様子をチェックする。
「太郎は思わず目をそらした⇒自分にとって都合が悪いことがある」「花子は頬を赤らめた⇒恥ずかしいことがあった」「次郎は目をむいた⇒腹立たしさや驚き」といった具合です。

c) 傍線部前後の会話文(セリフ)をチェックする。
傍線部前後、特に直前の会話文は傍線部問題の解答根拠にからむことが多いので要チェック!」というのは、私も授業で常々繰り返していることなのですが、なぜか確認がいいかげんな子が少なくありません。
まぁ、生徒からすると「ちゃんと読んでるよぉ~」ということのようですが、私から言わせると「それは読んでいるというよりも、ただ眺めているだけだよ!」ということになります。

しっかりとセリフの意味するところを考えられるかどうかが、勝負の分かれ目になります。

中学受験 国語 読み方 3

たとえば、傍線部の前に、「お前はホントにバカだなぁ」というセリフがあるとします。この「バカ」というのは相手を悪く言うこと以外に、親愛の情(親近感)を表す場合があります。中学受験の国語では愚弄する言葉ではなく親しみをこめた意味で使われることが圧倒的に多いのです。
セリフにいたる文脈にも十分注意しながら考えましょう。

以上、文章読解における「読み方の法則」に関するお話でした。
次回は「解き方の法則 七箇条」をご紹介します。今回以上に得点に絡んでくるものですので、是非、ご期待ください!

では、また次のブログでお会いしましょう。

国語ドクター