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投稿日:2022年10月20日

テーマ: その他

【素朴な疑問】「自信」ってなんだろう?

皆さま、こんにちは!

前回まで3回にわたってつるかめ算について書いてきました。
まだ続きがあるのですが、今回はちょっと横道にそれます。
先日の授業で、担当のお子さんからなかなか面白い質問があったので、それについて考えてみようと思います。
お子さんの質問は以下のようなものです。
皆さんならこの質問にどう答えるか、ぜひ考えみてください。

「実力はあるけど自分に自信がない人と、実力はないけど自分に自信はある人と、どっちが良いですか?」

これがそのお子さんの質問です。
なかなか面白い質問だと思わないですか?
同じようなことを考えてみたことがある人も、いらっしゃるかもしれませんね。
私はたまたま、その授業の前日に同じようなことを1日中考えていました。
それもあって、この質問の答えをどう考えるべきか、しばらくそのお子さんと話しあいました。

まず、私はこの質問に何と答えたか?
その答えは以下の通りです。

「実力にそこまで差がないもの同士なら、自信がない人よりも自信がある人の方が、勝つ可能性が高い。
でも、実力に圧倒的な差があるなら、自信のあるなしくらいでは、その差をひっくり返すことは絶対にできない。」

皆さんはどう答えられますか?
絶対の正解があるような問いではないので、答えは人それぞれあるでしょう。
大切なことは「なぜそう考えるのか」、これを論理的に説明できるかだと思います。
ここをぜひじっくり考えてみて欲しいです。

まず、このお子さんの質問にはいくつか曖昧な点があります。
1つ目は、実力のあるなしというのは、どういう点でどう判断されるものなのか?
2つ目は、自信のあるなしというのは、どういう点でどう判断されるものなのか?
3つ目は、「どちらが良いか?」というのは、どういう点でどう判断されるものなのか?
この3点がより明確にならないと、答えを考えることはできないと思います。
もっと簡単に言えば、「実力」「自信」「良い」という言葉をどう定義するかということです。
それによって、質問に対する答えも少し変わってくるはずです。

もちろん、このお子さんもそこまで深く考えて質問したわけではないです。
そこを深くつっこまれても困りますよね。
ですので、私はその3点を以下のように勝手に解釈しました。
まず、「良い」ということについて。
これは、塾の先生に質問している以上、良い成績がとれるとか、入試で合格するとか、そういうことでしょう。
中学入試において、どちらがより良い結果を出せますか、ということだと受け取ったということです。
次に、「実力」ということについて。
これも「良い」と同様に、テストに対する解答力や得点力が高い、という風に解釈するのが、自然でしょう。
難しいのは、「自信」です。
「自信がある」「自信がない」というのは、どのように異なり、どういう結果の違いを生むのでしょうか?

そもそもこの質問をしたお子さんは、私から「ちゃんとできているから、自信を持っていいよ」と言われたのです。
その言葉を聞いて出てきた質問が、先ほどの質問です。
「自信」というのは、自分の能力を信じている、自分の行動を正しいと信じている、といったような意味ですよね。
不安や迷いがない状態、といっても良さそうです。
そう考えると、「自信がある」人は、自分の能力を本番でしっかり発揮できる人だ、と言えそうです。
一方で「自信がない」人は、思ったように自分の能力を発揮することができない人だ、となります。

以上のように考えると、先ほどのお子さんの質問は、より具体的にはこう言い換えられます。

「十分な得点力はあるのにうまく力を発揮できない人と、得点力は不十分でも力をきちんと発揮できると人、
こういう2人がいた場合、どちらが点数や合格について良い結果が出ますか?」

質問をこう解釈すると、私の答えは先ほど書いたようなものになるということです。
もう一度書いておくと、
「実力にそこまで差がないもの同士なら、自信がない人よりも自信がある人の方が、勝つ可能性が高い。
でも、実力に圧倒的な差があるなら、自信のあるなしくらいでは、その差をひっくり返すことは絶対にできない。」
こうなります。
この答えの前半部分には、異論を唱える人はあまりいないと思います。
一方で、後半の部分はどうでしょう?
特に、「差をひっくり返すことは絶対にできない」という部分は、人によっては言い過ぎに感じるかもしれません。
しかし、私はこここそが重要だと思います。
ではこれについて、もう少し具体的に考えてみましょう。

これから同じ算数のテストを受けるAさんとBさんがいるとします。
Aさんは、解答力は十分にあり、力をフルに発揮すれば100点が狙えます。
しかし、ここのところスランプ気味で、あまり自分のやっていることに自信が持てません。
そのため、最近のテストでは、実力の80%くらいしか発揮できません。
一方、Bさんは解答力にまだ不安があり、このテストでは70点くらいの得点しか見込めません。
しかし、ここのところ成績が上昇傾向にあり、自信がついてきています。
そのため、最近のテストでは、自分の解ける問題についてはミスなく点数を取りきることができています。
さて、ではこの2人が同じ算数のテストを受けたとして、どちらが良い点数をとるでしょうか?
もしこの設定どおりのことが起こるなら、それはAさんですよね。

Aさんは80%の力しか発揮できないですが、実力は100点分のものがあるので、見込める点数は80点です。
一方で、Bさんは100%の力を発揮できますが、実力は70点分なので、点数は70点にしかなりません。
ですから、このテストでより良い点数をとるのはAさんです。
もちろん、Aさんが勝つように私が条件を設定しているので、こういう結論になるのは当たり前です。
自信がないことによって、力が50%くらいしか発揮できない人もいるのではないか?
こういう疑問もあるでしょう。
しかし、重要なことはそこではないのです。
ポイントは、自信があるとしても、それによってできることは、自分の力をフルに発揮できるだけ、ということです。
私が今回のブログで、特に伝えたいと思ったのはこの部分です。

自分の力をフルに発揮できるということは、とても大切なことですよね?
自信を持ってテストや試験に臨めるような準備を絶対にするべきです。
これは間違いないです。
しかし、どんなに自信を持って臨んでも、自分の力が120%発揮されることはないです。
異論がある人はいるかもしれないですが、私は経験上これについては絶対にないと思っています。
入試本番のような強い緊張やプレッシャーが予想される場面では、100%の力を発揮することも難しいです。
ですから、体調なども含めてベストな状態に調整して、本番で力をフルに出せるように努力するべきです。
そして、もしフルに力を発揮できたなら、結果がどうであろうと、それはよく頑張ったと褒めてあげるべきです。

残念なことではありますが、力をフルに発揮できたとしても、それで相手に勝てるかどうかはわかりません
そこは相手の実力によるからです。
そして、この部分に関しては、こちらの努力ではコントロールできないことです。
私たちができることは、自分の力を高め、その力をフルに発揮できるような状態を目指すことだけです。
ですから、私が言いたいのは、まずは自分の実力・学力を高める地道な努力をしましょうということです。
結果的に、それが自信にもつながります。
自信をつけるにはどうしたらよいか?
それは、「ここまで努力した人間は自分しかいない、これでダメなら仕方がない」と思えるまで努力することです。
ここまでやってダメなら仕方がない、そう思えるように努力することが、自分自身にできるすべてです。
本当の意味で「自信がある人」というのは、自分のできないこともちゃんと理解しています。
何ができて何ができないか、そこを見極められていることが、自信の源だと思うのです。

ということで、とてもありふれた結論になりますが、まっとうな努力をしましょう、ということです。
魔法のような方法があるなら教えてあげたいのですが、残念ながらそんな方法はないのです。
コツコツと地道な努力を続け、自分の実力を少しずつでも高める努力をしましょう。
そして、そこで得た自信を力に変えて、本番で実力をフルに発揮できるように頑張りましょう。
今回お伝えしたかったのは、こういうことです。

では、また次回お会いしましょう!

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