最新記事 2020年03月16日

テーマ: 理科

山風=荒らし?~百人一首の理科の世界③

皆さんこんにちは。
受験ドクターの理科大好き講師、澤田重治です。

今回も、百人一首の中で見つけた理科の世界を紹介しますが……
手違いで、第3弾より先に第4弾を出してしまいました。すみません。

ただ、読む順番は関係しませんし、もちろん今回も中学受験に直結する内容です。
どうぞお楽しみください!

吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ

「文屋康秀(ふんやのやすひで)」という人がよんだ歌です。

今回も細かい文法は置いといて、ざっくり歌の意味を説明すると、

『吹くと、秋の草や樹木がすぐにしおれてしまう……
だからきっと、山風のことを嵐(=荒らし)って言うのだろうなぁ』

という感じでしょうか。

当時の嵐は、現在の嵐とは少し意味が違ったようですね。
今は、嵐と言えば「暴風雨」のことですが、
昔は、「山の中を吹く風」を意味することもあったようです。

それにしても、「山風」 → 「山+風=嵐」 → 「荒らし」 とは……
まさかのダジャレでしたね!

① そもそも「山風」って何?

皆さんは、海辺の地域に、時間帯によって決まった向きに風が吹く現象を知っていますよね?
そう、「陸海風(りくかいふう)」です。

【海風(かいふう・うみかぜ)】
日中、海から陸に向かって吹く風のこと。
昼間は、陸の方が海よりもあたたまりやすいため、陸側で上昇気流、海側で下降気流が起こります。
そうすると、空気の循環によって海から陸に風が吹くのです。

【陸風(りくふう・りくかぜ)】
夜間、陸から海に向かって吹く風のこと。
夜になると、陸の方が海よりも熱が逃げやすいため、海側で上昇気流、陸側で下降気流が起こります。
そうすると、空気の循環によって陸から海に風が吹くのです。

それぞれ図にすると次のようになります。

山嵐1

さて、海辺の地域と同様、山辺の地域にも、時間帯によって決まった向きに風が吹く現象があります。

【谷風(こくふう・たにかぜ)】
日中、谷間から山頂に向かって吹く風のこと。
斜面がよく熱せられるので上昇気流がおこり、谷間から山の頂上に向かって風が吹き上げる。

【山風(やまかぜ)】
夜間、山頂から谷間に向かって吹く風のこと。
斜面が熱を放射して冷えるので下降気流が起こり、頂上から谷間に向かって風が吹き下ろす。

これも、図にすると次のようになります。

山嵐2

② 実は日本付近で吹く季節風も同じ現象?

日本は、ユーラシア大陸という大きな陸と、太平洋という大きな海の境目にあります。
1年間の地温の温度変化を考えると、昼の長い夏の時期は、1日に例えるなら昼となり、
夜の長い冬の時期は、1日に例えるなら夜となります。

つまり、海辺の地域で、日中に「海風」が吹くように、
夏は、海(太平洋)から陸(ユーラシア大陸)に、「南東の季節風」が吹くのです。

そして、海辺の地域で、夜間に「陸風」が吹くように、
冬には、陸(ユーラシア大陸)から海(太平洋)に、「北西の季節風」が吹きます。

山嵐3

つまり、基本的な原理が分かれば、決まった地域に吹く風も、日本全体に吹く季節風も、
同じように考えることができるのです。
これが、理科の「根本原理」なんですね。

文屋康秀(ふんやのやすひで)は、季節風のことまで考えてはいなかったでしょうが……。

次回もお楽しみに!