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投稿日:2023年07月25日

テーマ: 国語

推理する力―国語の問題を解く上で大切な力―その2

こんにちは、太田 陽光です。

今回も前回に引き続き「推理する力」について書きます。

「推理」とは

「わかっている事実をもとにして、まだわかっていない事をおしはかること」 (『旺文社国語辞典』より)

という意味であり、
前回は「わかっている事実をもとにする」について書きました。
今回は「まだわかっていない事をおしはかること」について書きます。

前回、「わかっている事実をもとにする」ために、

問いにたくさん線を引く

ということが重要だとしました。

さて、問いの「わかっている事実」をおさえたあとに行うこと
それは、「わかっている事実」をもとにして、「まだわかっていない事をおしはかる」
つまり「推理する」ことです。
推理することで、自分の勝手な思い込みではなく、
事実に基づいた読み方・考え方・解き方ができるようになります。

正答率の低い問題も、「推理する力」を使うことで正解することができます。
例えば、四谷大塚の5年生の5月YT組分けテストで以下のような問いがありました。
大問4 問3の2  (正答率38,5%)
1で答えた方法の誕生した理由を、筆者はどのように推察しているか。指定字数で抜き出せ。(表現を少し変えています)

 

この問題の文章は、「日記は心の中のことを書くものだと思い込んでいる若い人が多いことに対して、筆者が考えを述べた」という内容の論説文でした。
問3の1の問いは「つきつめたコミュニケーションの方法とはどのような方法か」
答えは「自分の思想や苦悩をわかってもらおうとして、自分の書いた日記を人に読ませるという方法」です。

 

では実際に、解いていく手順を追っていきましょう。

まずは、この問いでの「わかっている事実」にたくさん線を引き確認します。

1で答えた方法誕生した理由を、筆者はどのように推察しているか。指定字数(26字)抜き出せ

線を引いたすべての部分を以下に番号を振って挙げ、整理してみます。

①1で答えた方法
②誕生した
③理由
➃筆者は
⑤どのように推察
⑥指定字数(26字)
⑦抜き出せ
計7か所ありました。生徒にはこの7か所に線を引いてほしいと思っています。

次に、「推理する力」を使っていきます。
・③理由+⑦抜き出せ→答えの最後は「から」や「ので」などになる
・➃筆者は→筆者の考えが書かれているところ(×例の書かれているところ)が答えとなる
・⑤どのように推察→「考えて」でも「言って」でもなく、「推察」という言葉を使っているので、
筆者がはっきりと言い切っていない部分が答えとなる
などと推理できます。

では、答えの書かれた本文の部分を見てみましょう。

どうしてこんなことなったのか。ひとつには、日記のことを文学の問題としてかんがえる習慣があるからだろう

答えは「日記のことを文学の問題としてかんがえる習慣があるから」です。

・このブログでは詳しく書けませんでしたが、①1で答えた方法は、「こんなこと」と一致します。
②誕生したは、「なった」と一致します。
・③理由は、「どうして」という問いかけと、「から」との二つに一致します。
・⑤どのように推察は、「だろう」と一致します。
・⑥指定字数(26字)と一致します。

このように、推理する力を身につけることで、「なんとなく」ではなく、根拠を持って解くことができるようになります
この問題の正答率は、35.8%と低いものでした。
文章問題の2題めでしたので、探す時間がなかったため、解けなかった可能性もありますが、
それでも推理力を使って解けば、探す時間の短縮にもなるはずです。
ぜひ早いうちに「推理する力」を身につけて、国語の成績を伸ばしましょう。

国語ドクター