最新記事 2022年06月23日

テーマ: 理科

電磁石の応用問題

基本を「応用」する練習です。親子の会話からご覧ください。

良夫:電磁石を習ってきたよ。
父:そうか。
良夫:モーターが回ったり、ベルが鳴ったりする仕組みを教えてもらった。僕の目覚まし時計は、ちょうどここで習ったベルの仕組みが使われていることがわかったよ。
父:どんなことを習ったのかな。
良夫:まず電磁石の特徴は、
①電流を流した時だけ磁石になるので、磁力を発生させることも止めることもできる
②電流を大きくすれば、磁力も大きくなるので、磁力を調節できる
③電池の向きを変えれば、磁石の極性を変えられる
こんなところかな。
父:そうか。そこまで自分の頭に入っていれば…
良夫:うん、基本問題は全部できた。
父:さすがだ。基本が頭に入っていると、あるところまで難なく解けるようになる。
ところで、「磁力を止めることもできる」、というのは、どんな利点があるんだろう。
良夫:鉄を引きつけて運搬するときに、永久磁石だとくっついたままになっちゃうから運搬できないって聞いた。
父:それはそうだ。じゃあ長所だな。じゃあその長所について、応用問題をやってみよう。
良夫:どんな問題?
父:こんな問題。

【例題】
鉄くずや鉄板を工場内で移動する際に、リフティングマグネットという、電磁石を用いた装置が使われています。
リフティングマグネットには永久磁石を組み合わせて使うものがあり、以下のような仕組みで鉄くずを引き付けたり、解放させたりします。
 ①鉄くずを引きつけるときは、電磁石で永久磁石と同じ向きの磁界を作ります。
 ②解放するときは、電磁石で永久磁石の磁界と(          )磁界を作ります。
(1)空欄に適当な言葉を埋めなさい。
(2)電磁石のみで着脱する場合に比べてどのような利点があるか。2点答えよ。

良夫:永久磁石が使われているんだね。あれ、永久磁石からどうやってはずすのかな?
父:どうやって外そうかなあ。
良夫:永久磁石は磁力を変えることはできないって習ったぞ。ってことはゼロにはできない!よね?
父:じゃあこの工場は成り立たない、と。
良夫:そんなんじゃ問題が成り立たないか。ちょっと待てよ。電磁石で永久磁石を強めて引きつけるということは、
父:ということは?
良夫:電磁石で永久磁石の磁力を弱めることが…
父:できる。
良夫:よっしゃ。じゃあ永久磁石の磁界と(逆向きの)磁界、でどうかな。
父:△です。あと一息。
良夫:ええっ?
父:弱めればそれでいいのか?
良夫:当然0にしなくちゃ。あっそうか。じゃあ、
永久磁石の磁界と(逆向きで同じ大きさの)磁界、ならどう?
父:完璧だ。これで(1)は攻略できた。
(2)はどうかな。
良夫:永久磁石があった方がいいと言っているわけだね。
「より強い磁力を得られる。」
というのはどうかな。
父:よく読めているな。感心だ。2つ目は?
良夫:まだあるのか。お手上げだよ。ヒントヒント!
父:じゃあ大ヒント!万一工場が停電したら?
良夫:電磁石の磁界はなくなる。くっついた鉄は落ちない。これのどこが利点なの?

いかがでしたか。以上で今回のお話は終了となります。
よろしければ最後の疑問を考えてみてください。解答例はこの後すぐ。

解答例
(1)
逆向きで、同じ大きさの
(2)
・電磁石の磁力と永久磁石の磁力を合わせた磁力が発生するので、効率よく大きな磁力を得られる。
・停電しても、落下の危険がない。
ポイントは、出題者が何を答えさせたいのかを明らかにすることです。
(1)で逆向きのみだと、不十分であることには気づかなければなりません。
(2)は出題者の意図としては解答例のようになると思われますが、つかむのは易しくありません。答えの幅を絞るためには誘導をつけるとよいのですが、今回はあえてノーヒントにしました。この場合、自由な発想で方向性があっていれば加点される、というケースも考えられます。
(2)の2つ目は、あんまり理科らしくない答えです。良夫君には難しかったようです。工場で使っていることを考えるとわかる利点です。
巨大な鉄の塊が突然落下したら、人身事故の可能性もあるでしょう。
これで今回の会話に落ちがなかったこともわかっていただけたと思います。
それでは次回もお楽しみに。