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投稿日:2018年11月22日

テーマ: 理科

光の進み方③ ~グリーンフラッシュと光の屈折~

算数・理科担当の大木快です。
太陽観察記。…今回も光ネタです。

↓西の空に沈まんとする太陽。
 
光の進み方③01
 
光の線、見えますか?
雲間から抜けた光の線がきれいに広がっていますね!!

逆さにすると、こんな感じ↓↓
 
光の進み方③02
 
前回お話しした、太陽に向かって平行な線路が伸びているのが実感できます。
 
光の進み方③03光の進み方③04
 
ところで、日没時に観察される現象に
グリーンフラッシュ
というのがあります。
文字通り、沈む瞬間の太陽が緑色を呈する現象です。
今回はグリーンフラッシュの起こる仕組みについて考えてみたいと思います。
まず、光の基本的な性質を確認しましょう。
 

①太陽光には、波長の異なる可視光線が連続的に含まれている
②可視光線のうち、波長の長い光は屈折率が低く、波長の短い光は屈折率が高い
③波長の短い光ほど大気中で散乱しやすい

 
プリズムを使った分光はよく知られていますね。
空に見える虹も、空気中の水滴に光が出入りする際に屈折することで光が波長ごとに分けられて、連続的にいろんな色が見える現象です。
虹の色を便宜的に7色とすることが多いようですが、境目があるわけではないので実際は「無数にある」ことになります。
以上をもとに、グリーンフラッシュがどんな時に観察できるのかを、図を用いて説明していきます。
まず、日没直前の太陽の位置を表した図です。
太陽からの光線が宇宙空間から地球の大気に入る際には、空気中から水中に進むときと同様に、屈折します。
 
光の進み方③05
 
太陽光に含まれる可視光線のうち、赤い光は、波長が長いため最も曲がりにくくなります。
また、波長が長い赤には、散乱しにくいため厚い大気の層も通り抜けるという性質もあります。
夕焼けが赤くなるのはこのためでした。
緑色光は赤より屈折率が大きい(=曲がりやすい)ので、光の進み方はこのようになります。↓↓
 
光の進み方③06
 
図の太陽はやがて、太陽が地平線の下に沈みます…
 
光の進み方③07
 
すると、↑図のように、赤色の光が観測者に届かなくなる瞬間、きわめて短い瞬間ですが、屈折率の大きい緑色の光だけが、観測者に届く状態になります。

こんな感じです↓
 
光の進み方③08
 
さて、ここからは観察報告です。
冒頭の写真のアップです。雲に隠れる形で、太陽が沈んでいきました。
 
光の進み方③09
 
その直後の様子。沈んだ太陽の上方向に、太陽の残像っぽい光を観察することができました。
 
光の進み方③10
 
この光は数分間見ることができ、見た目には、「やや」黄緑がかっていました。鮮やかな緑色とは異なりますが、色味がまわりと違っていることがわかります。写真で上手く伝わるでしょうか?

グリーンフラッシュというわけにはいきませんでしたが、なかなか興味深い色彩でした。

グリーンフラッシュを観察するためには、以下のような条件が整っている必要があります。
 

①地平線、水平線が見渡せること
②空気が澄んでいること

 
緑色光は赤よりも大気で散乱しやすいので、厚い大気の層を通過できないと、観察者に届かなくなるのですね。
グリーンフラッシュを上手く観測できた場合、緑色が見られるのは1秒から数秒だそうです。
一度は自分の目で見てみたい!!
今後も観察を続けたいと思います。
それではまた。

理科ドクター