最新記事 2017年09月28日

テーマ: 国語

テレビもマンガも、アリ。

みなさん、こんにちは。受験ドクターのNです。

以前、このブログで「読書」について述べたことがありましたが、
日々頂戴するご相談のなかには、「読書」が絡むことが大変多いんですね。

私はこう思います。
「読書はとても大切だが、
 読解力は読書で決まってしまうものではない。」

たとえば、ある物語文で、
片脚のない少年が過去の痛ましい出来事を主人公に話す場面があるとします。
主人公はその話によって「片脚がない理由」を知るわけですが、
そのとき少年は笑って話すのです。その表情を見て、主人公は新たな親愛の情を抱いた、と。
これは、ある有名な物語文の一節です。入試でもよく使われます。

さて、この内容に対して、お子さんの反応は大きく分かれます。
「なるほど!」と感じられるようであれば、まあよいのですが、
「なんで…??」と、首をかしげてしまうお子さんもいます。
「悲しくも痛ましい過去を、なぜ笑って話すのか??」と。

「なるほど!」のお子さんは、おおよそ次のようなことを了解します。
A 「自分自身を落ち込ませず、前向きな心にさせたい」という心のはたらき。
B 「つらいのは自分だけじゃないから」という謙虚さ。
C 「こんな話を聴いても暗くならないでね」という心づかい。

ところが、「なんで…??」のお子さんは、「脚がない」という言葉のインパクトが強いためか、
事実にべったりとはりつく悲痛さと、それを語る人物の笑顔とが、どうしても結びつかない。

でも、教えれば分かってくれるんです。
上記のABCについては、実際の授業で何度も説明してきました。
この説明を受けて、それでも「ようわからん」という顔をした子は、いままでにひとりもいません。
説明すれば分かってくれるんです。
教材としての文章を通じて、「擬似体験」的に理解するわけです。

さて、この「擬似体験」。読書がすべてではありません
ドラマ・映画、あるいは、
かつて教育の世界から目のカタキにされた「マンガ」でもよいではないですか。

「人の心のありよう」は、
もっといろんなものを通して感得しておいたほうがよいのではないかと思うのです。

私はテレビっ子でした。マンガっ子でもありました。
別に文部省推薦ものを選んでいたわけではありません。むしろ、
子供向けではない「大人の鑑賞に耐え得る」作品を雑多にあさっていました。

さて、入試での出典の傾向(具体的な作品ではありません)をみる限り、物語文でいえば、
まだまだ「道徳的主題をもった予定調和的な主題」が主流であることはたしかなようです。

でも、ハッピーエンドばかりである必要はないですよね。
「正義が果たせないまま終わる主人公の苦悩」を感じさせたっていいんです。

説明文・論説文だったらどうか。昔ながらの定番のひとつに「文明批判」がありますが、
それを踏まえたうえで「文明を肯定的に語った」文章を読ませるのも大切なことです。

定番(入試頻出テーマ)を知ったうえで、それに限定されない知見も理解しておくことは、
より強い受験生になるために必要な「教養」なのではないかと思います。

おそらく、今後も続くであろうタブーは「暴力」と「性」でしょう。それ以外は、
入試の文章で扱われる可能性はあるであろうと思っています。

幅広い世界にふれさせて、多様な価値観を受けとめられる下地をつくってあげてください。