最新記事 2019年11月04日

テーマ: 算数

文章題の「読み間違い」ではなく「読み方を知らない」のかも?

こんにちは。受験ドクターの石井伸二です。

突然ですが、次の文章を読んでみてください。

【問題】
太郎,次郎,三郎,四郎の四人は,それぞれ5000円ずつ持っていました。
太郎さんは次郎さんに,三郎さんは四郎さんに1000円あげました。
今,太郎さんはいくらもっていますか?
いかがでしょうか。
太郎が次郎に1000円あげた。
三郎は四郎に1000円あげた。

という意味です。答えは4000円です。

こうした形の文章を、苦手としている小学生は、意外なほど多くいます。
読み間違いやうっかりではなく、そもそも読み方を知らないのです。

大人は無意識に読んでいるかもしれませんが、この文章は、下の図のように、「,」で区切られて並列化され、「1000円あげました」という言葉が両方にかかっています

算数 読み間違い

このように、「,」で区切って並列化し、後ろに来る言葉を両方にかからせる、という書き方があります。
口語ではあまり使われず、文章で見られる表現です。

見分け方としては
① 「,」の後ろに文章が続きそうにもかかわらず、それらしい言葉が続かない
② 「,」の後ろに位置する文章が、「,」の手前と似た形になっている(「〇〇さんは〇〇さんに」のように文の構造が同じ。)

このような形の文章になっていた時は、「並列化された文章ではないか?」と疑ってみましょう。
では、下に例題を載せます。

例題1
A,B,Cの3人が同時に学校を出発し,図書館まで行きます。Aさんが図書館に到着した時,BさんはAさんより4m手前CさんはBさんより6m手前にいました。(後略)

例題2
Aの容器には500gBの容器には800g、それぞれ濃度の異なる食塩水が入っています。
Aの容器から200gBの容器から300gを取り出して捨て,残った食塩水にそれぞれ100gの水を加えて混ぜ合わせました。
その結果,Aの食塩水の濃度は3%,Bの食塩水は元の濃度は5%,水を混ぜる前の食塩水よりも小さくなりました。(後略)
この2つの例題は、算数の文章題の抜き出し風に作成したものです。(並列化が始まる印となる「,」が赤く塗られています。)
文中で何が起きているのか、読み取れましたでしょうか?
特に例題2の方は、並列構造を多く含む文になっています。

日常でこうした形の文章を目にすることはあまりありません。「、」や「,」で区切って、重複する言葉を一回しか書かず、文章量を省略するテクニックです。
最小限の言葉で、正確な記述が必要となる場面で多く用いられます。
例えば法律の条文や、契約書、公官庁の文書など・・・。
こうした媒体に、小学生はまだ触れる機会が多くありません。そもそも、このように並列化して記述することが出来る、というルールを意識しないままでいる子も、無視できない数います。

こうした子に対して「ちゃんと読みなさい」や「読み間違えをしている!」という指導は、全く無意味だということになります。
そもそも、読み方を知らないのですから。

子供が一見「問題文の読み落とし」のように見える間違えをしていた際には、常にこのことを頭の隅に置いておくようにします。
つまり、「ミスではなく、問題文がそもそも知らない構造の文になっていないか?」ということです。

恐ろしいのは「太郎が次郎に1000円上げたんだから、5000-1000だよ」のように教えれば、そのこと自体は理解できるので「ああ、そういうことか」 「ただ、読み間違えてしまっただけだ」と子供自身が納得し、見過ごされてしまう危険があります。本当は、読み方が分かっていないにも関わらず、です。

小学生に指導する際は、どのように伝えるか?と同じくらい「生徒がどのように理解し、どう考えているのか?」を読み取ることが大切です。

もし、お子様が文章題を苦手としている場合は、問題文の中で何が起きているのか、状況が読み取れているかというところを、気を付けて見てあげてください。