最新記事 2019年03月29日

テーマ: 算数

速さの問題文の読解~線分図の描き方

こんにちは。受験ドクター算数科の石井です。
文章題が苦手だという声をよく耳にします。
学年が上がり5年生、6年生となると、4行5行は当たり前、中には10行を超えるような文章量の問題も出てきます。

次の問題を見てみましょう。

太郎、次郎、三郎の三人は家から図書館まで歩きました。太郎は家を8時に出発し、次郎は8時10分に、三郎は8時20分に家を出発しました。太郎は8時40分に次郎に追い越され、三郎に8時55分に追い越されました。(後略)
(問) 次郎と三郎の速さの比を求めなさい。

・・・いかがでしょうか?一読して、3人の動きや関係性をスムーズに理解するというのは、非常に難しいのではないでしょうか。
算数の文章題は、国語の読解とは根本的に違う能力が要求されます。
算数の問題文は、できるだけ無駄を排し、情報だけを正確に記述するように書かれています。
日常生活で、ここまで事実や情報が詰め込まれた文章に接する機会はあまりありません。
契約書や説明書などは、これに近い書き方をされていますが、いずれも小学生が接することは少ないです。
つまり算数の問題文というものは、子供にとって未知の文体で書かれた文章なのだということです。

これを認識しないまま、ただ国語と同じように読んでしまうと、うまく読めない、ということになってしまいます。
例えるならば、自転車の6番ギアのまま急坂を上ろうとしているようなものです。
通常の道(物語文など)を読むためのスピードは、急坂(算数の問題文)では不具合が出ます。ギアを1番まで落として、又は自転車から降りて押して、ゆっくりと進まなければなりません。

ではどのようにしていくのか。
記憶に頼ってはいけません。読んだ端から図にしていくのです。
具体的な手順を以下で解説します。

「太郎、次郎、三郎の三人は家から図書館まで歩きました。」
この一文を読んだ時点で、ここまで情報を図にします。

線分図 書き方1

以上です。まずはこれだけで構いません。
この図を描くだけで、「①家から図書館まで行く②太郎と次郎と三郎の3人がいる③3人とも家から出発する」という情報を記憶しなくてよくなり、スッキリします。なるべく頭で記憶せずに、紙に記憶してもらいましょう
次に進むと
「太郎は家を8時に出発し、次郎は8時10分に、三郎は8時20分に家を出発しました。」
それでは、出発時刻を一人ずつ図に書き込んでいきます。

線分図 書き方2

この図を描いた時点で、長かった問題文の約半分の情報がまとめられています。
更に進むと

「太郎は8時40分に次郎に追い越され」

線分図 書き方3

図を描くと、次のようなことに気づくかもしれません。
「なるほど。8:40に追い越されたのか。ということは、追い越されるまでにかかった時間は・・・」

線分図 書き方4

このようになっています。同じように続けると

「三郎に8時55分に追い越されました。」

※細かくなりますが、国語的な視点から補足を加えます。
この文章は続けると「太郎は8時40分に次郎に追い越され、三郎に8時55分に追い越されました。」です。文章の途中が「、」で区切られているため、「太郎は」という主語は「、」の前後で共通です。つまり「太郎は8時40分に次郎に追い越されました。太郎は8時55分に三郎に追い越されました。」
という2つの文の、2回目の「太郎は」を省略し、「、」で繋いでいます。つまり、三郎に追い越された人は太郎です。(文章題が苦手なお子様の場合は、こうした点の理解にも注意しながら指導していきます。)

さて本題に戻りますと、8:55に追い越されたので、まずは時刻と矢印を書き加えてみましょう。

線分図 書き方5

次に、追いつかれるまでにかかった時間を書き入れます。

線分図 書き方6

ここまでにやったことは「問題文に書かれている情報・条件を図の形で整理する」ということのみです。これだけで、何が起きているのか、関係を把握しやすくなりました。
文章をただ読んで、頭の中で理解してから図を描くのではありません。よくわからないけれど、とりあえず順番に図に書き込んでいくが正しい態度です。

さて、この時点で、(1)を解くことが出来ます。
太郎が次郎に追いつかれた地点まで、太郎は40分かけているのに対して次郎は30分で行っています。
ここから、前回のブログのテーマでもある「比の変換」をします。時間の比が4:3であることから、速さの比が3:4であることが分かります。
同様に太郎が三郎に追いつかれた地点を見ると、太郎が55分かけているのに対して三郎は35分で行っています。時間の比が11:7なので、速さの比が7:11です。
ここから連比を使い、太郎と次郎と三郎の速さの比が21:28:33であることが分かります。
よって、次郎と三郎の速さの比は28:33です。

いかがでしたでしょうか。後半の比の計算は、勉強している受験生ならば得意としているところです。
つまり問題文を図にする事さえできれば、速さの問題は大きく前進します。
一般的なテキストの解説では、図で情報を整理した後の計算についてのみ書かれているので、自分で図を描くには別の練習が必要です。
個別指導や家庭教師の先生か、またはお父様お母さまが、横から誘導しながらお子様が自分で書けるように指導してあげる必要があります。
今回のブログがその参考になれば幸いです。