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投稿日:2010年04月18日

テーマ: 理科

月の南中高度について

突然ですが、月の南中高度はどのように変化するのでしょうか?

 

まず、準備として太陽の南中高度の話の確認をしましょう。

太陽の南中高度は夏至のときに最も高くなり、冬至のとき最も低くなります。そして、春分と秋分の日はその中間です。

つまり、

夏至 90度-その土地の緯度+23.4度

冬至 90度-その土地の緯度-23・4度

春分・秋分の日 90度-その土地の緯度

でした。

 

ところで、夏至と冬至のときの地球と太陽の位置関係はどうだったでしょうか?

地軸が太陽に向いているときが夏至、地軸が太陽に背を向けているときが冬至でした。

言いかえれば、地軸が向いているとき太陽は最も高く、地軸が背を向けているとき太陽は最も低いのです。

地軸がむいているのか、地軸が背をむけているのかが天体の南中高度にとって重要なのです。

ポイントは、「地軸が向いているときその天体は最も高く、地軸が背を向けているときその天体は最も低い」ということです。

 

では、月の南中高度について考えてみましょう。

まず、夏至のころの地球・月・太陽の位置関係は、地球の公転面に対して、

満月・地球・新月・太陽

の順に並んでいます。夏至のころに地軸が向いているのが新月、地軸が背を向けているのが満月です。つまり、夏至のころは、新月は最も高くなり、満月は最も低くなります。

 同様に、冬至のころの地球・月・太陽の位置関係は地球の公転面に対して、

太陽・新月・地球・満月

の順に並んでいます。冬至のころには地軸が背をむけているのが新月、地軸が向いているのが満月です。つまり、冬至のころは、新月は最も低くなり、満月は最も高くなります。満月が夏至のころ最も低く、冬至のころ最も高いというのは感覚的にもわかります。確かに、冬の満月は高い空に寒々と見えます。

 

新月は夏至のころ最も高く、冬至のころ最も低い。つまり、新月の動きは太陽の動きとほぼ近似できます。そして、満月は新月の動きより半年ずれた動きをします。

 

では、夏至・冬至のころの上弦の月や下弦の月はどうなのでしょうか?夏至・冬至のころ、上弦・下弦の月は夏至・冬至のころの新月・満月の半分の南中高度になります。それは、ちょうど、

90度-その土地の緯度 (春分・秋分の日の太陽の南中高度と同じ)

となります。

 

ところで、春分や秋分の日の地球と月の位置関係はどうでしょうか?

春分の日のころには、地球の公転面に平行に、

下弦の月・地球・上弦の月

の順に並んでいます。春分の日に地軸が向いているのは上弦の月、地軸が背を向けているのが下弦の月です。つまり、春分の日には、上弦の月は最も高く、下弦の月は最も低くなります。

同様に、秋分の日のころには、地球の公転面に平行に、

上弦の月・地球・下弦の月

の順に並んでいます。秋分の日のころに地軸が向いているのは下弦の月、地軸が背を向けているのは上弦の月です。つまり、秋分の日のころには、下弦の月は最も高く、上弦の月は最も低くなります。

 

春分・秋分のころの新月・満月の動きは、春分・秋分の日のころの上弦の月・下弦の月の半分の南中高度になります。さきほど新月の動きは太陽の動きに近似できるといいましたが、春分・秋分の日のころの新月の南中高度は、

90度-その土地の緯度 (まさしく、春分・秋分の日の太陽の南中高度!)

となります。

 

新月、上弦の月、満月、下弦の月の動きはそれぞれ三角関数の正弦、余弦のような軌跡を描きます。 したがって、月の南中高度を数値で出すためには、たとえば新月の動きを基準にしてそこから求めたい月の動きが何度ずれているかがわかれば求めることができます。(新月の動きから下弦の月の動きは90度、満月の動きは180度、上弦の月の動きは270度それぞれずれています。)

Q.E.D.