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投稿日:2017年10月02日

テーマ: 理科

食欲の秋~消化のしくみに強くなろう!

みなさん、こんにちは。受験ドクターのEです。

今回は食欲の秋ということで、秋の味覚トウモロコシと
食べ物の消化にまつわるお話を。

消化の仕組み 1

受験生の皆さんであれば、三大栄養素であるでんぷん、タンパク質、脂肪がそれぞれブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸とモノグリセリドへと分解されることはもう覚えているでしょう。

体内で分泌される消化液はそれぞれ担当する栄養素が決まっていて、口で分泌される唾液はでんぷんに作用しますし、胃で分泌される胃液はタンパク質に、十二指腸で分泌される胆汁は脂肪の消化に役立ちます。
そして、十二指腸で分泌されるもう一つの消化液が、「人体最強」の消化液、すい液です。

このすい液、何が最強かといえば、それ以外の消化液が特定の栄養素の消化にのみ関心がある、職人気質の消化液だとすれば、すい液はいわば、マルチに、かつ高いレベルで役割をこなす大谷選手顔負けの二刀流どころか三刀流のすごいやつなんです。

消化の仕組み 2

すい液には
でんぷんを分解するアミラーゼ
タンパク質を分解するトリプシン
脂肪を分解するリパーゼ
などが含まれます。

人体の中心部、胃の下部に隠れるように横たわっているすい臓は、
胃でどろどろのおかゆ状になった食べ物が十二指腸に送り出されると、
すい液を分泌します。

十二指腸の後はといえば栄養分を吸収する小腸が待っているわけですから、すい液はそこまでたどり着いてまだ分解されていない栄養分を分解しきる、大事な役割を担っているんですね。

ところで、すい液や胃液がたんぱく質を分解する、というのを聞いて、あれ?と思いませんでしたか。
人間の体や臓器もたんぱく質でできています。
タンパク質を分解する消化液をどうやって保管してるんだろう?
胃やすい臓は消化液で溶けてしまわないの?

すい液は非常に強力な消化液ですから、すい臓自体を溶かしてしまってもおかしくありません。
でも、人体はとてもうまくできていて、実はすい臓の中にあるとき、タンパク質を分解する酵素であるトリプシンは不活性、いわば眠ったような状態になっていて、十二指腸に分泌されるときに初めて効果を発揮する、という絶妙の動きを見せてくれるのです。まるでラピュタに登場するロボット兵のようですね(古い!?)

ただ、その絶妙のバランスも、崩れてしまうと恐ろしい病気につながります。
アルコールや脂肪分のとり過ぎですい液の分泌が過剰になっていたり、すい液の出口が胆石などでふさがれた状態になってしまったりすると、十二指腸で活躍するはずの活性化した酵素がすい臓内でも働いてしまい、すい臓を傷つけてしまうのです。

胃の場合は強い酸やたんぱく質を分解する酵素(ペプシン)から胃の壁を保護する粘液があって、健康な状態のときには胃の壁が溶けてしまうことはありません。
こちらも、ストレスや服薬などで粘液の分泌が低下した場合には胃の壁が傷つけられてしまい、胃が痛むことがあります。

もう一つ、絶妙のバランスといえば、すい液は弱いアルカリ性の消化液で、胃から送られた酸性の食べ物を中和して十二指腸から先の臓器を保護します。
胃とすい臓の見事な連携プレイですね。

受験勉強もいよいよ佳境に入って
ストレスで胃がきりきり痛むような場面も親子ともどもあるでしょう。

そんなとき、体内で活躍している臓器のことを思い出して
ぜひ労わってあげて下さい。

あれ??トウモロコシの話は?

はい、今回の主役「すい臓」さん。

人体イラストでおなじみトウモロコシのようなお顔をされていましたね。

ほくほくの甘―いトウモロコシを見かけたときは
体の中で黙々と働き続けるこの「すい臓」さんに思いを馳せてみて下さい。

今回はここまで。

理科ドクター